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永命探偵  作者: がちゃもちゃ。
入学編
2/5

訪問

「はぁ~」

 入学式が終わり、家に帰ると、少女は深くため息をついた。

 と同時に、すぐ後ろの玄関でインターホンが鳴る。

 ――来るのはやっ!

 そう思うと同時にドアが開き、飛び出してきた人物に抱きしめられ、少女は後ろ向きに倒れた。

「未理、高校入学おめでとー!」

 開口一番にそう叫ばれ、抱きしめられた少女、深貝未理ふかがいみことは困惑した。

「ちょ、ちょっと麻衣、やめてよ。大体、入学したのはアンタもでしょ」

 未理がそう言うと、柿谷麻衣かきたにまいは「あ、そっか」と言って恥ずかしそうに笑った。

 麻衣の天然っぷりにはいつも呆れてしまう。

「まったくアンタは全然変わんないんだから。幼馴染やってるこっちの気にもなってよね」

「あはは、ごめ~ん」

 二人同時に立ち上がった瞬間、未理は思わずムッとした。

 自分より頭一つぶん上に麻衣の顔がある。未理の身長は約150cm。麻衣の身長はどう見たって170cm以上。男子と比べたって越される方が少ないくらいだ。小さい頃はほぼ同じ身長だったのに、どうしてここまで差がついてしまったのか。

 昔から未理は勉強でもスポーツでも、あらゆる面で麻衣に負けたことがない。それゆえに、ただひとつ身長だけが敵わないのを気にしていた。

「ん、どうしたの?」

 顔に出ていたのか、麻衣が心配そうにきた。見下ろしながら。

「いや、別に……」

 未理が言うと、麻衣は「そう、じゃ上がっていいよね」と訊いた。もっとも、訊いた時にはすでに靴を脱ぎ、未理の部屋に向かっていたのだが。

 ――返事聞く前に上がってんじゃん。

 

 部屋に入るなり、麻衣は「おやつとかない?」と訊いてきた。

「テーブルの上」

「あ、ホントだ。やった、ポテトチップスコンソメ味!」

 いつものパターンなので、ちゃんとお菓子は用意してある。というか、テーブルは部屋の真ん中、目の前にあるのに、なぜいつも気づかないのだ。

「ていうか未理、知ってる?」

 本棚にあるマンガを取りながら、麻衣が訊いてきた。

「何を?」

「菊頭高校七不思議のこと」

「あったり前じゃん。ていうか、麻衣がそれ目当てで『面白そう、菊頭いきたーい』とかいうから菊頭にしたんでしょ」

「あ、そっか」

「まったく……」

 未理達は高校を受験するとき、一緒の高校に入ると決めていた。二人ともまだ特に将来の目標が決まっているわけでもないし、幼稚園の頃からずっと一緒に過ごしてきたからだ。家も近く、一番の仲良し。お互い口にはしないが、親友だと思っていた。

 菊頭きくがしら高校を選んだのは、二人の家から2キロほどの場所で、歩いて行ける距離であり、学力的にも十分合格できそうな高校だったからだ。

 しかし、もう一つだけ理由がある。

 未理の母は、実は菊頭高校出身で(そのことはつい最近知ったのだが)、その高校に関するある噂を話してくれたことがあったのだ。

 

 ――菊頭高校七不思議について。

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