第4話 ルブアルハリ
念の為に
この物語に出てくる 国、地域は完全なフィクションであり、現実世界とは全く関係がありません
三人は燃え盛る残骸の外に出て、ようやく互いの息を整えた。
夜の砂漠は冷たく、星々は鋭い光を放っている。
だがその美しさは、彼らの胸を少しも和らげはしなかった。
「……ここは、どこなんだ?」
エメが震える声で呟く。
ラシードは崩れた金属の壁に背を預け、短く答えた。
「飛行機はドバイからニューヨークに向かっていた。離陸して四十分も経たずに落ちた……」
彼は空を見上げる。
「真っ直ぐ進んでいたとすれば、ここは……旧サウジアラビアの中央部、砂漠のど真ん中だろう」
「砂漠……」
ヒルダは小さく息を呑んだ。
見渡す限りの荒野。
生命の気配はどこにもない。
ラシードは続ける。
「有名な話だがこの飛行機は時速一六〇〇キロで飛ぶ旧式の輸送機だった。有馬祐樹がNGOのために改造したものだ。
……その速度で四十分以内に墜落した。そう考えれば間違いない」
沈黙が落ちた。
希望はどこにもないように思えた。
やがてエメがかすれた声で呟いた。
「……でも、国連の救助が来るかもしれない」
ラシードは首を横に振る。
「来るわけがない」
「な、なんでだよ……!」
「管制との通信が途絶えた時点で、撃墜は世界に知れ渡っている。
だが――オーディルーンの仕業か、国連軍内部の派閥か、誰にも分からない。
そんな状況で“救助”と称して部隊を送れば、それ自体が政治的挑発になる。
時速1600キロ近い飛行機が地面に墜落して 生存者がいると考える人間は少ない。全員死亡したと考えるのが普通だろう。 飛行機が墜落してもなお形を保ち、俺らが生きていることは奇跡としか呼べない
国連にとって割に合うわけがないんだ。」
ヒルダが唇をかみ、エメは拳を握り締めた。
父の顔が脳裏に浮かび、胸が締めつけられる。
三人は寄り添うようにして残骸の傍らに腰を下ろした。
星々はあまりに遠く、砂漠の夜は容赦なく冷えていった。
『オーディルーン』
――時代は二十年ほど前に遡る。
次話は20年前に遡ります。
出てくる国の名前に『旧』が出てくるのは
何故か
よくわからない組織的な何か
旧式の輸送機を採用した理由…




