放課後、君に会うために。
______
授業が終わり、鞄を肩に掛けて校舎を出る。
行く場所は、もう決まっていた。
「おはよう。」
四年前から変わっていない。
「んぅ……おはよう」
大きな大学の図書館の中、机から眠たそうに顔をあげる彼。
それから読んでいた小説を閉じた。
「業後に彼女が迎えに来るなんて、幸せだね。同じ大学に入学できて良かった。」
「私も、嬉しい。」
あれから中学、高校を卒業して、彼と同じ大学に入学した。
だんだんといじめは無くなり、今は平和に暮らしている。
「今日は、どこに行く?」
「本屋さん。」
「本屋さん、好きだね。」
「落ち着くから。」
歩きながら、手を繋ぐ。
中学の頃、初めて握手をした時よりも、優しくて、温かい。
「僕も、好きだよ。」
初めて友達になろうと言ってくれた人であり、今では一番大切な人。
「……ねぇ?」
ゆっくりと、優しい声がする。
「なに?」
「……もし良かったら、僕と結婚してくれないかな。」
その返事は、いつまでも隣で笑ってくれる君に。
小説を鞄に仕舞って、図書館の大きな窓から外を見た。
あの頃と同じように、仲良く帰っていく女の子達が見える。
私も変わらず図書館へ通い続ける。
放課後、君に会うために。