いきなりのルール
この話では、この物語の鍵となる、二つのルールが明かされます!お楽しみに!
あの後俺は、突然現れた謎の猫の話を聞いていた。その話はどれも現実離れしていて、とても信じる気にはなれなかった。
「うん、全く信じてない顔してるね。」
「いや、だって信じられると思う?あんなのいきなり聞かされて。」
うーん、と一瞬困った顔をすると、目の前の猫は再び口を開いた。
「いいかい?じゃあもう一度だけ説明するよ?」
「この町ではね、この世に未練を残して死んでいった人の魂は、成仏できずに、君みたいに他の動物の体に入っていってしまうんだ。」
「それはわかったよ、でもなんで猫なんかに…」
「いや、猫はまだいい方だよ?運が悪いともっと酷いのになるからね」
もっと酷いのってなんだ?ていうかたまたま猫だってたってわけで、選べるわけじゃないのか。
「続けるよ。基本的にその魂は乗り移った動物の寿命が来れば他の動物へ、っていうのを繰り返して行くんだ。ここまではいいよね?」
「まあ、まだ信じられないけど、そうでもなきゃこんな事にはならないしな。分かったよ」
「うん、最初はみんなそんなもんさ」
みんなってことは、他にも俺みたいに他の動物になってる奴がいるのか…。
「それでだ。さっきは言っていなかったんだけど、二つ、大切なルールがあるんだ。」
「二つのルール?」
「一つ目は、未練がなくなれば、当然この世に留まる意味がなくなるから、成仏することになるってこと。」
「そんで、二つ目は?」
「そのことなんだけど、ちょっと質問させてもらっていいかい?」
「うん?なんだよ?」
「君がまだここにいるってことは、なんらかの未練があるっていうことになるんだけど、何か心当たりはある?」
心当たり…ある。
「プレゼント…」
「え?」
「彼女にさ、あの日、俺が死んだ日に、プレセントを買って帰るつもりだったんだ。」
「でも、その途中、いきなり通り魔に刺されちゃって…それで…」
すると猫は少し考える素振りりをして、こう言った。
「なるほどね。じゃあ君のこの世の未練ってやつは、その彼女さんに対するものなのだろう。」
それは事実だと思う。今だって、こんな猫は無視して、早いとこ彼女のところに行って、自分が会いに来たことを伝えたい。
「僕らはやろうと思えば人と会話することくらいはできる。その彼女さんのそばにいることだっておそらく可能だ」
「ならいいじゃあないか」
今のところ、そのルールがなんらかの問題を起こすとは思えない。
「それで、結局二つ目のルールってなんなんだよ?」
ずっとニコニコしながら話してた猫が、急に真面目な顔になったかと思うと、猫は残酷に告げた。
「…その彼女さんに、自分の正体を教えてはならない、これだけさ」
「え…それって…」
「そう。つまり、「死んだはずの彼氏の自分が」会いにきたっていうことを言っちゃならんのさ」
そう猫が言った瞬間、頭が真っ白になった。
はい!今回もご覧いただき、ありがとうございました!次回も是非ご覧ください!