1−7 黒い猫と、暗い記号
ビバ!ブックマーク!ビバ!ユニーク100突破!
ありがとうございます!これからも、頑張って書いていきますので、よろしくです!
7話です!
「こんなもんですかね〜」
今試着しているのは、薄い青色のシャツに、紺色っぽいズボンだ。
イメージは、無個性......。なんか寂しい。
さらにこの上からフード付きのローブを着る。これで、暗〜い感じの一般人Aが完成だ。
「............地味......」
「.........ですね」
一方、桜は、薄い桃色のシャツ、薄い黄色のズボンだ。
かわいいには、かわいいんだが........
「地味ですね」
「..........奴隷だし、....仕方ない.......」
「別に服なんて気にしないわ」
なんかかっこいい。
桜は、一応奴隷の設定だから、あまり目立たないものを、ということになった。
もっとおしゃれさせてやりたい。
ちなみに、似たり寄ったりの服装をあと3組分買った。
荷物を運ぶためのリュックと靴もおまけでつけてくれた。
この世界に来た時はボロッボロの靴を履いていたが、少しボロい靴にグレードアップした。
あと、何気にこの世界にも靴下がある。
即決で購入した。
現代っ子の僕に靴下なしは違和感がハンパない。
そういえば.......
「僕は、アキラって言います。
よかったら、名前を教えてくれませんか?」
「......私の?」
変なことを聞いちゃったかなぁ?
もしかしてこの世界では名前を相手に教えないのが風習とかなのかな?
「はい........ダメでしたか?」
「...........CN2039......」
「.........はい?」
なんかシリアルコードみたいなものを言われた気がする。
「......CN2039.......別に覚えなくてもいい.......」
「いやいやいや................。
まさかと思いますが.....そのコードみたいなのが........」
「.......そう......これが、......私の名前......」
そう言って腕にくっついている、鉄製の腕輪を見せてきた。
そこには、
『CN2039』
と書かれていた。
「マジですか......」
「............マジ.....」
そして、獣人奴隷が置かれている現状を聞いた。
獣人奴隷は、この腕輪をつけられる。この腕輪の記号の意味は、種族(猫種ならC、犬種ならDなど)、所有者の頭文字(いない場合は、N)、登録番号の順になっている。
この腕輪も、使い回しになっているらしい。また、同じ記号になっていることも多々ある。
あと、表記の通り、アルファベットが使われている。これは、転移者が広めたそうだ。番号は、異世界語だが。
そして、獣人奴隷のほとんどが、この記号を名前として扱っている。
つまり......
「...........名前を持つ価値もない.......」
獣人の少女が呟いた。
「...........」
獣人は「モノ」。
これがこの世界の常識。それを改めて実感した。
「はぁ〜...........」
ため息しか出なかった。
アキラは、使命感や、正義感が強いわけではない。
しかも、転生させられたからといって、何かしらの強制力が働くわけではない。
ならば、自由に目立たず生活するのも悪くないのではないか、と考えていた.............
が、気が変わった。
「ちょっと誰にも見られないところに行きましょう」
「..........そんな.......いきなり何を、......す.....るき...!?」
「........」
「..........わかった...こっち」
多分、今の表情はあまり穏やかなものではなかっただろう。それを察してくれたのか、すぐに店の奥へ案内をしてくれた。
「........ここなら..大丈夫」
そして、アキラは、
人化を解除した。
現れたのは、髪と同じ、紫色のツンッとたった耳、毛が多くふさふさしている尻尾、
そして、毛皮のある大きな翼。
さらに、片目の色が赤紫に変化した。
「...........!!」
獣人の少女は驚いていた。
さすがに驚くよなぁ〜。そもそも何の生き物なのかもわからないし.......。
「まあ、こういうわけなんです......」
「.......『男』の.......獣人...?」
「はい」
初めて、男だって言われた気が.......。なんか悲しくなってきた。
「..........。
............私を.......大人に.....してください....」
現在思考フリーズ中...........
「..............はい?」
「.......承諾を....確認。
..........優しくして、....ね....」
そう言って、服を脱ぎだした。
「ちょちょちょちょ〜っと待ってください!
何でそうなるんですか?」
「.... 私じゃ.....不満?
....満足できるまで、..........壊れるまで.....して、.....いいよ......」
「ゴチソウサマデース!
はい、満足!満足です!もうやめましょう!」
なんかこのままいったらダメな気がする。
理由がわからないのだ。
「......私が.........まだ、...........満足して、ない!」
そう言って、一気に服を................
脱ぐ前に肩を押さえつけた。
「.....そんな..!.......服は.....着たまま....の方が、............いいの?
...........いい趣味、.......ステキ.......好き!.......抱いて!......」
だめだ、こいつ。早くなんとかしないと。
ここで、一応言っておく。
アキラは、獣人が大好きである。存在そのものを全肯定するほどに。
それは、もふもふ願望のみが理由ではない。
獣人は、美人なのだ。かわいいのだ。
つまり、普通の男の願望だって存在する。
例に漏れず、この子も大変可愛い。
もっと大人になれば、美人に間違いなく成長するだろう。
ここで了承すれば、お互いの同意の上で、ということになるよね?
つまり、合法!
それにさっきから、魅力的なことを言ってきてる!
壊れるまで........エェ〜コトバやなぁ〜!!
アキラの心は魅了させられた。
いいよね?いいんだよね?
よし!イッタダッキマ.........。
........ん?寒気がする?
後ろを見ると.......
桜チョップが発射される瞬間がミエタ......。
マズイよ!あれが頭に当たったら、割れるって!
こうなったら...........
SHI・RA・HA・DO・RIィィィ!
パァーン!!!
成功!
でも、とてもチョップではない音がした。手が痛い。
あと、何気に、動体視力が上がっている気がした。さすが獣人。
「桜さん、僕に二度と同じ手が通用すると思っているんですか?
だとしたら、甘い!甘すぎます!
ワッハッハッハァゥア!」
桜は、回し蹴りに技を派生させていた。
とっさに羽でガードした。
ドンッ!
そんな音がして、防いだ。
あまり痛くない。ハネスゲェ!
「.........チッ!」
舌打ちされた!?ひどい!泣いちゃうヨォ〜!
「危ないじゃないですか!?」
「あなたが悪い。
自分の匂いを嗅いでみなさい」
クンクン.......うん、臭い!
もしこれで抱きついたりしたら...........
「..........愛さえ....あれば、............平気....」
「スミヤッセンデシタァ!!」
女の子に我慢させるなんて......男としてないわ〜。
しかもこの匂いはまずい。何かの致死量超えちゃう。
「わかればいいのよ」
「.........気にしないで......」
店員さん、優しい。桜さんは、優しくない!骨の何本か持って行こうとしてたもん!加減して!体が持たないよぉ!
僕.......ヒック..........壊れちゃうヨォ〜.....。
「あっ!」
そんな時、アキラはあることに気づいた。
もうお外は真っ暗だ...........。
こんな中外を歩き回るのは色々と危ない。
「桜さん、宿......どうしよう?」
「........」
「.........きて.....」
そう言って、店員さんは、二階に案内し始めた。泊めてくれるのかな?ワクワク。
それなら、色々と助かる。
異世界の獣人についてもっと知れるし..........
さっき、急に店員さんの行動がアグレッシブになった理由についても知りたいし......。
.....何はともあれ、店員さんって呼ぶのなんか気に入らないなぁ..........
呼びにくいし。職業名だし。
でも、だからと言って、CN2039はなぁ〜..........
「.......シルン」
「...........?」
「いや、名前、シルンでどうですか?
コードから文字をとっただけですが........」
「..............嬉しい......すごく、..........嬉しい......。
.....ありがとう.........」
そう言って、シルンは.........
今まででいちばんの笑顔を見せてくれた。
次回、アキラはシルンの家にお泊まりできるのか!?
お楽しみに!