轟木家VSもぎ取りマン
この本によると普通の高校生、 下田侑人。彼は2次元の存在デジタルヒーローと絆を結ぶ、『電脳勇神キュアル』となって戦っていた。気が付くと八戸という地にいた侑人。そこで出会ったのは7人姉妹と正義の味方のこの私が…おっと語りすぎました。
あんた誰だよ!全身タイツに「もぎとり」にリスのコンビみたいな変な声して、さては不審者だなオメー。しかも「この本によるとー」とか、何かにつけては「祝え!」ってお祝いしそうな人みたいな語りだったよね?
あ、どうも。ご紹介にあずかりました侑人です。今回は、いつもとちょっと違う話だよ!それでは、『電脳勇神キュアル』のはじまりはじまり〜。
「ここは?」
僕は、見知らぬ地にいた。大きな駅があり、蜂ケ崎駅に似た外観だ。『八戸駅』?しかもローマ字で『HACHINOHE』と書いてある。『八戸』といえば、さやかお姉さんの苗字と同じだ。とりあえず今は、この町を散策してもう少し見聞を広めてみることにした。ただ、どこに行けばいいのか…。
駅の周りを見渡すと、何やら7人組の女子がいる。少なくとも高校生と思われるのが2人、中学生は2人、3人は小学生だろう。おや、学生なのにタバコを吸ってる!?注意しなきゃ!
「あの、すみません!」
「ん?」
「歩きタバコはいけません!」
「ん、これタバコじゃなくて、タバコみたいなキャンディ。君も1つどう?」
「いいんですか?それじゃあお言葉に甘えて、いただきます!」
タバコ型のキャンディといえば、喫煙者のおじいちゃんの仕草を真似していたら、おじいちゃんが駄菓子屋で買ってきてくれたことを思い出す。タバコの臭いとはほど遠い、まろやかなココア味が懐かしい記憶を呼び覚ました。癖っ毛の子は、不良かと思いきや意外と親切なようだ。しかも気軽にお菓子をあげるだなんて、どこの浪速のおばちゃんか。どことなく学園アイドルの昼寝が好きなメンバーと似たような癖っ毛なので容姿も似ている。
「お姉ちゃん!?知らない人にお菓子あげないの!少しは警戒心持たなきゃ!ごめんなさいね、姉が誤解されやすいものでして。」
「いえいえ!お菓子までいただいて、むしろ親切だなって思いました。」
ニコニコ笑ったような目の紫髪の子は、おっとりした性格だがしっかり者のようだ。癖っ毛の子はお姉さんらしい。
「今日は新発明の材料をサンデーで買いに行くか。」
サンデー?探偵漫画やエルフが冒険する漫画が連載されている雑誌だろうか。銀髪の子は、発明が好きとは奇妙奇天烈だ。
「サンデーか、私もピアドゥで何か買ってこようかな?それかラピアのアニメイトでも行ってアニメグッズ買ってこようかな。」
ピアドゥ?ラピア(高校生集団ヒーローものに出てくるグリフォンのような生き物でもないし、「だる…」が口癖のプリンの力で戦うお兄さんヒーローではない)?アニメイト?僕が聞き慣れない場所を次々と口にした。
「これだとみんな別行動になりそうだな。ウチは…ラピアがいいな。あきなとアニメイトでも寄ってくか。」
「お、あゆむも一緒に行く?」
緑髪の子はあきな、黒髪のボーイッシュな子は、あゆむと言うらしい。
「ラピア行くなら、私もついていこっかな。ひかりも来る?」
オレンジ色の服が目立つ子は、ラピアなる場所に行くことに乗り気のようだ。
「うん。あっきーながメイト寄るなら、わたしも『勇者ママ』の新刊チェックしたいし。」
ピンクの髪の子は、ひかりという名前で、末っ子のようだ。会話を聞く限りでは、何やらグッズや漫画が買える店のようだ。
「あの、僕この辺のことについて詳しくなくて…。もし良かったらご一緒してもいいですか?」僕は思い切って七姉妹に尋ねてみた。
「ん、君が良ければ。かよね、誘ってもいいよね?あと、紹介が遅れた。轟木はじめです。」
「ええ、私たちと同じく街中に行くなら。私はかよねよ。」
「ゆうりです。」
「あきなです!」
「あゆむだ。」
「ちひろだよん!」
「ひかり!お兄さん、よろしくね!」
「改めて、僕は下田侑人といいます。今日はよろしくお願いします!」
満場一致で、七姉妹は僕と共に八戸の街中へと足を運ぶことになった。
一方その頃、八戸の街中に1人の男がふらふらとさまよっていた。
「辺鄙なとこさ来ちまったベエ…。」ほっかむりをして、黒い狐面を被った新しい学校のセーラー服のような姿の女装男だ。傍から見るとただの不審者にしか見えない。
「ああ、そうだ。こうしちゃいられねぇベエ。わぁも曲がりなりにもブラックヒストリーのモクベエの一員のサンシャ・ナニャドヤラ、やることはやるベエ!」
女装男はくるりと1回転し、本来の姿である木目調の鎧の上級戦闘員『モクベエ』へと姿を変えた。
禁止標識のような目のあっかんべーをした顔の不気味な怪物が現れたので、街にいる人々が逃げ惑っていた。転んで膝を抱えている男を見つけ、「ターゲットは、おめぇだベエ!」『クロニカ改変帳』と書かれている黒いノートを投げつけ、男はページに包まれた。するとページの中から、迷彩服を着たウミネコの顔をした怪物が出てきた。『ウミネコ』とはいっても、海賊漫画で見るような半魚人ならぬ半魚猫ではない。
「ミャーハッハッ!オラは怪変人ウミネコマンドー!来いよ田舎モン!おめぇらなんて蜂の巣にしてやるミャ!」
「んだんだ、おめぇの暴れっぷり、たっぷりと見せてやるんだベエ!」ウミネコマンドーはマシンガンで、サンシャは専用銃『ヒナワジキ』を乱射しながら街を暴れ回った。
ピピピッ!
バスに乗っていると、『スマートQRブレス』からアラームが鳴った。同時に、運転手からの放送が流れた。
「中心街で緊急事態発生のため、バスは安全確認が取れるまで停車いたします。お急ぎの方はこちらでお降りください。」乗客が次々と下車した。
僕は七姉妹に、「すみません!ちょっと急用ができました!後で必ず合流しますから!」そう言って、大通りから外れた路地裏へと急いだ。そしてブレスの『電装』アイコンに触れた。
「電装!」光の玉に変わり、ふわふわと飛んでいった。
「ミャーハッハッ!我らブラックヒストリーの恐ろしさを思い知るミャ!」
「でかしたベエ、ウミネコマンドー!これでこの街はいただき、ぐわっ!」
光の玉が街を暴れ回っていた2人組にぶつかった。
「おめぇ、何者ミャ!?」
「電脳勇神!キュアル!」
—電脳勇神キュアルが、ハイテクQRスーツを『電装』するタイムは、コンマ1秒にすぎない。では、『電装』プロセスをもう一度見てみよう!
「電装!」
"DIGITAL FRIEND QR,READY?”と電子音声が流れ、体中がまたたく間に青と白の輝く機械の鎧に包まれる。キュアルはその時、短時間だが光の玉となり、自在に飛び回ることができるのだ!
「お邪魔虫め!ワラベエ!」「ベエ!」
戦闘員『ワラベエ』を呼び出してきた。モクベエと似たような顔だが、藁の笠と簔なので、見た目はモクベエよりも質素だ。
「QRバスター!」
"QR BUSTER"
「シュート!」
次々にワラベエに弾を命中させた。
「ちょうどいいところに、活きのいい獲物を見つけたベエ!」サンシャは七姉妹のもとへじりじりと近付いてきた。個人携行の銃『ヒナワジキ』を構え、引き金に指をかけようとしたその時だった。今度は金色に輝く光の玉が目の前に隕石のように降ってきた。光の玉のおかげで間一髪だった。そして光の玉は、姿を変えた。
「せいぎのみかた!もぎとりマン!」
もぎ取りマンと名乗る男は、光の巨人のように筋骨隆々、灰色の体色に男にとっては見慣れた物のような突起のある頭、体には『TNTNもぎとり』という文字が描かれた姿をしていて、見た目は昔のテレビゲームのようなドット絵だ。しかも、喋るときは村でスローライフを過ごすゲームのようなフニャフニャした声に聴こえる上に、メッセージウインドウが出ている。
「わたしはおんなのこをいじめるれんちゅうをゆるさん!かくごしろ!それから、そこのおじょうさんたち!」
「「「「「「「私たち!?」」」」」」」
「これをつかいたまえ!」
もぎ取りマンは何やらブレスレットを七姉妹に渡した。カラフルなヒーローに変身できそうだ。
「ボタンをおして、『チェンジ!モギトリジャー!』とさけぶんだ!」
随分と恥ずかしい台詞だが、今は非常事態なのでいちいち気にしてはいられない。
「よくわかんないけど、なんかわかった!逃げたら1つ、進めば2つ!行くよ、みんな!」
人気ロボットアニメの令和のシリーズの主人公のような台詞をあきなが言うと、
「「「「「「「チェンジ!モギトリジャー!」」」」」」」
掛け声とともにブレスのボタンを押した。すると、あっという間に七姉妹はカラフルなスーツに身を包んだ姿に変わった。
「ん、これは…?」
はじめは、突然の出来事に戸惑っていた。
「すっげー!ウチらテレビで観たヒーローみたいになってるぞ!そうだ!みんなでアレやろう!」ヒーローものが好きなあゆむは乗り気だ。
「さんせーい!みんな、横一列に並んで!お姉ちゃんは真ん中に!」ちひろが率先して声をかけ、七姉妹は横一列に並んだ。ヒーロー番組を観たことがある人ならわかると思うが、この時敵に攻撃されないかという心配をするのは野暮だろう。
「これ、年上から順番に名乗るんだよね?じゃあ、最初はお姉ちゃんから!」小学校教師の兄弟、レスキューで活躍する兄弟、魔法使い一家のパターンをひかりは知っているようだ。
「モギトリレッド!」ドッカーン!
赤いスーツのはじめは、連休のたびに思い浮かぶ餃子作りが得意な東洋の龍のレッド戦士のポーズを取った。名乗っただけなのに背後で爆発が起こったので、びっくりしてうずくまった。
「モギトリブルー!」ドッカーン!
状況が読めたのか、青色のスーツのかよねは驚くことなくポーズを決めた。どういうわけか、毎回名乗りシーンで一言ネタを言うメガネのブルー戦士のようなお辞儀をした。
「モギトリイエロー!」ドッカーン!
黄色いスーツのゆうりは、指で鬼の角を作るようなポーズを取った。毎回顔芸を披露する盗作疑惑のある女子高生漫画家のイエロー戦士を彷彿とさせる。
「モギトリグリーン!」ドッカーン!
緑色のスーツのあきなのポーズは、先輩ヒーローの力を借りて戦う海賊のチームのグリーン戦士に似た、手汗を拭くようなポーズだ。
「モギトリブラック!」ドッカーン!
黒いスーツのあゆむは、レッドよりも人気が高く、本編で死亡したはずなのに後輩の作品にも登場したブラック戦士のポーズを取った。
「モギトーリ、オーレンジ♪」ドッカーン!
オレンジ色のスーツのちひろは、困っている人を放っておけない、その正体が猫型宇宙人のオレンジ戦士のポーズと名乗りを上げた。
「モギトリピンク!」ドッカーン!
ピンクのスーツのひかりは、別世界では2号ヒーローの妹だったと噂の腕の良い医者のピンク戦士のポーズを取った。ひかりのことだから「手羽先インゲン豆」と言い間違えそうだし、手を出そうものなら姉たちだけではなく、別世界でのお兄さんが黙ってはいなさそうだ。
「7人揃って!モギトリジャー!」
全員で名乗ると、さらに大きな爆発が起きた。爆風の形がまるでもぎ取りマンの頭のように見えたのは気のせいだろうか。あ~っ!カオスなことになってるチュン!
「…って、私たち変身したのはいいけど、どうやって戦うの?いきなり変身しろって言われても、技とか武器とか教えられてないから戦いようがないでしょ。」
かよねが言うことはごもっともだ。
「えーい、話長いミャー!」
「隙だらけベエ!」
ウミネコマンドーとサンシャの攻撃が七姉妹ともぎ取りマンを襲った。
「やったか!?」
爆風の中から、『轟』と描かれたバリアーが発生していたので、全員無事だ。ヒーロー番組で名乗り中に攻撃するのはご法度だし、攻撃したあとに「やったか」はやってないパターンなのはお約束だろうに。
「え?こんな技使えたっけ?私、こんなの作った覚えないんだけど…?」ゆうりは突然の出来事にポカンとした。
「せつめいしよう!」
もぎ取りマンは昭和のテレビアニメで聞きそうな一言を言った。
「モギトリジャーのスーツには、『もぎとりパワー』なるふしぎなちからがやどっている。さまざまなふしぎなことをおこせるのだ!」
「『不思議なこと』って、あの太陽の子みたいなことが!?」
あゆむは昭和のヒーロー番組のことを思い出し、驚いた。
「いちいち待たせやがって!ワラベエ!」
「ベエ!」
いくら痺れを切らしたからといって、こんな場面で攻撃するのは反則ではないかというツッコミは野暮だろう。
戦闘員『ワラベエ』を呼び出してきた。
「うわっ!なんかいっぱい出てきた!よーし、そうと決まればみんなでいろいろやってみよう!例えば、高速移動とか!」
ちひろがそう言って走り出すと、言った通りに高速移動した。おばあちゃんっ子のカブトムシヒーローさながらだ。
「わぁ!すごいすごーい!じゃあ、わたしはこれ!轟木流!春うらら!」
ひかりはくるりと回ると、桜吹雪を発生させ、ワラベエを包み込んだ。
「行くよ、マフ。」
はじめは『マフ』と呼ばれる大蛇のようなマフラーを手に取った。マフはワラベエ目がけて伸びて、パクっと食べた。配管工の相棒の恐竜みたいだ。
「街をめちゃくちゃにした上に邪魔までして…、やめなさい!」
かよねはそれまで笑っていたような顔から一転して目を開き、トマト型の爆弾を投げつけた。
「こういうときは、やっぱり自作に限る。オートボウガン!」
ゆうりはRPGの機械の国の王様が最初から使えるような装備をどこからともなく出し、目にも止まらぬ速さで矢を連射した。
「私はこれで!行け!ガンガンビット!」
あきながそう言うと、左手に大型の盾が現れた。そればかりか、その盾は分裂し、ワラベエ目がけてビームを放った。
「あきな、ウチの持ってるこの銃にそれをくっつけてくれ!」
あゆむがいつの間にか持っている銃に、分裂した盾のパーツがくっつき、さらに巨大な銃に変わった。
「行っけぇぇぇ!」
強力なビームがワラベエを一掃した。
「いいぞ!それから、そこのしろとあおのきみ!」
「僕!?」
もぎ取りマンに僕への指名があった。
「きみがもってるしろいかみを、わたしにかざしてくれ!」
「白い紙、『QRメーシー』か。」
『QRメーシー』。デジタルヒーローと呼ばれる2次元の戦士たちの力が宿った名刺型のカードで、これをブレスや武器に読み取ることで能力を使うことができる。白紙のQRメーシーをデジタルヒーローにかざすことで色がつき、使用可能になる。
「よし、私のQRメーシーのでき上がりだ!」
フニャフニャした声から、今度は配管工やその仲間たちがレースを繰り広げるゲームで雷に当たったときのような、世界的に有名なリスのコンビのような甲高い声になった。
「及ばずながら、私も君に力を貸すぞ!」
「よーし、頼んだぞ!」
もぎ取りマンのQRメーシーをブレスに読み取らせた。
「もぎ取れ!ゴールドラッシュ!T·N·T·N!」
顔のモニターがもぎ取りマンのものに変わった。
「みんなであいつらをやっつけよう!」
「「「「「「「OK!」」」」」」」
”SPECIAL ATTACK”
ブレスにQRメーシーを読み取らせると、全員の手が光った。
「僕らのこの手が光って唸る!お前のをもぎ取れと輝きさけぶ!」
七姉妹の手から出る光が、僕の手に集まり、
「必殺!QRもぎ取りフィンガー!」
サンシャは飛び去り、間合いを詰めてウミネコマンドーに光る手が迫った。…どういうわけか股間に。
「ペケー!」
黄金に輝く玉を掴み取り、ウミネコマンドーは爆発した。
「なんだこれは!?」
「あいつの『きんのたま』か。売ったらいい値段にはなるはず。」
モギトリイエローはそれに心当たりがあるようだ。
「わぁを忘れてぺちゃくちゃおしゃべりとは、呑気な奴らだベエ!」
藁、木、レンガでできたような三つ首の犬型の巨大ロボットが現れた。乗っているのはサンシャだ。
「この新兵器『イヌベロス』でお前らをギッタギタにしてやるベエ!」
「出たな!ならこっちも!スマートケッター!」
流線型のバイク『スマートケッター』が走ってきて、乗り込んだ。
「チェンジ!スマートロイド!」
"SMARTROID"
バイクは大きくなり、人型ロボットの形に変形した。
「イヌベロス、飛びかかれ!食らいつけ!叫べ!倒せ!」
サンシャがいつか観たようなヒーロー番組の主題歌のフレーズのようなことを言うと、イヌベロスが襲いかかってきた。
スマートロイドの腕に噛みつき、身動きが取れない。
「こいつ、手ごわい!」
ところが、僕には手立てがあった。
「もぎ取りマンのQRメーシーを使ってみよう!」
スマートロイドのモニターにQRメーシーを読み取らせた。
"MOGITORI ROBO"
7体のカラフルなもぎ取りマンのようなロボットがやって来て、イヌベロスに攻撃を仕掛けた。
「ん、助けに来た。」
「これ、なかなか強いわね!」
「そうだ、もしかすると…」
「もしかすると?」
「こういういっぱいいるロボットといえば…」
「合体!だよね?」
「いいね!やってみよう!」
「「「「「「「合体!」」」」」」」
ロボットが一瞬で合体した。
「「「「「「「完成!モギトリオー!」」」」」」」
合体と言うよりは、子供の頃洗濯バサミを繋げて作ったロボットのような、映画で観た青いタヌキ…もとい猫型ロボットが仲間たちと合体した姿のような姿になった。
「すごい!しかもなんだかこれ、あれに見えるぞ!」
合体ロボットを見て、僕は閃いた。
「このロボット、手の形に変形できる?」と僕は聞いた。
「やってみる!」
すると、大きな手の形になった。配管工や電気鼠が戦うゲームで見たような姿をしている。
「もぎ取りマンの力は、こうやって使うんだ!もぎ取り武装!ドッキング!」
スマートロイドの右腕に、巨大な手がくっついた。
「くらえ!石破!もぎ取り!天!驚!けぇぇぇん!」
巨大な手でイヌベロスの股間を掴んだ。
「そこは、ダメぇぇぇ♡」
どういうわけかサンシャにも効いていたようだ。イヌベロスはキャイーンと犬のような声を出しながら、爆発四散した。
爆炎の中から、大きな『きんのたま』を握りしめたスマートロイドが立っていた。巨大な手は元のロボットの姿に戻った。
「すごく…大きいです…。じゃなかった、みんなは僕が!キュアルが守るよ!」
何とも得体の知れない『きんのたま』を握りしめた2体のロボットが、仁王立ちした。
戦いが終わり、僕と七姉妹は改めて八戸のショッピングモールに足を運んだ。巨大な『きんのたま』は人力では運ぶことができないので、自治体に引き取られた。
「見て、すごいわ!」
トランクを持ち歩いたかよねが僕たちの元へやって来た。
「お姉ちゃん、どうしたのそれ?」
あきなが尋ねると、
「やっぱりあの『きんのたま』、純金製だったから高値で売れたのよ!」
「ん、今日は豪華にパーッとやらない?」
はじめがそう言うと、
「さんせーい!でも、どこがいいかなぁ?」
ひかりは乗り気ではあるものの、迷っていた。
「贅沢したい気持ちは山々だけど、ここは堅実に貯金するわよ。近くに郵便局あったから、預けに行ってくるわね。」
僕も期待していたので、出鼻をくじかれたような気分だった。
「せっかくのごちそうがー!」
…はっ!
気が付くと、僕は地元、らいん町の駅前レストラン『ZOOTTO』にいた。
「侑人くん、おはよう。さっきまで寝言言ってたけど、大丈夫?」
店長の八戸さやか(さやかお姉さん)が声をかけた。
「僕は八戸という場所にいて、そこでブラックヒストリーの連中と戦って…それから…何してたんだっけ?」
「八戸?私がどうかしたの?それはそうと、ひどくお疲れのようね。はい、これ飲んで。」
さやかお姉さんはレモンスカッシュを僕に差し出した。
レモンにはクエン酸が含まれており、疲労回復にはもってこいだ。
「いただきます!」
強炭酸でなおかつ酸っぱいレモンスカッシュのおかげで、すっかり目が覚めた。
「酸っぱ!でもおかげで目が覚めたよ!」
「侑人くん、『せっかくのごちそうが』って言ってたわよね?良かったら今度の休み、みんなで蜂ケ崎にディナーでも行きましょ?」
「うん、ありがとう!楽しみだね。」
さやかお姉さんのディナーのお誘いに、胸が高まる僕だった。




