そして、命は繋がれていく
雪の山から帰還したMORUチームは、災害現場でのすべての任務を終えた。
彼らの身体は傷だらけだったが、心には確かに“命を救った実感”が灯っていた。
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蒼鷹総合病院に戻ると、病院中のスタッフが彼らを迎えていた。
誰もが黙って、深く頭を下げる。
「おかえりなさい」
それだけの言葉が、全てを物語っていた。
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神崎は報告書を提出しに本部へ向かうが、そこでも待っていたのは思いがけない言葉だった。
「今回の活動を受けて、MORUの必要性を再評価する声が上がっている。
まだ正式ではないが、継続の可能性がある」
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一度は解散の対象とされたチームが、命を通してその存在価値を証明したのだった。
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柊は病院の屋上で、空を見上げる。
「思ったより……私たち、やれてたんだな」
南雲は小さく笑って答える。
「生きてる限り、まだやれるよ」
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レイラは母国へ戻る前、神崎と最後の言葉を交わす。
「あなたたちは“命”を単なる医療として見ていなかった。
だから救えた命がある」
神崎は静かにうなずく。
「また必要になったら、どこにでも行く。俺たちは、医者だから」
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最後のシーン――
病院の一角、産科病棟の前に、あの山奥で生まれた赤ん坊を抱いた母親の姿があった。
神崎はガラス越しにその子を見つめ、微笑む。
「この命が、未来を変えるかもしれない」
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扉の外に、MORUのメンバーが揃って立っている。
どの顔にも、疲れとともに確かな誇りが宿っていた。
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MORU。
それは、誰一人犠牲にしないという信念の集団。
今日もまた、命を救うための旅に出る。