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1−5  おっちゃんと腹の虫

5話です!



 桜姫の腹に住まう悪虫を鎮めるため、どこか飲食店を探している。


 夕方になって、少しずつ暗くなってきている。

 街灯?のようなものが光り始めていた。おそらく魔法なのだろう。

 商人たちは、店仕舞間近ということもあって、大声で客引きをしている。

 客もここぞとばかりに値切ろうとしている。

 

「桜さんは何食べたいですか?」


 僕が尋ねた。


「何かおいしいの」


「........」


 あーあ、出ちゃったよ、おいしいの。イッチバン困るやつだよ。

 だが、私を甘く見ることなかれ。こういう事態に備えて、私はある説の信者になっていた。

 それは......人類皆好肉説。

 肉さえあれば、何とかなる。

 よし、肉だ、肉を探せぇ!

 

 とまあ、そうこうしているうちに、肉の香ばしい香りがするお店を一軒見つけた。


「あそこにしましょう!」


「ん」


 よし。店に入りましょう。

 ん〜と、お店の名前は.........


『肉木肉辺』


 絶対読まないからな!ゼェッタイ読まねぇぞ!........ニクキニクヘ...わあ!看板を見てると読みたくなってくる。とっとと店に入ろう。そうしよう。


肉木肉辺(にくもくにくべ)へようこそ!」


 こいつはひでぇ!

 そして、読みづらい!頭に赤、青、黄つけて10回読んでみろよ。結構難しいから。

 あかにくもくにくべあおにくもくにくべきにくもくにくべあかにくもくにくべあおにくもくにくべきにくもくにくべあかにくもくにくべあおに......


「愛称はニクベとなっています。以後お見知り置きを」


「........」


「お客様?」


「あ、いや、変わった店の名前だと思っただけです」


「この店は、もともと転生者様が開業させたものなんです。冒険者にスタミナをつけてあげたい、という思いから、美味しい肉、美味しい野菜をたくさん取れるようにと、この名前にしたんだそうです。それゆえに、ここのメニューには...........」


 なんかこのおっさん語り出しちゃったよ。話長くなりそうだよ。だって、目がキラキラしてるもん。

 ここは咳払いでもして、はやく席に案内してもらおう。


「ゴホン!ゴホッ!ゲホッ!ゲホ.....」


「お客様、大丈夫ですか?あと、1、2...何名様ですか?」


 勢いよく咳をしたせいで、むせてしまった。

 そんなことより........その顔やめろ!これは絶対体調とかじゃなくて、頭の方を心配してる表情だ。確かにむせちゃったけども.........むせちゃったけども!そして、なんで客の人数をこのタイミングで聞いてくるの?しかも、なんで数えられなかったの?2名様だよ!ニ、メ、イ!


「2名です」


「ご注文はお決まりですか?」


 チガウダロォ!!

 え?なんで?席に案内するのが先じゃないの?


「ああ〜......。席に案内しますね」


 今思い出したんかい!まあいい、はやく食べないと、宿を探せない。


「どうぞ、ごゆっくり」


 やっと席に案内された。なんか疲れた......。


「クスクス....。面白い店員さんね」


 桜に話しかけられた。


「いやいやいや、あれはダメでしょう。店の歴史についてだけは詳しいらしいけど、接客業としてあれでは、そのうちクビになりますよ」


「大変お待たせしました。ご注文の品です」


 野生のおっちゃんが現れた。


「......注文まだしていません(注文してねぇよ)!!」


「失礼しました、決まったら呼んでください」


 もうやだ。

 そのあとも、いろいろ(おっちゃん)あったが、あえて語るまい。語るまい!

 会計の時に、銀貨を出して、びっくりされられた。

 そこで、お金についての知識を教えられた。その時のおっちゃんの表情は.........語るまい!


 白金、金、銀、銅、鉄の効果があり、鉄貨=1ウェルド(ウェルドはお金の単位。アルファベットのWのような文字で表されている)、銅貨=100ウェルド、銀貨=10000ウェルド......のように、価値は上に行くほど、100倍ずつ高くなっている。

 紙幣は、そこに書かれた数字によって価値が違うらしい。証明魔法とやらがかかっており、偽造はほとんど不可能らしい。魔法の関係で、そこまで多くは発行されていないらしい。また、証明魔法の確認装置も必要なため、あまり普及していない。商人には人気があるらしい。軽いからね。

 ちなみにここの食事は、桜と合わせて100W(ウェルド)だった。そこそこの値段らしい。宿に一泊するには、500Wもあれば足りるらしい。

 これは内緒だが、ルートベルトの財布には、白金貨が入っていた。イケメンすぎぃ!


 そこまで教えてもらって、礼を言って店を出た。

 もう、夕方ではなく、夜に近くなっている。


「美味しかったね」


「はい。でも、もう二度とごめんですね。あの店長(おっさん)には、もう会いたくありませんから」


 意外なことに、おっさん=店長だった。これには、桜もびっくりしていた。どうりでクビにならないわけだ。


 クスクスクス........二人で笑い合った。


 

 しかし、そんな和やかな雰囲気も長くは続かなかった。




 ..........突如、視界に『バケモノ』の姿が入ってきたのだ。

 

 

次話から、メインストーリーが大きく進み始めます!


お楽しみに!

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