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第十六話 掃除

 五人での食事が終わると、拝島たちは本当に掃除を始めた。

 まず家中の扉や窓を開け風通しをよくする。そうやって家の間取りの確認をしながら既存の掃除用具を集めていった。

 間取りは、簡単に言ってしまえば二階建ての正方形だ。真ん中には中庭がある。拝島はその中庭を見た時何か言っていたが、多分ここも綺麗にする気だろう。

 玄関近くに戻ってきた俺たちは、そこに掃除用具を置いた。

「部屋数が、二階16部屋、一階9部屋。東条君がよく使っている部屋一室とキッチン、リビングにお風呂とトイレは今日はやらないとしても、20部屋あります。なので一人5部屋やりますが、やる部屋は早い者勝ちで決定しましょう。では、始め」

 拝島がそう言い終わると四人は雑巾と箒を一つずつ持ち、奥に消えていった。

 取り残された俺はすることも無く、客間で待つことにした。


 宇宙儀の組み立てセットを組み立てること一時間、夢星が戻ってきた。早いなと思いその理由を聞くと、

「雑巾不使用」

らしい。

 箒だけで綺麗になったのか聞くと、

「充分綺麗」

らしい。

 折角なので、宇宙儀の組み立てセットを譲ろうとすると、

「既所持」

らしい。って宇宙儀の組み立てセットを持ってるんだ。

 俺がそれ以上質問しないことが分かると、手近な座布団に座って読書を始めた。


 次に戻ってきたのは拝島だ。

「やっぱり宇宙ちゃんには敵わないですね」

 そう呟いた。他にも似たようなことをやってきたのだろうか。

 拝島は床の上にあった宇宙儀の組み立てセット解説書を見ながら、俺が宇宙儀の組み立てセットを組み立てていく様を見ていた。


 次に戻ってきたのは叶だ。

「やっぱり三番なんだよ」

 そう言って項垂れる。

 ということは、岩井がいつも一番最後ということか。

 独特の口調で文句を言いながら窓際に座布団を持っていき、そこに座って外を眺めていた。

「何見てるの?」

 と聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「雑草だよん」

 もしかして、と思いもう一つ質問する。

「パセリ、好き?」

「もち」

 好きらしい。

 俺は宇宙儀の組み立てセットの組み立てを続けた。


 あれから早二時間。一つ疑問に思い、どうやって掃除した部屋としていない部屋を区別しているのか聞くと、拝島はこう答えた。

「見れば分かります」

 そんなに汚れていたのか。


 三時間が経ち、さすがに心配になった拝島と叶は家を見廻りに行った。

 程なく二人は岩井を連れて帰ってきた。岩井は泣きそうな顔をしている。

「どうしてこんなに遅くなったんだ?」

 そう聞くと、代わりに拝島が答えた。

「全部の部屋が綺麗だったそうです。そんなはずは無いのですが」

 少し考えた俺はその答えに思い至る。

「誰か、この部屋を掃除したか?」

 俺の問いに四人は首を横に振る。そしてしばらく視線をさ迷わせるとまずは拝島が、続いて叶がハッとしたように俺を見た。夢星は読書を再開したので分かったのだろう。岩井はまだ分かっていないようだ。

「あのな、拝島さんが開始の合図をする前、何て言った。俺がよく使っている部屋とキッチンとリビングと風呂とトイレは今日はやらない、だったな」

 拝島に同意を求めると頷いた。

「つまり、その除外した部屋にこの客間は入っていない。だから本来ならここも掃除をしないといけないな」

「あっ、なら」

 そこでやっと気付いた岩井は掃除用具を取りにいくためかここを出ようとしたが、俺はそれを止める。

「待て。掃除はもう充分だし、これ以上ここにいたら親とか心配するだろ」

「まだ4時なので大丈夫です。それに中庭がまだ終わっていません」

 拝島はそう言うが、俺は女子にそこまでさせる気は無い。なので議論になる前に妥協案としてこう提案した。

「それなら、夕食を作ってくれないか」

 四人は話し合いの末、それに同意してくれた。

 宇宙儀の組み立てセットはまだ組み立て終わっていない。

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