第十九話 生徒プロフィール4
玄関からいつものように自室へ向かう。
途中中庭を覗いたが、拝島が掃除したくなる気持ちも分からなくもないほどに草がボウボウに生えていた。タンポポの花が垣間見える。中央にあるはずの小池は全く見えないが、緑色になっているだろう。
自室に入るとコンピュータを立ち上げて『生徒プロフィール』を開いた。
拝島好乃、学級委員。黒髪をポニーテイルにしている。キチッとしている方が似合うように感じたが、実際はそこに至る過程が嫌いなのか服装は少し着崩していた。掃除をゲーム形式にしたことからも推測できる。リーダー的存在。苦手なことは料理らしいが、昼食のおにぎりが美味しかったのでそこまで酷いわけではないのだろう。頭の回転は速め。そう考えるとO))スーパーでの出来事は奇妙に感じられる。何を見ていたのだろうか。
岩井琴子。身長は低い方に入るだろう。肩まで伸びる茶色がかった黒髪はサラサラ。四人の中で一番ファッションセンスがありそう。特にこれといった特徴はない。俺に最初に弁当を渡し、またここに来ることを言い出した張本人。シャイだが行動力はありそうだ。
叶鼎。適当に付けたとしか思えない気もしなくはない名前。少し不思議なイントネーションで喋る。よく分からないものを好きになる傾向が見受けられ、パセリが好き。将来の夢は料理人。昼食の肉じゃがから夕食のフランス料理まで、幅広いジャンルを作れるようだ。
夢星宇宙、保険委員。クラス内では杉目天の次に身長が低い。寡黙。読書好きで暇があればいつでも読んでいる。本の種類はランダム。頭の回転は天よりも速い。行動も素早いが、これは面倒くさがりの裏返しか。『オトシモノ』を持っているようだ。だがそのせいで東条家にトラウマがあるように見受けられた。いや、あれはPTSD、つまり心的外傷後ストレス障害に近い症状かもしれない。ちなみに、宇宙儀の組み立てセットを持っているらしい。
以上四人は城ヶ崎浜と友達のようだ。ファンクラブ会員の可能性がある。
江ヶ崎萌、男。身長は俺と同じくらいだが茶髪。学校にいる時は律儀にも黒くなっていたから休みだけの特典だろう。髪が可哀想だ。
東条都靄、俺。備考として書いておく。父は現国会議員の東条影偶致、父方の祖父の東条伊丹治は三代前の内閣総理大臣。まだ健在だ。東条家は政治家を多く輩出しており、『オトシモノ』と何かしらの関係があってもおかしくはない。ちなみに俺はこうやって一人きままに好きにさせてもらっていて、政界や『オトシモノ』にあまり興味は無い。今は学校を征服できればそれでいい。家出同然で出てきたが、両親その他が追ってこなくかつここを使っても文句がないことを考えると、黙認しているのかもしれない。
書き終えて、伸びをする。
それにしても、これからどうしようか。
よく考えてみると、征服する、というのがどういう状況になれば達成されるのかあまり考えていなかったかもしれない。何となく皆のリーダー的存在になればいいと思っていた。
人の上に立つ。学校でのそこへの近道は、やはり生徒会役員か。
斉藤尊、二年生。現生徒会副会長の彼女は次期生徒会長候補らしい。彼女の協力を得られれば生徒会役員になることも容易いだろう。生徒会選挙は七月の頭の夏休み前に行われる。それまでに協力をしてもらえるような関係になっておこう。




