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第十七話 夕食の準備

「食材少なっ」

 冷蔵庫を見て食材が少ないと言う叶。

 俺も覗いてみると、確かに少なかった。そういえば、この前の夕食でスープを作り過ぎた時にほとんど使ってしまったんだった。

「なら、今から買いに行くか」

 これが騒動の元となることも知らずに、俺は気軽にそう言ってしまったのだった。


 歩いて数分の所にあるO))スーパー。普段はオースーパーと呼んでいるが、正式に何て読むのかは知らない。ちなみに、☆☆はニボシ、□□□はサンポウだ。☆☆高校の最寄り駅は×駅だが、これはペケ駅と読む。それと、九月の文化祭の名前は『煮干祭』だ。

 四人だけで買い物がしたかったらしく、俺は外で待たされている。拝島、岩井、叶、夢星の四人はすでに中に入り買い物を始めているだろう。

 宇宙儀の組み立てセットは、慣れていない俺にはまだ時間が必要なようだ。妹子ちゃんの親も一週間かかったって言っていたな。パッケージを見た時に同じ物だろうと思えたので、それくらいはかかると考えた方がいいだろう。

「君は、東条君だよね」

 突然横から声がした。そっちを見ると江ヶ崎萌(えがさきめぐむ)がいた。

「ああ。江ヶ崎君、だったかな」

「そうそう。奇遇だねぇ」

 その棒読み加減からして、最初からつけてきたのだろう。それをわざと知らせるということは、次にくるのは脅し?

「それで、江ヶ崎君が何の用かな」

「いいや、何でもないよ。ただちょっと見掛けただけさ。それじゃ」

 それだけを言うと、江ヶ崎は去っていった。あっという間に視界からいなくなる。

 何がしたかったのかは不明だが、これから気を付けておくべきだろう。


 そんなことがあってから一時間。四人が戻ってきた。

「遅かったな」

 正直な感想を言うと、叶が言う。

「何を作るのかって話しが白熱してさー、結局全部作ることになったのだよ。でもでも支払う段になってお金が足りなくってさー、何とか1万円に値切ったのだよ」

「足りなかったらもっと渡したのに」

 俺がそう言うと、それぞれ別の反応を示した。

「……」

「その手があったかー」

「東条さんに悪いです」

「面倒」

 上から、拝島、叶、岩井、夢星だ。

 拝島はさっきから俺の背後を見ている。

「拝島さん、どうしたんだ?」

 尋ねながら後ろを振り返るが、そこにはさっきまで四人のいたスーパーしかない。

「あっ、いえいえ、何でもないです」

 正気に戻った、というのが一番しっくりくる態度だった。

「まあ兎も角だよ、荷物は男が持つべきさー」

 何となく居心地の悪い雰囲気になっていたが、叶の一言でそんなこともなくなった。俺にとってはそうでもなかったが。


 ほとんどの荷物を持たされたまま家に到着した。いや、これから夕食を作ってもらうのだから、これくらいして当然だろう。

 キッチンまでそれを運び、その後は四人に任せて客間に戻ってきた。

 そして宇宙儀の組み立てセットの組み立てを再開した。


 やっと各惑星の動きの基礎となる中央部分が組み立て終わった。この調子ならば明日には完成するだろう。

 休憩がてら宇宙儀の組み立てセット解説書を読んでいると、拝島がやってきた。

「東条君、料理をここに持ってくるのが大変だから、リビングに用意していいですか」

 まあそれは俺も考えていたことだった。宇宙儀の組み立てセットがあるここだと狭いとも思う。

 だから俺は一も二もなく同意する。

「いいぞ」

「では、もう少ししたら出来上がります。そしたら呼びにきますから、それまで待っていてください」

 そう言って拝島はキッチンの方へ去っていった。

 俺は再び拝島が姿を現すまで、宇宙儀の組み立てセット解説書を見ながら宇宙儀の動作確認や明日使う部品の確認をしていた。

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