裏切りの月① 暗殺者《アサシン》
登場人物
アランジュベール…幼少の頃、親に見捨てられ否応なしに暗殺者として訓練される、それにより人を信じられなくなり、やがてプロとして淡々と仕事をこなす凄腕の暗殺者となる、性格は無口で無感情、徹底したリアリストで〈目的の為なら手段を択ばない〉事を信条としている。
ジャック…アランのパートナー、表向きは裏路地の小さな店で武器や防具、家庭の道具に至るまで修理とメンテナンスを請け負っている道具屋をやっている、しかし裏では暗殺者の仲介、違法な商品の横流し、国外逃亡の手助け、書類の偽造や裏の情報提供と金額次第では何でも扱う裏社会の窓口になっている。
それは見事なまでの満月が出ている夜だった、月だけが世界の闇を照らし
人々に静寂と幻想を提供している……そんな錯覚さえ覚えるほどに
美しい満月の夜だった、これはそんな中で起きた出来事である。
ここはゲルドガルム王国という国のムジャールという東の町の中にある高級住宅地
その中でも一際大きな屋敷の一部屋でその事件は起きた
夜の静寂を破るかのように〈ガシャーン〉というガラスの割れる音が響き渡る
「ま、待て、誰に頼まれたのかは知らんが金なら出す、いくらでも出すから命だけは助けてくれ
お前が一生遊んで暮らせるだけの金額を……モゴッ⁉」
その男は黒装束に身を包み、鍛え上げられた肉体は服の上からでもわかるほどの引き締まった筋肉
そしてどれ程の修練を積んで来たのか想像に難くない手慣れた手つきで
今回のターゲットである貴族にゆっくりと近づいていく
それとは対照的に恐怖のあまり硬直してしまった貴族の男は
急に訪れたわが身の危険に震えが止まらずゆっくりと何度も首を振ってる
その貴族の口を左手で塞ぎ慌てることなく淡々とした口調で語り掛けた
「これで終わりだ、アンタに恨みはないがこれも仕事だ、悪く思うな」
背が低く小太りの貴族は必至でもがき、叫び声をあげようとするが
男の左手がガッチリと顔を抑え込んでいてピクリとも動けない
男は右手で静かに剣を取り出し狙いを定める
「や、止めてくれ・・・」
貴族の男は涙目で命乞いをするがその男の冷酷な目を見た時、それが無駄であることを悟る
ガタガタと震えながらあまりの恐怖に失禁し足元には湯気を立てた水分が水溜りの様になっていた。
「ぐはっ⁉」
男は貴族の急所を一突きすると、その貴族は口をパクパクさせながら静かに崩れ落ち絶命した
男は回りを見渡し、何か証拠を残していないかを確認すると窓を開け逃走を図る
その時〈コンコン〉と部屋のドアをノックする音が聞こえた
「お父様、今何か凄い音がしましたけど大丈夫でしょうか?」
男は音を立てずに素早く窓から脱出すると、すぐさまその場を後にした
しばらくすると若い女性の切り裂くような悲鳴が聞こえてきて
静寂な住宅街がにわかに騒がしくなってきた、そんな騒ぎを尻目に路地裏で一旦立ち止まり
追手が来ていない事を確認すると、男は顔の下半分を隠していた黒い布を外し
何事も無かったかのように夜の街に消えていった
「ようアラン、もう終わったのか?」
アランと呼ばれたこの男は先程貴族を殺し、何食わぬ顔で現場を後にした黒装束の男だ
名をアラン・ジュベールという一流の暗殺者だ、黒い髪にボクサーの様な引き締まった体
そして端正な顔立ちに無口で無感情を思わせるクールな姿勢が印象である
「ああ終わった、いつもの様に頼むジャック」
アランはそう言って持っていた刀をおもむろに取り出し机の上に置いた
ジャックと呼ばれたこの男は年齢三十半ばくらい、長身で浅黒い肌
強面のスキンヘッドで鋭い目つきをしている
表向きは裏路地の小さな店で武器や防具、家庭の道具に至るまで
修理とメンテナンスを請け負っている道具屋だ。
しかし裏では暗殺者の仲介、違法な商品の横流しや裏の情報提供と
金額次第では何でも扱う裏社会の窓口になっていた、そんなジャックが
台の上に置かれた刀を見て呆れた様にため息をつく
「おいアラン、この刀、先日メンテナンスしたばかりじゃねーか
一度しか使っていないコイツを又すぐにメンテナンスする必要があるのか!?
まあ俺にしてみればメンテナンス代が儲かるから別にいいけどよ……」
そんなジャックをジロリと見上げるアラン
「金は払うのだからつべこべ言わずにやれ、知っての通り
俺の刀は色々仕込みがしてあるせいで通常の物より強度が落ちる
肝心の本番で不具合を起こしたらそれこそ命とりだからな……」
ヤレヤレとばかりに首をすぼめるジャック
「この刀のメンテナンスは通常の物より3倍の金額をもらっているから
俺としてはおいしい仕事だけどな、結構複雑でデリケートな武器だから
腕の見せ所って事もあるし、本来俺の仕事はこっちだしな」
そう言いながら刀を受け取り奥へと運んでいくジャック
その背中を見ながらアランはふと問いかけた
「なあジャック、あんた修理屋としてそれだけいい腕を持っているのに
なんでこんな色々な汚れ仕事も請け負っている?」
奥の部屋から帰ってきたジャックはクスリと笑い遠い目で天井を見上げながら
独り言のように静かに語り始めた。
「こう見えても俺は昔、メルゲンストリートに店を構えていたことがあったんだ
それほど大きな店じゃなかったが腕と目利きには自信があったからな
女房と娘、三人でコツコツと働き、顧客も少しずつ増えていった
道具屋としてはそれなりに上手くいっていたんだ、それがある日
ボナーク商会の奴らが現れて《ウチの傘下に入れ》なんて偉そうにぬかしやがった
もちろん断ったさ、あいつらの商売はプロのやる事じゃねえ
修理はいい加減、商品は粗悪、そのくせ法外な値段を取りやがる
しかしあいつらは誘いを断った俺の店を目の敵にして嫌がらせの限りを尽くしてきた
あまりに酷い迷惑行為や営業妨害に我慢の限界を迎えた俺は役所に訴えたんだ
しかしいくら役人に訴えてもあいつらのバックには有力貴族がいたからな
全部握りつぶされた……しかも逆に名誉棄損で訴えられて賠償金の請求までされたんだ
ひでえ話さ、そうして商売が立ち行かなくなった俺の店は潰れて
あいつ等に格安で買い叩かれたんだ、それでも結構な借金が残ってな
それで女房と娘は家を出て行った……だから必ずもう一度店を開いて
今度こそあいつらに勝ってやると心に決めたんだ、その為には
どんな汚い仕事でもこなして金を集めなきゃならないからな
それとあいつらのバックについてる貴族共の弱みを握る為にもこの仕事は
中々役に立つ、だから今回お前さんがボルデランドとかいう貴族を始末してくれたから少しスッとしたぜ
あの男はボナーク商会とは直接関わっていない様だが、裏ではかなり悪どい商売をしていたみたいだからな」
ジャックは嬉しそうにそう話すが、それには全く反応せず無表情のアラン
「別に俺は相手が善人、悪人で仕事を受けている訳じゃないからな……」
いつも感情を表に出さないアランをジッと見つめながら、ふと質問をぶつけてみた
「なあアラン、お前さんは何で暗殺者になったんだ?」
ジャックは淹れたての熱いコーヒーを金属製のカップに入れながら問いかけた
アランは視線だけジャックに向け特に思いを込める事もなく静かに語り始めた
「俺はこれしかできない、だから暗殺者をやっている、特別な理由なんかない……」
まるで〈それが当然の事〉とでも言いたげな口調でボソリと呟き差し出されたコーヒーを口に運ぶ
そして狭い店内に沈黙が漂った、アランは普通の中流家庭に生まれ育った
父はオストレク王国の騎士でありいつも最前線で戦っていて数々の武勲を上げていた
とはいっても父自身がそれほど強かった訳ではなく、父の所属していた王国聖騎士団の一番隊が
【無敵の一番隊】と呼ばれる程強く数々の武功を上げた
中でも王国聖騎士団一番隊長のビュデルハムは【オストレクの英雄】と言われる程強く凛々しかった
多国との数々の戦いにおいて一度も負けたことがなく、戦えば必ず勝つ
【常勝不敗の名将】として国民から熱狂的な人気があり
《オストレクの国民は国王の名前を知らなくともビュデルハムの名前は知っている》
などと言われる程であった、父は家に帰ってくるといつも戦いの中で
自分がどれほど活躍し一番隊がどれほど強くカッコいいか
酒を飲みながら自慢げに話してくれた、アランは子供ながらその話を聞くのが大好きで
いつも父の帰りを待ちわびワクワクしながら父の武勇伝を聞いていた
父と母と自分の三人暮らし、取り立てて裕福ではなかったが生活に困るようなことは無く
こんな生活がいつまでも続くと信じて疑わなかった、しかしその時は突然訪れた
いつもは暗くなってから帰宅する父がある時、急に昼過ぎに家に帰ってきたのだ
「あら、どうしましたアナタ、こんなに早くに、お仕事はもうよろしいので……」
母がそう言いかけた時、父は今まで見たことのない表情で机の上にあった皿やグラスを薙ぎ払った
〈ガシャーン〉という食器の割れる音が家に響き、頭を抱えた父が椅子に座ってブツブツと独り言を言い始めた
「俺は何も悪くない、何も悪いことはしていないのに……それなのに、クソ‼」
明らかにいつもの様子と違う父の姿に困惑し固まる母とアラン
しばらく一人でブツブツとつぶやいていた父は急に顔を上げ、睨むように母を見つめると
大声で怒鳴りつけた
「酒だ、酒を持ってこい、酒でも飲まなきゃやっていられるか‼」
何が何だかわからず、言われるままに酒を運ぶ母、恐る恐る酒とグラスを差し出すと
父はその酒を右手で無造作に掴みグラスを使うことなく、そのままラッパ飲みし始めた
こんな父の姿を見たことがない母とアランは困惑し固まってしまう
酒を一気に飲み干し空になった酒瓶を乱暴に壁に投げつける父
それからしばらく怒鳴り散らしながら不平不満をぶちまける父の姿を
部屋の片隅で震えながら見守る母とアラン、話を聞いていると
どうやら王国聖騎士一番隊長のビュデルハムが密かににクーデターを画策しそれが発覚した為
全ての地位と権利をはく奪され、反逆者として牢に収監されたという事である
一兵卒である父にはクーデターの計画など聞かされているはずもなく
何が何だかわからない内に自宅謹慎を言い渡されたのだ
このままでは良くて職を失い、悪ければ反逆者一味として収監や処刑まで有り得るのだ
祖国の英雄から一夜にして反逆者のレッテルを張られた父は絶望感と憤りで荒れ狂っていた
それから数日が経ち色々調べが進むと、クーデター計画は隊長であるビュデルハムと
副官三人しか知らされておらず、一般兵達の無実は証明された
しかし国王側は見せしめという意味も込めて一番隊の隊員を全て解雇したのである
犯罪者という誤解は解けたものの《反逆者の部下》というレッテルを張られた一番隊員の中には
自殺する者まで現れた、いきなり無職として放り出された者達も明日からどうやって生活していこうか……
と途方に暮れた、ジュベール家もその日を境に地獄のような日々が始まった
父は朝から酒を飲んでは母とアランに当たり散らす様に暴力を振るった
母は生活費を稼ぐ為、働きに出たが毎日の様に酒を飲んで暴れまわるだけの父が全ての貯金を使い切
、借金をしながら酒浸りという日々が続いく、そんなある日朝から仕事に出た母が帰ってこなかった
次の日もその次の日も母は帰ってこなかった、怒り狂った父が仕事場へ怒鳴り込むと
母は三日前に若い男と逃げたとの事だった、それを聞いて絶望感で倒れそうになるアラン
その日からアランにとって更に過酷な日々が始まった
母が若い男と逃げた事にも腹を立てていた父はその矛先をアランにぶつけたのである
毎日あざが絶えない程殴られ、家財道具をすべて売り払い酒代につぎ込む父
もちろん子供の食事などまともに与えるはずもなく、アランはいつも腹を空かせていた
そしてついに運命の日が来る、借金まみれになった父は酒代欲しさに
アランを奴隷商人に売り飛ばしたのである、毎日ひどい扱いを受けていたアランだったが
どこかで父を信じていた、しかしその思いは無情にも打ち砕かれた
母に捨てられ父に売られたアランはその日以来笑わなくなった
父は奴隷商人に息子を引き渡す際にもわずかばかりの金を握り締め、アランに視線を移すことなく
「俺は悪くない、俺は被害者なんだ……俺は……」
と独り言のようにつぶやく父を見て、何の感情もわいてこなかった
生まれ育った町を離れ腕と足を縛られながら馬車に運ばれていくアラン
途中で何人かの子供が合流したがその全ての子供が腕と足を拘束されているのを見て
自分と同じ立場だという事を理解した、性別はバラバラだったが
年は自分と同じくらいの子供ばかりでアラン以外の子供は皆泣いていた
馬車は次々と子供を回収しながら進み目的地に着くころには十四人の子供達が
乗せられていた、その内訳は男子八人、女子六人という構成である。
馬車は森の奥深く進んで行き、到着した時にはもうすでに辺りは暗くなっていた
虫の鳴き声だけがかすかに聞こえる森の中、木々が生い茂り空を覆い隠す様に生えている為
月明かりさえも届かない漆黒の闇の中、馬車はゆっくりと止まり奴隷商人が
後ろの子供たちに向かって言い聞かせるように話し始める
「いいかお前ら、今からお前らのご主人様ともいえるお人に会わせる
これからはその人が言う事が絶対であり逆らうことは許されない、いいな」
そう言い放ち暗闇の中へと消えて行った、それからしばらくすると奴隷商人と共に一人の男が現れる
年齢は五十過ぎと思われる男だったが、目つきが鋭くやや細身の体
全身黒装束でこの暗闇の中では目を凝らして見ないと見えない程である
「ムゲナ様、いつもありがとうございます、今回は男子八人、女子六人という内容です
ご要望通り十一歳から十三歳までの子供でございます」
ムゲナと呼ばれるその男は奴隷商人の言葉に無言で軽く頷くとアラン達を物色する様にジッと見つめる
その冷淡な視線と絶望的な状況に再び泣き始める子供たち
そんな事は関係ないとばかりに無反応のまま子供たちを見つめていたムゲナは
一人だけ泣いていない子供と目を合わせた、その子供も無感情な目でムゲナを見つめ返す
ほんの数秒見つめ合うムゲナとアラン、するとムゲナはニヤリと笑い奴隷商人の方へ視線を向けた。
「いいだろう、約束の金額を支払ってやる」
そう言って金の入っている布袋を手渡した、それを手に取った感触と重みに
満足げな奴隷商人は大きく頭を下げ、金の入った布袋を大事そうに抱えてそそくさと馬車に乗り込む
「ありがとうございました、また奴隷の子供がご入用の際は私めにご依頼ください、では」
そう言い残し馬車は闇夜に消えて行った、ほとんどの子供たちがグスグス泣いている状況の中で
ムゲナは冷徹な目を子供たちに向けると命令調で話し始める。
「いいかお前ら、これから我等の本拠地に向かう、黙ってこの俺に付いて来い
もしここでずっと泣いていたいならそうするがいい
だがここにいても誰も助けなど来ないと知れそしてこの森は
子供が自力で歩いて出られる様な所ではないし凶暴な獣も多く生息する
非常に危険な森だ、ここにとどまるという事は野垂れ死ぬか獣に食われて死ぬかの二択でしかない
いいか二度は言わない、死にたくなければ俺に付いて来い、いいな」
淡々とした口調ながらムゲナの言っている事が嘘でも脅しでもない事は
子供たちにもなんとなく伝わってくる、ベソをかきながらもムゲナに付いていく子供たち
十分ほど歩くと大きな洞穴があり、そこに入っていくムゲナ
洞窟の中はひんやりとしていて時々天井からポツポツと水滴が落ちてくる
その不気味な雰囲気と肌を冷やす嫌な冷気が余計に子供たちの不安感を掻き立てた
洞窟を奥へ奥へと進んで行くと中から明かりが見えて来る
更に近づいて行くと複数の声が聞こえてくる、どうやら何かの訓練をしている様だった
そこには開けた場所があり、居住区と思われる建物が視界に入って来る
唖然とする子供たちを尻目に、ムゲナは歩みを止めアラン達の方にクルリと向くと静かに語り始めた。
「我等は最強の暗殺組織【ゲルゼア】、ここは我等が本拠地である
お前らはここで鍛えて一流の暗殺者になってもらう、言っておくがお前らに拒否権はない
拒絶する者や逃亡者には絶対の死が待っていると思え
そして脱落したものにも死が待っている、ここでついてこられない者はどのみち一流の殺し屋にはなれん
よって容赦なく切り捨てていくからそのつもりでいろ、質問は受け付けない、以上だ‼」
そう言い放ち立ち去るムゲナ、残されたアラン達は別の男達に大部屋のような所に案内された
そこは二十畳ほどの広さで部屋の隅に薄っぺらな敷布団と毛布が山積みになっており
それ以外は何もないという簡素な部屋である。
「ここがお前らの部屋だ、騒いだり変な気を起こしたりするんじゃないぞ」
案内の男達もそう言い残し去っていく、残された子供たちは、女は女同士で部屋の隅で固まり泣いていた
男はバラバラで座り込み皆うつむいている、アランは周りを見渡したが監視らしき人間はいなかった
『あいつらは思春期を迎えている男と女を同じ部屋で寝泊まりさせる事を何とも思っていないのだろうか?』
アランは冷静にそんなことを考えていた、しかし他の子供たちは今置かれている状況と
《暗殺者になってもらう》という言葉に困惑していてそれどころではないようだ
『もしかしてさっきの男が言った《変な気を起こすんじゃないぞ》
というのはそういう意味も込めてなのかもな・・・』
他の子供たちと違って冷静に状況を判断できている事に自分でも少し驚いていた。
その時一人の男子がボソリとつぶやいた。
「暗殺者ってなんだよ……冗談じゃねーよ……」
その言葉に皆ビクッと反応する、更に泣き出す女子もいたが誰もその子に声をかけることは無かった
アランはそこでも冷静に観察していた
『人に気を使うっていうのは、あくまで自分に余裕がある人間がやる行為なのだな……
学校なんかだと女が泣いていたら皆が挙って慰めるモノだが……』
アランは半分自暴自棄になっていた為、他人を冷静に見ることができた
なにせアランは自分の両親に見捨てられたのである、母には捨てられ父には売られたのだ
だからこそ今の置かれている状況に適応していくしか生きる道は無いと
半ば冷静に半ばヤケクソ気味に考えていた、そんな時一人の男子がスッと立ち上がり
大きな声で皆に呼びかけた
「みんな、ちょっといいかな?ここに集められた俺達は多分同じような境遇で売られてきた人間だろうと思う
だからこそ皆で乗り越えないか?一人では無理でも皆でなら……どうだろうか?」
突然の提案に皆の心は激しく揺れる、こんな絶望しかない場所につれて来れられ
藁にもすがりたい気持でいる子供たちにとってはこの少年は救世主のように見えたのである。
この話は以前書いた物ですが暗くて重い話の内容となっており、あまり読み味の良いモノではありません、ですが私としては結構気に入っているので良かったら読んでいただけると嬉しいです、全13話となっていますので毎日投稿しても二週間ほどで完結です、次の作品への繋ぎとしてアップしますので再び生暖かい目で見ていただけると嬉しいです、では。