第10話ー授業は異世界文化交流にてー
久々の投稿です。
最近新しいアイデアが浮かんだので書くのが遅れました。申し訳ございません。
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第1章
第10話
ー授業は異世界文化交流にてー
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授業の開始と共に、教室のドアを開けて女性教師が入ってくる。
「えー、それでは授業を始める。当初の予定通りに今日は日本からの留学生たちとの異文化交流とする」
異文化というか、異世界文化交流なのだが。
「とはいえ、突然異文化交流と言われても、何をして………ごほん、何を聞いていいか分からないだろう」
確かに、国どころか世界が違うのである。正直何から話せばいいか分からない。
「そこで私はテレビを見なが………ごほん、考えた」
今この人"テレビを見ながら考えた"って言いかけなかったか?いや、別に悪くはないけれどもさ。
「留学生諸君の故郷である日本では、"さっかー"というスポーツが人気らしい」
確かに転移前に有名な若手選手がいて、かなり盛り上がっていたはずだ。
「そこで、今日はさっかーの道具を揃えたので、クラスで2チームに分けてさっかーをやろうと思う。ちょうど留学生も4人だから2対2で別れるだろう?」
というわけでーーー。
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○校庭グラウンド○
広いグラウンドに書かれたサッカーコートの中。俺達はゼッケンをつけた姿で向かい合う。
なお、チーム分けは【俺と久保竹チーム】対【近藤と夕霧チーム】である。
「いやいやいやいや、明らかにダラニキがそっちの時点でヤベェだろ⁉︎」
ーーー久保竹 一馬。
身長約190㎝の体を持ち、色々な格闘技に手を出してはやめてを繰り返す男である。
「いや、何かをかけているわけでもないし、交流だろ?負けても勝っても構わんだろ?」
「あれを見てそう言えるかい?」
夕霧の指差した方を見ると、女子達の姿が………。
「絶対勝つ」
「あん?勝つのは私達だ」
「あん?」
「勝利の美酒のために」
「スポーツ苦手なんだけどなぁ」
「だからって吹き矢はやめなさい」
うん、やる気である。
つか、一部"やる"が"殺る"になってる奴いなかったか?
「うーん、手を抜くわけにはいかなそうだな」
「くっそー、やるだけやってやるぜ」
「そうだね」
こうして俺達のサッカー異世界カップ(っでいいのか?)が始まった。
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○語りside○
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「さあ‼︎ これより始まりますは、異世界で流行っていたスポーツであるさっかーであります‼︎ それが今、この大扶桑帝国で初のさっかーが行われようとしています‼︎」
「そんな訳で歴史に残るであろう試合を解説します放送委員の部長【飯島 美湖】と」
「副部長【白 ぬりえ】でありますです‼︎」
ラインの引かれたサッカーコートに選手(生徒)達が入り、並ぶ。
「なお、この試合は大扶桑帝国で初めて行われたサッカー試合ということで最新鋭日本製ビデオカメラを使用しております」
「凄いですよね‼︎ 技術先進国のカメラよりも凄い鮮明に撮れますし、ブレないし、録画時間も長いし‼︎」
「部費がかなり飛びましたけどね………日本製機械は高くて」
選手達が礼をしてコートに広がる。
「さて、このゲームは我が校の生徒達がルールに明るくないという事もあり、基本的にはゴールにボールを入れると得点となるという事ぐらいがルールといえばルールです」
「まあ、あとは常識の範囲ですよね‼︎ 怪我をしないさせないようにしましょう‼︎」
「日本では"スポーツマンシップ"という言葉があるくらいですからね………ああ、スポーツをする男子………グッときますね」
「大扶桑帝国じゃ、あり得ないですからね‼︎」
「ええ、悲しいことです」
そして、ぴーっという音と共に試合が開始される。
「さあ‼︎ 始まりましたぁあ‼︎ まずボールを蹴ったのは近藤君夕霧君のチームだ‼︎ おまけに蹴っているのは夕霧君だぁああ‼︎」
「いいですね。中々この世界では見れない光景です」
夕霧が近藤にパスを送る。
「おおっと‼︎ ここで夕霧君から近藤君にボールが飛んだぁああ‼︎ 夕霧君を追っていた生徒達が慌てて近藤君に向かうぅううう‼︎」
「見事なボール回しです。なお、これをさっかー用語でパスというそうです」
「夕霧君の素早いパスで近藤君が追い上げるぅう‼︎」
しかし、そんな近藤の前に巨大な壁こと久保竹が現れる。
「ここで久保竹君だぁああ‼︎」
「これは超えられないですね。ただでさえ久保竹君は身長が桁外れに高いですから、超えるのは難しいと思われます」
「我々の世界からしても彼の身長は大きすぎますからね‼︎」
「大扶桑帝国で平均身長160㎝ですからね。まさに巨人です」
「ここで完全に近藤君の足が止まったぁ‼︎」
「近藤君、ここからどう出るかですね」
その瞬間、背後から現れた氷室がボールを奪う。
「氷室君奇襲成功‼︎ ボールが奪われましたぁあ‼︎」
「熱い展開ですね‼︎」
「おぉと‼︎ 冷静な部長にしては珍しく興奮しているぅ‼︎」
そして氷室の逆襲が始まる。
「氷室君次々と選手を抜いていく‼︎」
「氷室君が強いのもあるでしょう。しかし、どうやら理由は女子生徒にもあるようです」
そう、それはこの世界の女性ならではの原因ーーー"男性不慣れ"であった。
そもそもこの世界の男性はひ弱である。スポーツどころか外に出ることすら稀である。そんな男性への印象があるこの世界の女性からすれば、男性とボールを無理に競り合うなどあり得ない話であった。
「おおっと‼︎ ここで立ちふさがる我が校きっての体育会系生徒達‼︎」
「しかし、氷室君パスを回します」
そして受け取ったのは………。
「きたきたきたきたぁああ‼︎ 才色兼備‼︎ 無敵超人‼︎ 次期公爵家当主‼︎ 生徒会長【城跡 弥生】だああああ‼︎」
「流石生徒会長、がら空きになった側面から猛攻を仕掛けます」
「我が校の体育会系生徒すら寄せつけなぃいいい‼︎ 流石我らが姉御‼︎」
「しかし、女子生徒に容赦がなくなりました」
「危険な割り込みや明らかに体当たり目的の攻撃‼︎ しかし流石我らが姉御‼︎ さっかーでも無敵だぁあああ‼︎」
「あまりの猛攻に氷室君も唖然としています」
しかし、その瞬間通る人物がボールを奪う。
「ゴール手前でボールを奪ったぁあああ‼︎ 速い速い‼︎ ボールを奪ったのは夕霧君だぁああ‼︎」
「眼鏡がキラッと光る‼︎ あぁ‼︎ なんと尊い‼︎ いい‼︎ キタコレ‼︎」
「部長、私とキャラがかぶるので熱血キャラはやめてください。始める前に役割分担決めたでしょ?」
「…………すまん」
しかし、そのボールは氷室に奪われる。
「そしてそのままゴォおおおおル‼︎」
「見事なキックでしたね」
「ええ‼︎ キレーなキックでしたね♪」
「そういえば、氷室君の右手が光ってた気がしましたが………気のせいでしたかね?」
こうして試合は進んでいった。
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○語りsideEND○
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エンド
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