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流星のエメ  作者: 西谷佳紀
第一部 第一章 エメロン
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第二話 刻印



「……ここは……?」


エメは目を開く。耳に炎の唸り、鼻に焦げた金属の匂い。

視界には裂けた機体の残骸。さっきまで共にいた人々の影が横たわる。

前を見ると、そこには父がもういなかった

辺りに転がる人だった物は黒く焦げ判別すらつかない

声は戻らない──胸が締めつけられる。

なぜ、平和セレモニーに向かう僕らがこんな目に合っているのか、この状況で彼に答えなど出せるはずがなかった

「……誰か……」

「誰かいないのか……! ねぇ!誰か!!」

炎の弾ける音は声をかき消してしまう

返事はない。

エメは震える手でシートベルトを外し、座席から這い出した。

炎と煙の間を、ふらつきながら進む。

焼き付けざるを得ないこの惨状を目の当たりにしながら

不思議と涙は出なかった。


──その時、夜空が再び裂けた。

閃光とともに、数多の流星が尾を引いて降る。


その破片のひとつが、真っ直ぐエメへ。

避ける間もなく、光は左手へ吸い込まれた。


「……っ!」


心臓を貫く痛み。視界が白く弾け、全身が痺れる。

左手の甲が眩い緑光を放ち、皮膚の下に紋様が浮かび上がる。


その瞬間、脳裏に文字が焼き付いた。


『希望』


文字は雷鳴のように響き、すぐに霧散する。

見つめる間もなく、光の印はふっと消えた。

ただ、左手に焼けるような熱だけが残る。


その直後──

エメの背後、崩れた客席の奥から、ひとつの石が飛び出し、宙を駆け、残骸を突き破って夜空へ飛び去った。

尾を引く光は一瞬で闇に呑まれる。


「な、なに……今の……!」

炎の向こう、機体の残骸の外から聞こえた

少女の驚きの声。

続いて、少年の鋭い声が重なる。


まだ、生きている人がいる──。

今目の前で起きた一連の怪現象を心に問う前に

エメは顔を上げ、声の方へと足を向けた。



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