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戦禍の大地に咲く百華  作者: 大洲やっとこ
第一部 傷に芽吹く火種
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第29話 女神の子



「ええい、くそっ! 散々だったぜ」


 毒づく同僚を尻目に、グリズヒートの体を拭う。

 雨に濡れて体を冷やしたら体調を崩すかもしれない。

 この後、また次の任務もあるだろう。体調不良で参加できないのはいやだ。


 次の任務は楽なものだ。

 逃げ惑う影陋族を捕えるなど造作もない。いくらか戦える者もいたようだが、人数も装備も不足しているようだった。


 グワン部隊と戦ったということだ。

 他にも戦える者がいたとして、無事ではなかったのだろう。

 死んだか負傷したか。

 残された者がまだ逃げているだけで、大した戦力ではない。



「っとに、地面を駆けるなんて天翔騎士の名折れだ」

「一人で雷に打たれるのはいいけど、翔翼馬は貴重だからね。勝手に道連れにするんじゃないよ」


 死ぬなら一人でやってくれ。

 できれば呪枷も誰かに引き継ぐように。翔翼馬の引継ぎは過去に例がある。

 言葉にはしなかったガーサの言い分を察して、またつまらなさそうに舌打ちした。


 槍を斬られたことも腹立たしいのだろう。

 途中、雷が鳴り出したため、地上に降りるしかなくなった。


 ガーサには理屈はわからないが、高い場所にいると雷の直撃を受ける危険が高い。

 また、これは天翔騎士の悪い癖ではあったが、街道とは外れた場所を進むことが多い。


 降りた場所も街道からだいぶ離れていて、整備されていない大地を駆けたことで撥ねた泥で汚れがひどかった。



(ま、ちょっとあたしも意地が悪かったけどさ)


 駆けながら、あまりに愚痴の多いその同僚に辟易して、つい前方で大きく泥を撥ねてやった。


 森の泥には野生動物の糞尿の臭いも多い。

 顔に被った男が黙ることはなかったが、別の並走していた同僚からはこっそりとハンドサインがあった。

 よくやった、と。



 翔翼馬の世話をしてから、自分たちのことだ。

 世話係はいるとしても、やはり自分の愛馬は自分で面倒を見るのが規則だし、またその方が相棒としての信頼度が高まる。


 グリズヒートについた泥を落とし、体を優しく撫でてから厩舎を出た。

 既に報告は済ませている。泥まみれだったが、報告の方が先だ。


 地上を駆けたことで、往路は一日かからなかったところが、帰りは二日かかってしまった。

 影陋族の避難民がのろまだとはいえ、このまま見失ったら困る。



(あの進路だと断崖しかないんだけどさ)


 川から北へと逃げて行った。

 トゴールトの北を流れる川。

 枝分かれして、ニアミカルム山脈の末端と断崖との境目あたりに落ちていく支流と、町の近くへと流れていく本流と。


 影陋族はその断崖に落ちていく支流に沿っていくようだった。



「集団自殺でもしようってのかね」


 奴隷の生活に絶望して逃げ出したのなら、そういうこともあるかもしれない。

 何も考えていないか、そもそも地理を知らない可能性もある。

 山脈を越えることができず、川の流れに沿ってなるべく北へと向かっているだけ。


 岩の下に隠れていた虫などが、急に日の下に晒され慌てて逃げているかのように。



 この後どうするか、天翔勇士団の団長サフゼンが招集をかけている。

 トゴールトの町まで呼びに行った者も、往復で半日ほどかかるはず。

 その間に食事と休息を取る為、ガーサは食事場へと急いだ。


「……罠、とか?」


 途中の通路でふと口をついて出た言葉に、我ながらおかしく思う。

 天翔騎士の存在は連中にとって驚きだっただろう。

 明らかに動揺していたし、届きもしない矢を放っていた。

 あんな様子で罠など考える余裕があったとは、到底考えられない。


 そもそも、罠とはなんだ。

 伏兵がいるとでも? あるいは落とし穴だとか。天翔騎士に対して? バカバカしい。

 同僚の突進を躱しながら槍を斬り落としたあの剣士は侮れないが、そこまでだった。


 やはりグワン騎兵部隊との戦いで戦力を削がれたのだろう。

 そこが連中の総力戦で、今はその生き残り。

 そう考えつつも、それでもガーサは思った。


 警戒しておいて損はない。

 冒険者時代もそうやって生き延びてきたのだ。


 全員が集まった時に一度、グワン部隊を殲滅したという事実について団長に相談してみよう。

 悪い可能性というのは、先に潰しておけば杞憂に終わることが多いのだから。



 集まった天翔勇士団の団員の前でサフゼンが下した判断は。

 全員出撃だった。



  ※   ※   ※ 



 可能性が、手から擦り抜ける。

 零れ落ちる。

 幻のように、夢のように。幸せが指の隙間を通り過ぎていった。



「……く、ぅ……」


 組み伏せられる。


(組み伏せられた?)


 いくら不意をつかれたとは言っても、魔法使いが腕利きの斥候を組み伏せるなど有り得るだろうか。

 しかし実際にそうされている。


 強い力で腕を取られて、強引に地面にうつぶせにされ背中に跨られた。



「……やっぱり、そうですのね」


 悲しそうなわけではない。

 ごく当たり前のことを確認するかのように、淡々と。


「ちが、う……違うの、マルセナ」

「さすがに、これで違うというのは無理があるのではありませんの?」


 マルセナの手は幻影だった。

 最初からイリアのことなど信用していなかったのか。


 見たくない聞きたくないと、イリアが目を伏せていた間に、彼女は最初からこうするつもりで。



「往生際が悪いですわよ」

「違う、聞いてマルセナ。私は」


「言葉を交わす段階はもう過ぎていますわ」


 彼女の本当の手に握られた呪枷。

 片手であっさりとイリアを押さえて、もう片手でそれを見せつける。



「従うから! 貴女に従う。約束する」

「ええ、わかっています。今、そうなります」

「外そうとしたの!」


 必死で言い募る。

 本当の想いを言葉にする。


「貴女の首につけて、すぐ外す。そうすれば信じてくれるって」

「……なるほど」


 イリアの言葉を聞いて、わずかにマルセナの力が弱まった。

 振りほどけるほどではないが、関心を示す。


「マルセナに私を信じてもらいたくて。そうすれば私が本気だってわかってくれるって!」

「イリア……」


 マルセナの顔が、イリアの頬に寄せられた。

 吐息が耳にかかる。

 そっと頬に唇をくれた。



「マルセナ……」


 伝わった。

 信じてくれた。イリアの言葉を。

 全身から力が抜ける。



「……面白い言い訳ですわ」



「っ!」

「よく考えましたこと。この瞬間に……思わず本気かと思ってしまいそうなくらい」

「違う! 違う違う! マルセナ、待って」

「こんなに機転が利くなんて、正直思ってもいませんでした。わたくし、これ以上は貴方とお話ししているのが怖いかしら」



 す、と、首に当てられる。

 布のようだったのに、ぬめるような感触が。


「まる……」


 どういう仕組みなのかわからないが、その黒い帯がイリアの首に巻き付いて、融着する。


「……最後に……そうですわね」

「待って……」

「わたくしも貴女にはパーティメンバー以上の気持ちがないわけではありませんの。一つだけ聞いて差し上げようかと」


 マルセナの声に淀みはない。

 もう決めている。このまま呪枷をつけることを。


 一つだけ、何かの気まぐれのようにイリアへの希望の糸を垂らす。



「イリア」

「マルセナ……」


「一つだけ、望みを聞いて差し上げますわ。私の奴隷として生きる貴女の望みを」


 言ってごらんなさい、と。



 嫌だと言ってももう聞き入れてはもらえない。

 信じてほしいとか、もう一度チャンスをとか、そういう言葉は聞き入れてもらえるはずがない。


 マルセナの奴隷として生きる。

 それ自体は、イリアは別に構わない。

 こんな呪枷などなくてもそうする気持ちがあった。マルセナが望むのなら。


 もう変えられない。マルセナの意志を曲げることが出来ないというのなら。



「……せめて……私を、愛して……お願い……」


 自分の幸せだけでも願う。

 マルセナに愛されたい。

 同じことなら、愛される日々を願う。


「イリア……」

「お願いだから……貴女が、好きなの……」


 マルセナの指がイリアの首に掛かった。

 ぬめるような感触だったそれが、触れた指先の所だけ噛みつくように痛みを感じる。


(あ……)


 それは、強く唇で吸われるような感覚。

 あるいはマルセナ自身に噛みつかれるかのような。甘噛みされているような。


「マル、セナ……」


「汝イリアは、我マルセナに隷従す。我に仇為すこと許さず。我が命に従わぬことなし」

「……」

「女神の言詞にて、ここに刻む」


 手が離れた。

 心に刻みつけられる。絶対的な存在としての重みが。


「……マルセナ」


 けれど、それだけだ。

 イリアの意思がなくなったわけではない。


 押さえつけていたマルセナの体がなくなり、イリアものろのろと立ち上がる。

 首の違和感に手を触れるが、それに対しての罰はなかった。



(これ、外れ――)


「あっ、ぐぅ……」


 考えた瞬間に、体に痺れが走った。

 外せるのではないか、外したらと考えた瞬間に。



「気を付けることですわ。本気で外そうとするともっと痛いらしいですわよ。ただ、死ぬことも許されぬとか」


 先ほどの契約の言葉をイリアは知らなかった。

 最初から、仮に呪枷を奪ったところで不可能だったのだ。


「……」


 全てマルセナの手の内で。

 契約はなった。

 イリアは口を閉ざして、俯く。



「女神や主人の許可なく他人が外そうとしても、その両方に気が狂うほどの激痛が走るのだとか……あら?」


 そこまで言って、マルセナがふと思い出したように首を傾げた。


「あの奴隷……ルゥナとか言いましたか」


 記憶を探るように宙に視線を泳がせた。

 イリアも思い返す。



「外れていました……わね」

「……」


 あの首に呪枷はなかった。

 傷痕はあったように思うが、呪枷はなかった。あればあんなことはしていない。



「白い呪枷だと何か違うのでしょうか?」



  ※   ※   ※ 



「白い呪枷だと何か違うのでしょうか?」


「ひ、ひゃ……は、ずすこと、は……かんが、えて、おらぬ……」


 呪術師が声を発した。

 枯れ木をこするような耳障りな声を。



「れいじゅう、の、のろい……いろなし、は、べつ、もの……」

「やはり違うのですのね」


 不気味な男で、不愉快な男だ。

 だが、マルセナの疑念に答えるつもりはあるらしい。

 イリアも気になる。


(何か、外す方法が……)


「はずす、となら、ば……女神の力、なり」

「他には?」

「さて……さて……あるじ、死せば……」


 主人が死ねば、外すことも出来ると。


「ちか、ら……ある、ものなれ、ば、のみ……」

「自らは外せないのですね。それは白も黒も同じことですの?」


 ごく普通に会話をしているマルセナが、イリアには信じられない。

 よくこんな気味の悪いものと話が出来るものだ。



「いろなし、は……あれ、ことなり……れいじゅうは、みに、きざむもの、なれば……」

「よくわかりませんわね」

「呪術の、たぐい、ゆえ」

「そうですわね。少し妙に思いますが……」


 白と黒の違いは、主以外の命令も聞くか聞かないか。だけではないのだろうか。



 シフィークは生きていた。

 なのにルゥナの首輪は外されている。

 今の呪術師の説明ではよくわからないが、白は主が生きていても外せる?


(そんなわけはない、と思うけど)


 それでは黒い呪枷の方がマシな気がする。

 でなければ、今ほど呪術師が口にしたように、女神の力に相当する何かが外したということなのか。



「濁塑滔……なるほど」


 ぽつりと、マルセナがイリアの知らない言葉を呟いた。

 それから自分の額に手を当てて、何かを考える。


「……あらゆる力を、飲み込む。でしたわね」


 そこに飲み込まれたあのラザムの魔石のことだろうか。


(そうか、ラザムの力……)


 先ほどイリアが組み伏せられた時のマルセナの力は、どう考えても魔法使いの腕力ではなかった。

 そもそもあの黒涎山の洞窟を出てからというもの、いくらマルセナが上位の冒険者だとは言っても腑に落ちないことが多い。


 魔物の体組織が、マルセナの体に何かしらの変化をもたらした。


(濁塑滔? それが……)


 何なのかイリアは知らないが、マルセナの力になっている。



「マルセナ……」

「イリア、貴女とのお話はもう終わりです」

「っ……」


 言葉を失う。

 精神的にではなく、強制的な力によって。

 声が出せない。


「面白い、ですわね。こういう形で……」


 言いながら気分が高揚してきたのか、マルセナが髪を梳いて嗤う。


「魔物の力……ふふ、悪くないかもしれません」

「ひゃ、ひゃ……ぬし、くるうて、おる、な」

「どうでしょうか。狂っているのは他の者どもかもしれませんわよ」

「ひゃ! しか、り」

 

 まるで見た目の違う二人が、同じように嗤った。

 美しさを体現したかのようなマルセナと、醜悪さを集めて煮詰めたような呪術師が。


「まだよくわからないことが多いですわね。ガヌーザ」

「ひ……はて、はて……」

「もっと話を聞かせてもらいますわ。力を貸しなさい」


 マルセナが命じる。

 気味の悪い呪術師ガヌーザに、まるでそうするのが当然であるかのように命ずる。


「ひゃひゃ、よい……よい、ぞ」

「そういえば、こんな場所に来ていたのは何か用事があったのではなくて?」


 今更に、そんな質問をする。



「しかり……しか、り。済んだ……それは、もう、なしたゆえ」


 呪術師の頭が、のそぉりと北に回る。

 北の、ニアミカルム山脈。その頂を見やって、また戻った。


「そうですの」


 山脈に向けて、何かをしたのだろうか。

 マルセナは興味がないのか、その内容までは聞かなかった。




「して、ぬし……我に、代価……なにとする、か」

「っ!」


 イリアが剣を向けた。

 言葉は制されたが、行動を縛られたわけではない。


 そして、マルセナへの敵対行動は許されなくても、そうでない者に対しては自由だ。

 むしろこれはマルセナを守る行動。



「おやめなさい、イリア」

「ぁ……」


 言われてしまえば、剣を下ろすしかない。

 イリアの意思がどうであれ、マルセナの言葉に逆らうことが出来ない。

 これが呪枷の力か。



「ふむ……ぬし、ほかは、持たぬゆえ……()()、か」


 これ。

 それは、イリア。

 マルセナは他に何も持っていないから、差し出すものはイリアかと。


「……」


 舌を噛み千切れるほどの強さで歯噛みする。

 だが、死ぬことは許されない。主人の許可がない。

 この悍ましい呪術師が、何を言うのか。何を言われても、イリアに逆らう術がない。


「われ、は、おもしろし。おも、しろから……ば、かまわぬ、ぞ」


 黒い霧のような息を吐き出して、嗤う。

 悍ましい。


「……」


 イリアの身が震えた。


(でも、マルセナが……マルセナに触れられるくらいなら)



「おやめなさい」


 声がかかった。

 その声に、イリアの目が見開かれて、信じられずに見つめる。


「……」


 言葉には出来ない。言葉を発して良いと許可されていない。

 マルセナは、イリアの視線を受けて嘆息した。


「……後払いにしますわ」

「ひ、ひゃ……おも、しろし」


 得体の知れない呪術師に対して、初対面のマルセナが後払いだと。

 そんな異常な話を面白がる。



「あとで……好きにして構いません。わたくしとイリア以外であれば」

「ひゃ、ひゃ……なん、と、なんと……」


 マルセナと、イリア。それ以外であれば。

 それはどういう……?


「他の人間なら、好きにして構いませんわ。この大陸の誰であろうと」

「ひゃ! お、おきく、でた……の」


 マルセナの言葉が、信じられない。

 イリアは瞬きも忘れてマルセナを見つめる。

 マルセナの視線が泳いだ。そんなに見るなと言うように。



「……トゴールト、でしたわね」


 泳いだ視線が東に向かった。

 そちらにあるはずの町の名前を呟く。


「そこからにしましょうか」

「ほう……ほう、それは、なん、と……」

「ガヌーザ、力を貸しなさい」

 

 再び命ずる。

 得体の知れない呪術師に。


「その町から始めましょう」

「ひゃっ……ほう、ほ! おもし、ろし」

「わたくしの町にしますわ」


 宣言する。


 マルセナが、何かの力を得たマルセナが、一個人の考えるようなことではないことを。

 イリアは逆らえない。

 マルセナがそうするというのなら、力を尽くすことしか出来ない。


 呪術師も、逆らわない。

 面白がって、マルセナの突拍子もない話に、自分の力を振るうことを厭う様子がない。



「ぬし……ぬし、名を、なんというた、か……」


 聞いていたはずだが、今の今まで記憶していなかったらしい。


「マルセナ、ですわ」


 気分を害した様子もなく、マルセナが名乗る。


 ――っ‼


 不気味な男が、一瞬震えたように見えた。

 そう見えたのはイリアだけではなかったようで、マルセナも少し首を傾ける。


「なん、と……なんと、おもしろし」


 何が面白いというのか。

 だが、この瞬間は呪術師も本当に心から震えたようで、感情らしいものを見せている。



「まさに……まさし、く、レセナの……女神の子(マルセナ)、か」


 ひゃ、ひゃ、と。

 堪え切れぬような嗤いが森に響いた。


 珍しい名前というわけでもない。

 偉大な女神の子と表す名前だ。ロッザロンドならありふれ過ぎて、今では名付ける者も少ないかもしれない。


 カナンラダでも、流行り廃りはあるにしても、いつの時代も近隣の村に一人や二人はいる名前だ。

 そんな名前を聞いて、枯れ木を擦るような声で高く嗤う。



「われ、ガヌーザ、なり……女神(レセナ)よ。このめぐ、りに……かんしゃを」


 意外なことだが、この気味の悪い呪術師は心から女神を信奉しているらしい。

 そして、これもまた意外なことだが、マルセナを本当に女神の子のように受け止めたようでもある。



(マルセナは、私の……)


 見つめるイリアに、マルセナが小さく呟く。


「……イリア」


 少し優しさを感じさせる囁きで。


「……」


「もう、喋ってもいいですわ」


 そう言ってくれたけれど。

 イリアにはもう、マルセナにどんな言葉をかければいいのかわからなかった。


「……」


 言葉はない。

 黙って唇を噛み締めて、涙を流すだけだった。



  ※   ※   ※ 


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