第五話 オーディルーン紛争
先進国は三度にも及ぶ対戦を経て
ついに 超技術革新を経験することで、資源輸入&消費型の産業構造を終了する
その中で、モノカルチャー経済からの転換に失敗した
後進国は先進国からの需要の低下により
極貧化、政権を倒すも新たな政府も他のイデオロギーに
倒される無政府状態が頻出し、その波は化石燃料産出国にまでも及び、アラブ諸国と北アフリカ一帯が無政府地帯となる『捨てられた世界』が発生した
第四次世界大戦はその後進国と先進国の間で勃発した
二一〇〇年代の初頭、世界は再び大きな戦乱に巻き込まれた。
人々がそれを 「オーディルーン紛争」 と呼ぶのは、後世の便宜にすぎない。
当時、オーディルーンとは一枚岩の組織ではなかった。
それは旗印のような存在だった。
先進国と国連軍を憎み、打倒を掲げた『捨てられた世界』の者たち。
寄る辺なき孤児、失われた土地の民、貧困と飢餓に追い込まれた集団。
その誰もが、自らの怒りと絶望を「オーディルーン」という名に託し、戦いへ身を投じた。
宗教でも思想でもなく、むしろその両方に近い。
誰もが自分なりの理由を抱え、同じ旗を掲げただけの集合体。
それが「オーディルーン」と呼ばれた。
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戦いの火蓋が切られたのは、二一〇〇年。
国連軍が北アフリカから進撃を開始し、やがて中東、インド西部へと戦線は広がった。
ゲリラ戦が各地で繰り広げられ、民間人を含む死者は膨大な数にのぼった。
そして二一〇四年、戦局は旧アラブ諸国で決定的な衝突へと至る。
そこで、一人の男が現れる。
彼はオーディルーンを「旗印」から「組織」へとまとめ上げ、徹底抗戦を呼びかけた。
もし彼の指導が続いていれば、戦争はさらに長く血を流すものとなっていただろう。
だがその衝突を、和平へとそしてオーディルーンの全面降伏へと転じさせたのが有馬祐樹だった。
祐樹は停戦交渉の場に立ち、双方に武器を置かせた。
先進国を代表する調停者として。
そして、疲弊しきった無政府地帯の民の声を代弁する者として。
その瞬間、無数の銃口が下ろされ、戦いは収まった。
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こうして二一〇四年、オーディルーン戦争は終結を迎える。
英雄の名は世界に轟き、彼の存在は「平和の象徴」として刻まれた。
だが同時に、和平の裏側には火種が残された。
「旗印」は依然 民衆の目に焼きつけられているのである




