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永劫の天冥交戦

作者: Thinker U

この雲から考えた物語は、人間社会が抱える根源的な問題、すなわち「愚かさ」を象徴的に表現しています。

「この語り面白かった。次は何の語り?」と言う底の地の民達。

「では次の語りは興味深い語りでも語っていこう。」と言う底の地の民。


物語の名は「永劫の天冥交戦」と銘打たれたその物語は、深淵なる地に住む民たちの口から語られた。


五つの歳月が巡る間に、暗黒の領土と光輝の領土は、領土の帰属をめぐり、深い溝を刻み込んでいった。そしてつい最近、その争いは終止符を打ったという。残された古文書には、「永天地暗明戦争」の文字が刻まれていた。


暗黒の領土は、永劫の雷鳴が轟き、薄明かりが支配する世界。

民たちは、暗闇に心を閉ざし、活力を失っていた。

しかし、ある転機を迎え、彼らは心を開き、温かな光を放つ存在へと生まれ変わった。

その変化は、王をも巻き込むものだった。


対照的に、光輝の領土は、眩い太陽が照りつけ、涼風が吹き抜ける楽園。

民たちは、陽気に満ち溢れ、互いを思いやる心を持っていた。

だが、ある出来事を境に、彼らは暗黒に飲まれ、活力を失ってしまった。王も例外ではなかった。


この戦いの火蓋を切ったものは、暗黒の民たちだった。

彼らは、夜闇に紛れて光輝の領土を奇襲し、その地に暗黒の影を落とす。

暗黒と光が交錯する中、光輝の領土は徐々に傾き始めた。


まるで滝が流れ落ちるように、光輝の領土は深淵へと没していく。

民たちは、木々や家と共に、その底へと引きずり込まれていった。


生き残った光輝の民たちは、暗黒の民たちに反撃を開始する。

その結果、光輝の領土には炎が燃え上がり、黒い煙が立ち込める。

その異変を察知し、中立を保っていた二線地の人々が動き出す。


二線地は、天候に恵まれ、民たちは穏やかな性格で知られていた。

王は優柔不断な面もあったが、あらゆる能力が均衡していた。まさに、バランスのとれた世界だった。


二つの国の争いを目の当たりにした二線地の民たちは、「なぜ、この均衡が破られてしまったのか?」と自問自答を繰り返す。そして、王に、この事態にどう対処すべきかを問いかける。


王は長い時間をかけて熟考し、最終的に「見守る」という決断を下した。

争いの原因が不明な上に、被害が二つの国だけに留まらない可能性を考慮した結果だった。


光輝の民たちは、多くの犠牲者と、失われた家や自然を嘆き、領土を暗黒の民に譲ることを決意する。しかし、この領土は、元々どちらのものというわけではなかった。


つまり、この地を誰のものにするかという争いが、全ての始まりだったのだ。

暗黒の民たちは、領土を手に入れたことで、争いに終止符を打つと宣言する。


しかし、領土が暗黒の手に渡り、争いが終わったはずなのに、民たちの心は変化していた。


問題が解決したかと思われた矢先、光輝の民たちは、領土の返還を求めて再び暗黒の民に迫る。

しかし、暗黒の民たちはそれを拒否する。


その結果、光輝の民たちは攻撃を開始し、天から光が降り注ぐ。

暗黒の民たちは、このままでは国が滅亡すると考え、反撃を開始する。


その頃、二線地の民たちも動き出す。光輝の民たちの攻撃が、二線地にも被害を及ぼし始めたからだ。


しかし、暗黒と光が交錯するたびに、両者の攻撃力は増大し、新たな武器が開発される。

その結果、争いはますます激化し、被害は拡大の一途を辿る。


その力は、バランスのとれた二線地の民たちを近づけさせないほど強力だった。

そのため、争いは終わることなく、長い年月が過ぎてもなお続いていると、二線地の民たちは語る。


そして、二線地の王は、この争いを「永天地暗明戦争」と名付けた。

過去の過ちからの学びの欠如と、対話の拒否


物語は、過去の争いを繰り返す人間の愚かさを強く批判しています。歴史から教訓を得ず、平和的な解決策を模索するのではなく、常に武力に訴えかけるという人間の行動パターンは、現代社会においても普遍的に見られる問題です。


なぜ、人間は冷静な話し合いや議論を通じて問題を解決できないのでしょうか?

この問いは、物語が提示する最も重要なテーマの一つです。


少数による多数の支配と、永続する争い


物語は、少数の者が多数を支配し、愚かな争いを永続させるメカニズムを描いています。

権力を持つ者たちは、私的な利益のために戦争を仕掛け、多くの人々を犠牲にします。


この構造は、歴史上の数々の紛争において繰り返されてきた悲劇的なパターンを反映しています。


人間の興味と、揺れ動く心


物語は、人間の興味がいかに一点に集中し、それが争いの原因となるかを描いています。

また、人間の心は常に揺れ動き、意志が弱いことを強調しています。


これらの要素は、人間の負の側面であり、物語を通じて深く掘り下げられています。


まとめ


「永劫の天冥交戦」は、人間の愚かさ、過去の過ちからの学びの欠如、対話の拒否、少数による多数の支配、永続する争い、人間の興味と、揺れ動く心といった、普遍的なテーマを扱っています。

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