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炎の誓い 聖戦士のため息 別伝 1話目 古の約束

今日から新しい物語「炎の誓い 聖戦士のため息 別伝」を公開していきます。

この物語は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の新しい別伝になります。

本編の方も宜しくお願い致します。


「もう、行くのか。」

「あぁ。」

「そうか。もう、一緒に飛ぶこともないということか。」

「そうなるかもな。だがわからん。」

「わからん? 我の翼が届かぬところに行くのだろう。

故に、会うことも、故に、一緒に大空を飛ぶこともないであろうが。」


「わからんさ、先のことなど。

こうして、お前と出会って、お前とともに翼を大空に広げることができたのだ。

再会して、また、翼をともに広げることもないとは言えまい。」

「そうか、確かに。貴様と出会えたのだから、故に、また会えないということはないというのか。」

「そうだな、お前が生きていれば、また、そういう日がこないともかぎらん。」


「そうだな、それではせいぜい長生きをせんとな。

貴様は死というものからこの世で一番遠い存在なのであろう。

故に、我が長く生きさえすれば、また、共に翼を広げる日も来るということだな。

その日を心待ちにして、せいぜい長生きできるようにしようぞ。」

「おおっ、そうしてくれるか、共に翼を広げる日のために。」

「約束しよう。共に翼を広げる日のために。」


「しかし、その日は遠い未来になろう。」

「そうだな、そんな簡単に行き来できるところに行くのではなさそうだからな。」

「その日まで、俺のことを覚えていてくれるか。」

「忘れないように努力はしよう。約束はできんがな。」

「そこは絶対忘れんというのが、共に翼を広げた仲というものだと思うぞ。」


「我は、共に翼を広げた真の友とは、守れないかもしれない約束はしない。」

「俺を真の友と呼んでくれるのか。」

「我が種族と共に翼を広げるということはそういうことだ。

それでも足りんな、真の友と呼ぶよりも強い繋がりということだ。」


「俺を忘れないという約束はできないか。」

「あぁ、その通りだ。

でも安心しろ、共に翼を広げたもの記憶が遠い将来に俺の中から消えても、わが種族の記憶の中には永遠に残る。その代わり、ぼんやりとではあるがな。」

「そうか、種族の記憶には永遠に俺が刻まれるか。

いや、俺はやっぱりお前に覚えていてほしい。

共に翼を広げたものとしてはな。」


「言いたいことはわかったが、先も言ったように、我はできない約束はしない。」

「そうか、じゃあ、こういうのはどうだ。

見たらお前の記憶を刺激する宝物をお前に預けるというのは。」

「我の記憶を刺激する宝物だと。

それはどんなものだ、それを我にくれるというのか。」


「あぁ、その通りだ。

ただ、ちょっとだけ痛い思いをするかもな。」

「我の記憶から共に翼を広げたものが消えるよりも痛いものがあろうか。

是非、それを我にくれ。」

「わかった、お前のその逆鱗の隣にある鱗を俺にくれるか。おれは剥がしたうろこの代わりとなるものを授けよう。」

「逆鱗でなければ問題はないが、そんなことで我は貴様のことを忘れなくなるのか。」


「正確にはちょっと違うな。」

「どう違うのだ。」

「我はお前からもらった、鱗を加工してアーティファクトを作るつもりだ。

そのアーティファクトはお前に与える逆鱗の隣の鱗の代わりの物と対になる。

お前がアーティファクトを見ると逆鱗の隣の鱗の代わりがそれに反応して、お前に俺のことを思い出させるという趣向だ。

どうだ。これだったら、俺を共に翼を広げたものとしてお前の記憶から消えてもすぐに思い出せるだろうよ。」


「して、そのアーティファクトは貴様が持っているんだろうな。再開の日のために。」

「あぁ、そのつもりだ。

ただ、どうしてもお前の力を借りたいときは別の者に持たせるかもしれん。

その時は俺でなくても、アーティファクトを俺が授けたものとして、力を貸してくれるか。」

「もちろんだ。共に翼を広げたものが認める者、それは貴様と同じ俺の友として遇しよう。約束する。」


「それではかの鱗をもらえるか。」

「今すぐか。」

「俺もそろそろ行かねばならんからな。いやか。」

「やっぱりちょっと痛いのでな。

我慢できなくはないが。

ちょっとだけ痛いんだぞ。」

「そこは我慢してくれるか。

そうだ、これが逆鱗の隣の鱗に代わるものだ。

鱗を剥がしてすぐにこれを埋め込めば少しは痛みが柔らくのではないか。」


「おおっ、そうだな。それでは剥ぐぞ。

それ。

ぐぇぇぇ。やっぱ痛いぞ。」

「ははははっ、早く、代わりを埋めろ。

「言わんでもすぐ埋めるは。

貴様は見ているだけだからいいか、本当に痛かったんだぞ。」

「すまんな。俺のためにそんなことをさせて。」

「いいんだ、共に翼を広げたものの願いだ。これぐらいは・・・・・・、何とか我慢しようぞ。

それ、これがくだんの鱗だ、受け取れ。」

「恩に着る。」


「気にするな。それではそろそろ行くのか。」

「あぁ、行ってくる。

再開の日を、また、共に翼を広げる日を楽しみなしているぞ。」

「我もだ。

貴様と共に翼をもう一度広げる日を楽しみにしている。

さらばだ。」

「おおっ、さらばだ。」


*

*

*

*

*


「帝、まずいことになりました。」

「どうしたのだ。」

「祖先の地に駐留しているわが軍が8個師団も全滅か消滅したとこのと情報が上がってきました。」

「なに、もう一度言ってくれるか。」

「はい、祖先の地にいる我が軍の8個師団が全滅した由にございます。」


「なんだと、どいうことだ。」


「宰相、気持ちはわかるが、まずは総帥から詳細を聞こうではないか。」

「帝、失礼しました。かつてないことの為、取り乱して申し訳ない。」

「いいのだ、内心は私も困惑している。

で、総帥。わが軍の前に立ちはだかり、敗北に導いたのはどういう者だ。」


「それが良くわからないのです。」

「よくわからないとはいかなることだ。

8個師団が全滅と言うことは一個師団1000人としても1万人近い同胞がやられているということだ。

1万人もいて、どのようにやられたのかがよくわからないというのは解せんのだが。」


「私もその報告を聞いた時には同じ感想を持ちましたが、よくわからない理由を聞いたら一応は納得せざる終えなかったのですよ。」

「その理由を話してくれ、総帥。」

「宰相、わかった。

実は戦闘後に生き残った者が全くいないのだ。」


「なっ、なんだと。まさに全滅と言うのか。」

「そうだ。

局地的戦では、通常は1割の戦闘不能者が出れば敗北、それが2割になれば完敗と考えてもよろしいかと。それが全滅なのだ。」

「生き残りがいないとは、すさまじいな。

それでも敗戦確定後に後方に後退して、そこで、戦死したというのであれば、少しは敵の情報なり、戦闘の様子なりがわかるのではないのか。」


「帝、おそらくは後方に情報をもたらすことが出来ないほど瞬時に一個師団が全滅したと思われるのです。」

「なんと、一個師団が瞬時に全滅したというのか。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします


この物語「炎の誓い 聖戦士のため息 別伝」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。

「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編ではシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」ではエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都に。

もう一つの「 アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」では駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


本物語では旅団の面々がエルフ領で活躍している間に起こってしまった人類領への魔族軍の大侵攻について、それを阻止した炎の使徒の活躍について語ったものです。お楽しみください。


「聖戦士のため息」シリーズとして、10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も本物語の前提の一つとなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


シュウとエリナ、イリーナや輪廻の会合に集いし面々が活躍するサーガをお楽しみください。


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