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男性王国日本  作者: 初任者
第1章
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第13話ー大扶桑帝国(女子生徒達)ー

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第1章

第13話

ー大扶桑帝国(女子生徒達)ー

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☆☆☆☆☆☆☆☆

○語りside○

☆☆☆☆☆☆☆☆



日本人留学生が下校した後。大扶桑帝国の女子生徒達の賑わいはとどまるところを知らなかった。



*********

○教室○



「あれが日本人かぁ」



1人の女子生徒が熱に浮かされたような表情で呟く。



「誰が好み?」



呟いた女子生徒の隣に立っていた別の女子生徒が、周りにいる女子生徒達に問いかける。



「私は夕霧君かな〜。すごく優しそうで、彼氏になったら甘やかしてくれそう♪」

「いやいや、やっぱり近藤君しょ‼︎ 音楽聴いてる時のあのクールな表情なんて最高‼︎ ツッコミもうまいし、私は近藤君派だよ‼︎」

「私は久保竹君かな? 体大きいから私の全部を包んでくれそう。 ノリも良さそうだし」

「それ言ったら3人をまとめてる氷室君の方が………」



ワイワイと女子生徒達が日本人留学生の話で盛り上がる。



「氷室君達"何人まで妻にする気"だろ?」

「私、立候補するー♪」

「私もー♪」



この世界では1人の男に妻が何人もいるのはごくごく普通のことである。常識と言ってもいい。 青星のほぼ全ての国家は出生率を上げるために例外なく一夫多妻制である。


しかし、それでも世界には結婚できない女性がいた。そう、結婚するにはその女性に"魅力"が無ければいけなかったのだ。


金、権力、圧倒的な肉体美、そして精神。どれか、またはその全てを兼ね備えていなければ結婚など笑い話にもならなかった。


そのため、この世界においては、婚活闘争で協力という選択肢が存在していたほどである。実際1人の男性に対して20人ほどの女性グループが結婚を申し込みながら周囲の女性をなぎ払い、内8人が結婚したという話もある。


なお、残りの12人は男性が拒否した。これから見ても男性の発言力の高さが伺えるだろう。


そんな訳で、女子生徒達は徒党を組み、留学生達にアプローチをかけようとしていた。



ーーーだが、例外が存在する。



「でも、日本て一夫一妻制だったよね」

「「「「っ⁉︎」」」」



誰が発したか分からないその言葉に、女子生徒達は固まる。



ーーー"一夫一妻制"



大扶桑帝国、いやこの青星の常識からすれば狂気の沙汰である。いや、この世界の女性にとって悪夢のようなと言っていいだろう。 なにせ、妻という席が1人の男性に対してにつき1つしか存在しないのだ。


しかし、それができるほど男性が多くいるのが"男性王国日本"なのである。



「妻の座は1人1つ………」



全員の目がぎらりと光る。



「でもそれは、留学生君達が扶桑に帰化すれば扶桑の法律が適用されるわ」

「「「「ーーーあっ‼︎」」」」



そう、一夫一妻というのは日本国内でのみ適用される法律であり、大扶桑帝国の人間と結婚し、大扶桑帝国に移住すれば、一夫多妻制が適用されることとなるのだ。



「というか、生徒会長じゃないですか」



城跡 弥生はその言葉に悩ましげな表情を返す。



「いちゃ悪いかしら?」

「いや、そういう訳では………」



女子生徒の顔に少しの焦りが浮かぶが、城跡はそれを無視する。



「一夫一妻制は確かに男性に配慮した政策に見えるけど、実際は全く逆よ。 日本は男性王国ではあるけれども、男性に優しい訳ではないのよ」

「どういうことですか?」

「【男性保護国順位】。貴方達も知ってるわよね?」



男性保護国順位とは、どれだけその国が男性保護にチカラを入れているかという国家順位である。 上位の国には男性が移住することもあり、国としては無視できない順位でもある。



「あれで日本は最下位。いえ、調査委員会構成員の一部からは抗議宣言及び是正要求をするべきだという声もあるわ」

「最下位⁉︎ 男性王国の日本がですか⁉︎」



それは女子生徒達………いや、この世界の人間からしたら驚くべきことである。何せ男性保護国順位のランクで最下位になりさらには是正要求を受けるということはーーーそれすなわち、男性を現在進行形で虐待しているということである。



「日本の軍人は男性が多いし、肉体労働も男性の仕事とされているらしいわ」

「そんな‼︎ 男性にそんなことをさせるなんて‼︎」



男性が肉体労働するというのは、この世界の非常識である。というよりも、保護され続けたこの世界の男性達は、チカラ仕事などしたことが無いため、スポーツだけでも一苦労である。


よって、もし扶桑で男性が建設関係などの仕事で、重い荷物を持つなどの肉体労働をしていた場合。 その会社は男性を虐待したとされ、警察の取り調べを受け、責任者の首は飛ぶであろう。


ーーーいや、それでもいい方であるのが現実である。



「とある研究家によると、そのせいで日本人の男性はたくましくなったとされるわ。日本では男性の方が選ばれる方だからね」

「な、なるほど」

「だからこそ、私達から見て男性王国日本が天国であるように、日本人男性からすればこの国は天国らしいわ」



城跡は肩をすくめる。



「それゆえかしら、今日見た限り彼らは隙だらけよ」



城跡が笑みを浮かべる。



「私達が付け入る隙はあるわ」



*********

○日本○

○東京○

○とある建物○



日本のとある建物の中で、3人の人間が話し合っていた。


3人が3人ともに外交官であった。



「なんとなくだが、この世界の国が分かってきたな」



ちょび髭を生やした小柄な男が、書類片手につぶやく。



「とは言っても、この世界同士の評価です。我々から見てというわけではありません」



眼鏡をかけた鋭い視線の女が、パソコンをいじりながら答える。



「ですが、それでも我々からしたら前進っすよ」



この中で最も若そうな男がクッキーを口に放り込む。



「全体的に見ると冷戦時代に似てはいるが………」

「3極図ですね。アトランティス共和国を盟主とする民主主義連合、黄巾人民連邦共和国を盟主とするコミュンテル連合、白銀連合王国を盟主とする王族連合」

「地球で言うところのアメリカとソ連とイギリスの3極というところっすか?」

「そうだな。おまけに英国は最盛期の国力と言っていいだろう」

「………正直巻き込まれたくないですね」



眼鏡の女は表情を曇らせる。



「現状は勢力関わらずに国交樹立の交渉に来てるが、今後どうなるかだな」

「あそこまで下心見え見えの外交は初めて見たっすよ」

「………今でも信じられん。男が少なく希少な世界なんて」



ちょび髭の男は頭を抱える。



「男女の立ち位置も真逆ですし、男は保護対象っすもんね〜。正直私も小説とか読む趣味がなかったら受け入れ難かったっすもん」

「これがオタクの順応力か………‼︎」

「いえ、こいつがおかしいだけだと思います」

「えー、酷いっすー」



チャビ髭の男はさらに頭を抱える。



「外交官歴23年の儂でも、初めての体験だったぞ。相手の外交官から夜の相手を何人もの人間から誘われるのは………」

「応えてませんよね?」

「丁寧にお断りした。それに俺は世帯持ちだからな………まあ、かなり残念そうな顔をされたよ。罪悪感を覚えるレベルで」



チョビ髭の男は頭を抱えるのをやめて、髭をいじり始める。



「私も誘われたっすよ。デートっすけどね」

「応えてませんよね?」



眼鏡の女は若い男に問う。



「………あれ?もしかして、私が今回対黄巾人民連邦共和国特使に任命された理由知らないっすか?」

「聞かされていませんし、聞く必要もないですから」



眼鏡の女は興味なさそうに答える。



「ーーー私薔薇なんっすよ。男しか愛せないんっす」

「「ぶぼはっ⁉︎」」



チョビ髭の男と眼鏡の女が、思わずといった様子で吹き出す。



「特に筋肉むきむきのガテン系が好みで………でも、この世界にはヒョロイ男しかいないということで、絶望しているところっす」

「そ、そうか」



チョビ髭の男は自分の太った腹を見る。



「(中年腹でよかった。しかし警戒はするようにしよう)」

「恋愛歴とか詳しく聞いてもいいですか? あ、攻めと受けどっちですか?」



眼鏡の女は詰め寄る。



「えっと、どっちかというと攻め………っすかね?」

「いやぁあ‼︎ きましたキマシタワ‼︎ 薄い本が厚くなルゥうう‼︎」



眼鏡の女は腐っていた。チョビ髭男は今後の黄巾人民連邦共和国との外交に絶望感を感じていた。



「(このメンバー大丈夫か?)」



そう、色々と。



*********

○大扶桑帝国○

瀑布(ばくふ)空港○



「大扶桑帝国は久しぶりですわね」



白い制服を着た白人の少女は、荷物片手に呟く。



「お姉様は来たことがあるのですの?」



その隣に立つ同じく白い制服の少女は、呟いた少女に問う。



「ええ、一度だけね。我が国と古くからの友好国ですからね」

「成る程‼︎」



問いかけた少女は満面の笑みを浮かべる。



「失礼、【エレナ・トゥエル・ホウエン】伯爵御一行様でしょうか?」



軍服の中年女性が少女達に問う。



「ええ、エレナ・トゥエル・ホウエンを代表とする大扶桑帝国留学生団30名です。よしなに」



ーーー白銀連合王国、大扶桑帝国に上陸ス。



☆☆☆☆☆☆☆☆

○語りsideEND○

☆☆☆☆☆☆☆☆


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エンド

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[一言] まってたぜぇ!この時をよぉ!
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