第15話ー歓迎会ー
申し訳ありません。久しぶりの投稿です。
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第1章
第15話
ー歓迎会ー
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放課後。俺達はクラスメイト+数人の友人+護衛という大所帯で歓迎会の会場に向かっていた。
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○【日本式カラオケ屋:サン】○
建物の外と店内に数名の護衛が配置される中、巨大なパーティー用の部屋に俺達はいた。
なお、話を聞いたところによると、扶桑のカラオケは小部屋タイプではなく、ほぼ10人以上は入る大部屋が中心らしい。
「カラオケか〜」
久保竹がニコニコと楽しそうにしている。
「………」ちーん。
「氷室ニキぃいい‼︎」
俺は死んだ目でその様子を見て、近藤が俺の肩に手を乗せる。
「これは、まずったね………」
「でも、もう場所変えようなんて言えないぜ」
近藤と夕霧がコソコソと話し合う。
「久保竹君、1番手どう?」
「お、いいの?」
女子生徒の1人が機械を渡そうとする。
「「「ちょっと待ったぁああ‼︎」」」
「うぉっ、どうした3人とも」
「先につまみ頼もうぜ‼︎ んで、つまみといえばダラニキしかいないだろ!」
「え?そうか?仕方ないなぁ」
久保竹がそのままおつまみの注文表を見る。
「こうなったら、なるべく久保竹に歌わせるな」
「応よ」「うん」
俺達は、はたから見ればイジメと取られかねないことを決定した。
「じゃあ、1番行きます‼︎」
眼鏡をかけた女子生徒が歌い始める。
「これは、扶桑音楽かな?」
「【瀑布の港】ですね。根強い人気のある名曲ですよ」
確かにいい歌である。
「えーっと、次は」
「私私‼︎」
次々と女子生徒達の間でマイクが回っていく。え?俺達?
「氷室君、これどう?」
「近藤君、何か飲む?」
「夕霧君のリクエスト曲なにかある?」
「久保竹君、お菓子来たよ。え?トイレならこの先右だよ」
うん、女子生徒達に囲まれて動けねぇ(白目)。多分こんなこと日本に帰ったらありえねぇぞ(泣)。
なお、久保竹はトイレに旅立った。
「〜〜〜♪」
というか、皆中々に美声である。おまけに所々で日本の音楽を挟んでくるところが嬉しい。
「(カラオケか。そういえばこのメンバーでカラオケ行くの数か月ぶりだな)」
留学の一件でゴタゴタしてたしなぁと思っていると、歌が終わる。
「えっと、次は………」
「俺だな」
マイクを手にするはーーー久保竹。
「「「oh………」」」
久保竹が歌い始める。曲は恋愛アニメの主題歌。
ーーー久保竹 一馬は"オンチ"である。
ーーー聞くに耐えないわけではないが、完全に音程を外している。
ーーー仲間内ではそれはそれでいいということになっているが、久保竹はオンチだと自覚してないのが問題であった。
「〜〜〜♪」
久保竹が歌い終わると拍手が起きる………皆気を使ってくれたようだ。
「(一言言っておけばよかった………)」
俺は少し後悔しつつも、いっそのこと楽しもうと歌を決める。
「(これ………いや、これにするか)」
適当にアニソンを選ぶ。近藤と夕霧も選べたようだ。
「(さて、留学生組の名誉挽回といくかな)〜〜〜♪」
俺は久保竹に散々やらされたゲームの主題歌を歌う。
「〜〜〜♪ フィニッシュ‼︎」
「「「「おぉお‼︎」」」」
女子生徒達から歓声と拍手がわき起こる………うん、少し恥ずかしいな。
「次は僕かな? 〜〜〜♪」
夕霧が高い声の歌を歌い上げる。どこからその声出してるのだろうか?
「ここは無難なものを………〜〜〜♪」
近藤が日本のヒット曲を歌う。
「(日本の歌しか歌ってないけど、今度扶桑の歌も学んでおくかな)」
俺達はカラオケを楽しんだ。
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○語りside○
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大扶桑帝国では、軍と警察以外にもう一つだけ、高い練度と質の高い武装をした集団がいる。いや、練度と戦意からすれば、軍と警察を超えていた。
その名前はーーー。
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○とある建物○
まるでそこは戦場のような熱を帯びていた。
部屋にいる全員が、目をギラギラと光らせている。まるで哀れで無防備な獲物を前にした肉食獣のように。
「ーーーこれより、緊急幹部会議を行う」
ピシッとしたスーツを着たクールそうな女性が、立ったまま会議の始まりを告げる。
「日本人留学生の件、ですか?」
髪を腰まで伸ばした研究者のような白衣姿の女性が問う。
「ああ、やっと皇帝陛下より許可が下りた。皇帝陛下としては、我々のような民間は介入させずに、軍人に警備させたかったようだが、軍が黒曜総帥国の件で動けなくなってしまった。それにというべきか、やはり我々の方が個人警備なら向いている。
ーーーそう、我々【男性警護官】の方がな」
男性警護官。それは一言で言えば男性専門警護のエキスパートである。日常での男性警護を主な仕事としている。人気職種にして求人倍率が毎年上がっている職業である。
故に、最低ラインでも警察官なら5年自衛隊員なら3年の勤務経験が必要になる上に、一つは結果を残してからでないといけないという選考の厳しさだ。
ーーーだが、警護対象と結婚する警護官も多いため、それでもなお人気の職業でもある。
「これが今日までに上がってきた留学生達の行動情報だ」
書類が幹部達に配られる。
「………はあ⁉︎ 夜間の外出希望⁉︎」
「学校近くのカフェで歓迎会⁉︎」
「ゲーム大会、楽しそう」
「男性なのに薄着で出歩く⁉︎ 人前での上着程度の更衣に羞恥心が少ない⁉︎」
「へぇ、逆に女性は胸を見せるのも戸惑うのね〜」
全員が扶桑との違いに戸惑う。
「正直、扶桑の男性と同じように見ると痛い目に合いそうだ。価値観も違うようだしな」
クールそうな女性は机の上の書類を手に取る。
「これは高度な政治要素も含まれている。必ず護衛を成功させる必要がある。よって、それぞれのエースを中心とした5人1組を配備することにした」
「選抜は終わってる」
幹部達が頷く。
「難しい選抜だったわね〜」
「ああ、何人の警護官が泣きを見たことか………」
「しかし、あの程度でへばっているようでは、警護官として力不足だぞ」
「全体的な、強化訓練、必要」
選抜に落ちた職員の強化に話がずれていく。
「話を戻すが、任務に当たっての武装は亜号まで許可を得ている」
「亜号………個人で使用可能な全武装の使用許可ですか?」
男性警護官はあくまで民間企業であり、国により武装許可レベルが決められていて、任務ごとに使用可能な武器の規制があった。
そして、亜号は簡単に一言で言えば………全武装の許可であった。
「国もそれだけ本気ということだろう」
「男性王国日本、か。私も行ってみたいな」
「「「「それな」」」」
護衛官達の夜は、騒がしくも続く。
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○語りsideEND○
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カラオケは盛況のうちに終わり、俺達はカラオケの外へと出ていた。
「んじゃ、帰るか」
久保竹が久しぶりのカラオケで喉を痛めたらしく、あーあーっと喉の調子を確認しながら提案する。
「そうだな」「だな」「うん」
俺達留学生組は頷く。
「うん、またねー♪」「学校でー♪」
俺達は車に乗り込む。
「楽しかったね」
夕霧がニコニコと感想を告げる。
「ああ、あまり大人数でやったことなかったが、たまにはいいな」
俺は同意する。
「ダラニキは相変わらずだったけどなぁ」
「なっ………結構上手く歌えたと思ったのに」
近藤の言葉に久保竹が肩を落とす。
「………最初はどうなることかと思ったが、なんだかんだで楽しくやっていけそうだな」
「だな」「うん、そうだね」「確かに」
俺達はホームステイ先へと向かった。
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エンド
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次回は政府の動きをできればと思ってます。