エドガー・アラン・ポーの美女シリーズ<たまごの美女>
民話『鶴の恩返し』は日本各地に伝承されており、地方によって違いがある。そのバリエーションがウィキペディアに載っていたので以下に引用する。
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鶴を助けた人物が翁ではなく若者である。
その若者と人間に化けた鶴が世帯を持つ異類婚姻譚である。この類型は「鶴女房」として知られる。
老夫婦ではなくて、老爺の一人暮らしであった。
鶴は買ってきた糸でなく、自分の羽毛で機を織り、そのせいで日に日に痩せ細る娘を見かね、怪訝に思った翁が、機織りの部屋を覗く。
娘が鶴に戻り若者の元を去った後、若者は自分の行いを悔やんで僧となる。
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今回ご紹介するのは機を織るのではなく、卵を出す話だ。
「絶対に中を覗かないで下さい」
そう言って妻が隣室にこもり、朝になると新鮮な卵を幾つも持って出て来る。市場へ持って行くと、これが高く売れた。
物価の優等生と言われる卵だが、最近の価格高騰からも分かるように、実は安定供給は大変だ。昔は現代よりも貴重な品物だったのである。
そんな中、妻が卵をたくさん持って現れる。鶏を飼っているわけでもないのに、と不審に思った夫が部屋を覗くと!
妻は手鼻で大量の黄色い鼻水を掌の上に出し、これまた黄色い痰も掌に吐き出して、それらネバネバした物体を両手で握って外側を固め表面に細かく割った貝の殻をまぶした。それで完成である。この作業を繰り返す。やがて鼻水も痰も出なくなった。すると彼女はニッコリ笑って「ああスッキリした」と言い床に入って眠り始めた。
ぐ~すかピーと寝息を立てる妻に気付かれぬよう静かに襖を閉めて夫は思った。
「卵を売った金で鼻水と痰のキレを良くする薬を買って来よう」
夫が買って来た土産の薬に妻は大層喜び、より多くの卵を作るようになったそうである。どっとはれ。