自分で書ける小説を先づ書くべきだろう。他力本願は良くない。
「協力して欲しい」
Aが真剣な表情で言った。ただいつもAは真剣だ。その真剣が長続きした試しはない。
「プロットまで書いたんだが、細かい表現で困っているんだ」
どうやらAは、小説をあきらめなかったらしい。珍しいこともあるものだ。
「俺は小説なんて書いたことないぞ。だから協力しようにもどうしようもない」
「そういうことではないんだ。まず話を聞いてくれ」
Aは、今書こうとしている作品の説を明し始めた。
「最近流行の魔法とかその類の才能頼みの作品はあまりにチートすぎるだろ」
「そうかも知れんな」
じつのところ俺はあまり詳しくなかったがとりあえず同意しておいた。実際に魔法や超能力はないし、この世で役に立たない人物は異世界でも約立たないからだ。
「そこでだ。主人公が特訓して強くなる設定にした」
「なるほど」
ジョ◯ョやドラゴン◯ールと変わらないと思うのだが。
「しかも、主人公は特殊な才能を持ってもいないし普通の人間だ」
「◯虫ペダルみたいな話しなのか?」
「あれは、自分の隠れた才能が開花していく話だろ?才能は元々あった。俺のは才能そのものを作って成長して行く物語だ」
「それはすごい(かも知れないな)」
しかし、Aはその「才能そのものを作る」方法をいつ知ったのだろうか?そんな訓練方法を知っているのならすぐにでも実践してニート脱却するべきだと思う。
「そこで主人公は中国武術を習うことにした」
「・・・」