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選択の時
暴動の被害は想像を超え、避難所は壊滅的な状況に。
応急処置すらできない状態に追い込まれた中で、神崎たちはすべての行動を再評価せざるを得なくなる。
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行政は正式にMORUチームへ“完全撤退”を通達。
「これ以上、民間医療班を危険に晒すべきではない」という意向だった。
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病院側も判断を迫られ、チーム内でも意見が分かれ始める。
柊:「助けたくても、命を落としたら意味がない」
南雲:「でも……もし私たちがここで引いたら、この人たちは?」
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神崎はひとり静かに、被災者たちが身を寄せ合って眠る仮設テントを見つめる。
そこには、小さな子どもが布切れのような毛布を握りしめ、母の胸で震えていた。
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翌朝、神崎は言った。
「この地を、俺たちは見捨てない。
行政の支援がなくても、俺たちは医者だ。命を守ることをやめない」
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その言葉に、チームは再び奮い立つ。
レイラも静かにうなずき、医療支援継続の意志を示した。
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だが、その選択には重大なリスクが伴う。
“守るべき命”と“自分たちの安全”――
二つの天秤が、再び揺れ始める。