1−4 門番とイケメン
ブクマしてくれた方、ありがとうございます。
作者は、喜びの舞をしてしまいました(飛び跳ねた)。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
4話目です!
「はぁ!?」
これがアキラのコルメシオに対する第一声である。
理由は単純。この世界における「人類の街並み」に関して、アキラは推測を誤っていたのである。
コルメシオの街並みはと言うと......
30階建て以上の白いビルが立ち並び、T◯KYOタワーもびっくり高さの建造部が複数ある中央部、
10階建てぐらいの建物がいくつも立ち並ぶ内周部、
一般的なアパート、1、2階建てぐらいの建物が多く存在する外周部、
そのさらに外側の巨大な壁のある外壁部となっている。
名称については、アキラが勝手につけた。
(.........まるで、未来版ソウルソ◯エティーだな)
そんな印象を受けていた。
つまり、外から街を見て、早くもこの異世界の異様性を垣間見てしまったのである。
(人類繁栄しすぎだろ、おい。
ヒートアイランド現象とかおきてるのかなぁ?
外周部あたりは大丈夫そうだけど)
まあなんであれ、中に入らなきゃはじまらない。食料ないし、服もないし、体洗いたいし、夜泊まるところも欲しいし、お金ないし.........
お金ないし?
お金ないじゃん!何も買えないよ!
これはやばい!少し夕方っぽい空になってきてる!急がなくちゃ!
僕は人の姿になって、街に近づいた。
「おい!止まれ!」
「.........」
いや〜、わかってましたよ。こうなることは。だって門番さんっぽい人いましたもん。
しかも二人も。商人に混じってちゃっかり入っちゃおうとしたけど、無理でしたわ〜。
で、これからこういうんでしょ?「身分証を出せ」って。
「身分証を出せ!」
ぢぐじょう!!
そこは、言わなくていいんだよ!もっと寛容になろうぜ!
ん?よく見たらこいつ照れてる。
あぁ〜、ワタクシの色香に惑わされておられるのネ。かわゆい子......。
.......いける!
アキラは門番の腕に絡まり、くねくねと体を動かし......
「ここを通してくれたラ〜.........
後デ〜......イイことして、
ア・ゲ・マ・ス.........」
門番を誘惑した。
しかし、敬語が炸裂した。アキラは精神に42のダメージを受けた。
正直自分でも思ったよ。
こいつはひでぇ!!ゲロ以下の色香がぷんぷんするぜぇッ!!
.........まず僕なら引っかからない。
「........」
門番は沈黙している.......
「........」
僕は傷心している.......
「..........さい」
ん?通ってください?
やったぜ!では行かせてもらいましょうか!
意外とこういうのがお好きな方だったのね!
「臭いので、離れてください」
「........」
「........」
あ゛ぁ゛!?
オマッ!レディ(漢)に向かって何ほざいてくれちゃってるの!?
そこは、思っても口にしないのがジェントルマンの嗜みってやつでしょう!!
それにそんなに臭いか?
クンクン..........
オエ゛ェ゛ェェェェェッ!!
ヤバッ!臭ッ!マジでやばい!酸っぱい感じの匂いだわこれ!ゴミくさい!
この門番さん、よく至近距離で、この匂い嗅いだのに吐かなかったね。マジリスペクトだわ〜。
なんで自分で気付かなかったかって?
.........わっかんね⭐︎
そういう仕様なんだよきっと。
クスクス.......。
サクラ イズ ギルティッ!!
桜さん、この状況で笑わないでよ!傷つくよ!
.........そういえば、桜さんが僕の半径1メートル以内に入ったことない気がする。
そんなことより、どうしよう?以外と詰んでない?野宿?やだよそんなの。
そうだ!
今すぐ門番に抱きついて、匂いでショック死させよう。そうしよう。
じゃあ行くぞ〜。3、2、......。
「そこの君!!」
ん?僕ですか?そう思って振り返ると、そこには、金髪、碧眼、豪華な服という、まさにイケメン貴族って感じの人がいた。
「ん?........その家紋は!
失礼しました!
ようこそおいでくださいました、スカッゼ様!」
どうやら僕ではなく、門番の人に言ったらしい。どうもお偉いさんらしい。
「この子は、俺の連れなんだ。ここは俺の顔に免じて、中に入れてやってくれないか?」
「しかし.......」
「君は、俺が信用できない.........というのか?」
「いえ!滅相もございません!
失礼しました!どうぞお入りください!」
よくわからないけど.......助けられたっぽい。
感謝でありますッ!!
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「ありがとうございます」
「いやいや、気にしないでいいよ。ただ単なる気まぐれだから」
スカッゼさんは、さっきよりもフレンドリーな喋り方になっていた。さっきは威圧がすごかった。こっちも怖いって感じてしまった。
「でも.........」
気にしないで、と言われて気にしないジャポネーゼは少数派なんだよなぁ......。
僕はもちろん、多数派だ。
「そこまでお礼がしたいなら.........
はいこれ」
アキラは皮でできた袋のようなものを受け取った。
財布だった。お札と硬貨がいっぱい入っていた。
あ、お札があるんだぁ〜。変な人の絵が書いてある。禿げてるぅ.......。
じゃなくて、
「いやいやいやいや、なんでお金をもらうんですか?
普通逆ですよね?
あっ!でも今持ち合わせが無くて......」
「やっぱりか。なんとなくそうだと思っていたんだ。
その身なりから推測して、もしかして、身売りなのかい?
もしそうなら、僕が言い値で買おう。
生活も不自由なものではないことも、『契約』で保障しよう」
なんかいろいろ言われた。つまり、この人僕に惚れてるのか。
フッ......火傷しても知らねえぞ。
じゃなくて、どうして男にばっかりモテるの?そっちの道に進みたくはないよぉ〜。
それより、今いろいろ情報が入ったぞ。
先ず、人類の中にも身売りがいること。人類がみんな裕福ってわけではないらしい。
そして、『契約』というものがあること。
「『契約』ってなんですか?」
「ああ〜、それはね.........」
超大雑把にまとめると、互いの提示した条件に対して強制力を働かせること、もしくは、その条件そのもののことだそうだ。
「どうだい?考えてみてくれないかい?」
待遇がいいのはわかる、が..............。
僕は、漢だ!
おそらくこの人は、ソウイウコトがしたいのであろう。
やらせはせん、やらせはせんぞォ!
というわけで、
「ごめんなさい。お金は返します」
正直思った。お金欲しい.....。
「.......振られちゃったか。
お金はプレゼントするよ。
さすがに、女の子がその格好はまずい。
あと体も洗ったほうがいいよ」
ヒャッハーッ!!やっぱりイケメンは最高だぜ!!
えぇ人や!イケメンや!惚れてまうねん!!
........まあそれはないけど。
「ありがとうございます」
「じゃあ、もうそろそろ行くね。
気が変わったら、僕のことを読んでみて。すぐに駆けつけるから。
最後に、名前を教えてくれないかい?
ちなみに僕はルートベルト・スカッゼ。ルートベルトって呼んでくれ」
「アキラです」
「そう、じゃあまたね、アキラちゃん」
そういって、ルートベルトさんは去って行った。イケメンだった。
『僕のことを読んでみて。すぐに駆けつけるから』
........マジイケメン。歯が光って見えたもん。
また会いたいなぁ〜........お金くれるし。
「アキラ、本当の自分の名前教えて良かったの?」
桜が聞いてきた。
桜には、僕が誰かと話しているときは、極力会話に参加しないようにお願いしている。
僕が人の姿だから、桜は僕の奴隷ってことにしといた方が違和感が少ないだろうと考えた。
そこで、奴隷が主人の会話に参加してくるのは不自然だろうと考えたゆえのお願いだ。
この提案を桜は快諾してくれた。
慎重すぎるかもしれないが、念のためだ。
えぇと......偽名を使わない理由?
「さすがにこの状況で、嘘をついたら不義理です。
僕は、あまりそういうことはしたくないです」
それに、僕は嘘を言うのがクッソ下手だからね、とは言わなかった。
「そう。
別にどっちでもいいけどね」
桜は、何気に僕の意見を尊重してくれる。
......今度、もふもふが必須だって言い聞かせて、もふもふさせてもらおう!
嘘じゃないもん!僕の精神力回復に必須だもん!
「.........」
桜が警戒するような目でこっちを見ている。
........僕ってそんなに顔に感情が出やすいかなぁ?
きっと獣人には高度な読心術でも備わっているのでしょう。
ギュゥゥゥ......
唐突にそんな音が桜のお腹らへんから聞こえた。
「「......」」
桜の腹の虫がアクティブになっておられる。
腹が減ったゾ!!飯よこせぇヤ!!ってことでしょう。
「......ご飯......食べに行きましょう」
コクリ
桜は頷いた。
顔が少し赤い。カワイイ。
そして、僕らは歩き出した。
ルートベルトは、一人称を俺と僕で使い分けてるらしいですよ。
あと、身長は170ぐらいです。