第2章第2話
久しぶりの投稿です。別の小説の書き直しで時間がかかってしまいました。
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第2章
第2話
ー叔父ー
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○語りside○
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日本人留学生と警護官達が顔合わせを終わらせている頃。日本政府はとある問題の対応に追われていた。
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○異世界情報収集研究課○
デスマーチにより死にかけていた異世界情報収集研究課(また名をだいたいこいつらに任せておけ課)は、大幅な増員により、一息つく………筈であった。
「ーーー神社の巫女が急に水を操れるようになったと報告が‼︎」
「【神仏案件】として1班に回せ‼︎」
「ーーー靖国神社にて大戦時の軍人らしき人間を確認‼︎ 体が透けているようです‼︎」
「【英霊案件】として13班に回せ‼︎」
「ーーー崖から落ちた子供が落ち葉に持ち上げられて戻ってきたと通報が‼︎」
「親にはしっかり見てろって伝えとけっ‼︎ 【民間案件】として20班に回せ‼︎」
「ーーー農林水産省から農作物の異常な成長の報告が‼︎」
「確認する‼︎ ここに持ってきてくれ‼︎」
一息どころかフル回転していた。仮眠をとっていた人員まで走り回っている。
原因は"氷室と久保竹の加護"に起因していた。
氷室達の加護を知った日本政府はすぐに国内調査を行なった。結果は出てくるわ出てくるの山のようなオカルト案件。しまいには偽超能力者と思われていた日本人が神の加護を受けた本物だったという珍事まで発生していた。
そして賽(案件)は投げられた(異世界情報収集研究課に)。
「ーーークソッタレ‼︎ 全く人員も時間も足りないぞ‼︎」
職員達は叫びながらも作業を続ける。何せ自分の抱えている情報1つで日本が有利にも不利にもなり得るのだ。
ーーー"一刻でも早く、そして多くの情報を"。
それがこのデスマーチを生き残る心の支えであった。
「あのー、どうせなら能力者とか連れてきた方が早いのでは?」
1人の職員が提案する。
「採用。すぐにコンタクトを取ってくれ」
「り、了解です‼︎」
ーーー彼らのデスマーチは終わることを知らなかった。
そして、問題は別の場所でも。
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○会議室○
「ですから、何度も言うように、それは我々が長い時間をかけて積み上げてきた文化でございまして」
少し太った中年の女性外交官が、目の前の白人女性に言葉を重ねている。
「しかし、それではこの世界では異端だと言っているのです‼︎ 我々は早急な是正を日本政府に要求します‼︎」
しかし、その言葉にヒートアップした白人女性が恫喝するように言葉を発する。
「はっきり言いますが、正直言ってこのままでは日本人男性が海外に逃げ出しかねませんよ? それでもよろしいとおっしゃるのか⁉︎」
「そ、そんなことは………」
ーーーさて、ここで白人女性の正体を伝えておこう。
彼女は男性保護国順位を作成している【国際男性調査保護機構】という組織の一員である。
この組織は、簡単に言えば、男性の保護や立場改善を目的に設立された国際組織であり、このたびめでたく無いが最下位にランクインしてしまった日本に対して指導に来たのだ。
なお、日本はまだこの世界の国際連合には加入していないが、調整中であり、加入は時間の問題だ。
「今すぐに男性保護政策を取って頂きたい‼︎ 我々の世界にとって男性は保護されなければならない存在なのです‼︎」
「しかし、長年築かれた価値観というものがありまして、急にはい変更とはいかなくてですね………」
2人は討論を重ねていく。
ーーー日本がこの世界に適応するのはまだ先のようであった。
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○語りsideEND○
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文化が違えば習慣も違うとはよく言ったものだ。
警護官との顔合わせの翌日。俺達はそれを体験していた。
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○自室○
「まさか、木曜日金曜日が休みだとはなぁ」
俺は小説を読みながら呟く。
そう、実は大扶桑帝国では、土日は平日であり、休日は木曜日金曜日となっている。
「初めての休日だが、どう過ごすかな?」
なお、いつものメンバーの過ごし方はこうだ。
夕霧………持ち込んだノートパソコンでネットサーフィン。
近藤………これまた持ち込んだゲーム機で遊ぶ。なお、このあと少し出かける用事があるそうだ。
久保竹………警護官が付いたことで、外出が警護官付きではあるが自由になり、意気揚々と外出していった。
「ふむ、俺も外出するかな?」
といっても、この街のことを何も知らない俺がふらりと出ても徒労に終わる可能性がある。
「うーん………あ、そういえば」
ーーーこの日、俺は外出することにした。
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○1時間後○
○駅前広場○
「うーんレトロだなぁ」
駅に停車している機関車を見ながら、俺は呟く。
「あ、あの、氷室さん?」
護衛官の女性が声を掛けてくる。
「はい?」
「わざわざ徒歩で行かなくても………」
「いえ、こうしてゆっくり街を見たかったですから」
しばらく歩くと目的地が見えてくる。
「ん? 貴方は………」
「おや、こんなところで偶然ですね。御機嫌よう氷室さん」
そこにいたのはホウエンさんであった。
「御機嫌ようホウエンさん」
「エレナで構いませんよ。というかエレナの方が呼ばれて気持ちいいのでそっちにしていただけるとありがたいです」
この人、結構ズバズバ言うな………まあええけどさ。
「それではエレナさん。今日はお出かけですか?」
「ええ、この国の知人の家にお呼ばれしまして」
「知人というと………もしかしてエレナさん大扶桑帝国に来るのは初めてではないんですか?」
「外交で少々。特に私達伯爵家は扶桑と関係の深い家なので………」
「さすが伯爵家」
俺と同い年だろうに、もう外交とかしてるのかよ。
「よろしければご一緒にいかがですか?」
「いや、実はですね………」
「緋色坊主じゃねぇか?」
「え?」「あ、お久しぶりです」
エレナさんは突然声をかけられたことに驚き、俺は挨拶する。
そして、1人の"中年男性"が俺達の前に立つ。
「そういえば、今留学してるんだったか? 兄貴に言われてたな」
「1ヶ月だけですけどね」
「えっと………氷室さんこの方は?」
エレナさんが俺に問いかける。
「ああ、紹介させてもらうよ。 俺の叔父さんの【氷室 勝也】。叔父さん、こちら白銀連合王国の伯爵でエレナさん」
「おお、初めましてエレナ嬢。ワシは【 小賀菱重工業】の社員で氷室 勝也。このガキンチョの父親の弟だ」
小賀菱重工業は第二次世界大戦後に成り上がった企業で、最近では軍事産業にも手を出し始めた大企業である。
まあ、そんな大企業とはいえ平営業なのだが。
「は、初めまして、氷室さん………あ」
「俺のことは緋色で構いませんよ?呼び分けにくいでしょうし」
「そ、そうですか………」
エレナさんが少し顔を赤くする。熱でもあるのかな?(すっとぼけ)
「緋色坊主も中々やり手になってきたな」
「叔父さんに言われたくないですよ」
「ハッ‼︎ ちげぇねぇ‼︎」
叔父さんががははと笑う。
ーーー実はこの先に小賀菱重工業の国外というか異世界初の海外営業所があるのだ。叔父さんは現在そこで一時的に働いているのだ。そして父親から暇だったら見てきてと言われてたのだ。
「ど、どうしよう。この人も守った方がいいよね………? た、隊長に支援要請を………通信具ない」
なにやら護衛官がテンパっているが、まあいいだろう。
「っにしても2週間ぶりくらいか?色々と無事だったか?」
「言いたい事はなんとなくわかりました。問題なくってところですね」
「そうか。で、今日はどうしたんだ?デートか?」
「デッ⁉︎」
エレナさんの顔が真っ赤に染まる。
「いえ、偶然会っただけです」
「そうけ。あ、ちょうど昼飯にしようとしてたんだ。一緒にどうだ?」
「いいですね。叔父さんの味覚はかなり信用できますから」
「ははっ‼︎ ちげぇねぇ‼︎」
叔父さんが大笑いする。
「嬢ちゃん…失礼、お嬢さんもどうかね?」
「た、大変申し訳ないのですが、友人と約束がありまして…次の機会には必ず」
「叔父さん?」
俺は厳しい目を叔父さんに向ける。この人は昔から夜遊びがひどかったと聞く。こんなところで外国の伯爵と問題を起こされては困る。
「ひ、緋色さん」
「ふむ、まあいいさね。行こうか緋色坊主。俺の休み時間も長くはねぇ」
「了解。それじゃまたね」
「あ、は、はい」
俺達はエレナさんを置いて店へ向かった。
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エンド
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そろそろ国のまとめとか入れた方がいいんやろうか………。ちょっと考えておきます。