1−27 獣人月歩 5
ブクマ感謝感激です!!
27話です!
パラパラ.......
ロケットランチャーの爆風で、天井と壁の一部が破壊され、砂煙が上がっていた。
そんな中、
「........不純異性交遊.......ダメ.......絶対.......」
シルンは、ロケットランチャーを担いでふしだらな行動を取り締まっていた。
「シルン.....さすがにそれはやりすぎだと思うわ.....」
桜がシルンの行動に異議を唱えていた。
アキラをボッコボコに殴った、顔面整形外科医名誉教授の『あの』桜がアキラを擁護していた。
「.......桜にだけは..........言われたくない......」
「うぐっ.......確かにそうかも....」
ここで一応言っておくが、桜にもアキラに対する情の一つや二つはある。
ゆえに時々罪悪感にかられることもあるそうだ。
.........あるそうだ。
現在、観客は『主催者権限』によって動けない。
なら何故、二人は動けるのか?
説明しよう。
アキラの決闘の要求には、
コロシアム内の獣人を『決闘』前に、行動の制限をなくし、自由にすること。
が含まれていた。
そして、それはルートベルトによって了承された。
つまり、コロシアム内において現在動けるのは、
『獣人』とルートベルトになっている。
「ゲホッ!ゲホッ!喉に砂が入った」
アキラが咳をする理由を解説しながら、現れた。
「......ますたー.....大丈夫......?」
「はい、問題ありません!
そのロケットランチャーの爆発は、魔力によるものらしいんで、
吸収して、魔力をチャージできましたよ!」
「....でも、......不純異性交遊......ダメ.......。
....ますたーは、.....女好きで....いてもらう......」
「あぁ〜.....そのことなんですけど......そういうわけでもなさそうなんですよねぇ.....。
この戦闘が終わったら、教えてあげますよ」
「......ん?.......」
シルンが首をかしげていた。
可愛い。いますぐ抱きしめたい!
だが、
ヒュゥゥゥゥ.........
そんな音ともに、砂埃が急に晴れてた。
風魔法によるものとか、そういう感じの影響だろう。
そして、
「せっかくいいところだったのに邪魔をしないでくれるかなぁ。
あとちょっとで、アキラを僕のものにできたのに」
ルーちゃんが登場した。
「あとちょっとじゃないですよ!!
まず、ケモミミと尻尾をつけてから出直してきてください!!」
「......わかったよ.......いや、わかんないよ!!
いますぐ僕の奴隷になれば、僕がいろんな『ご奉仕』をしてあげるよ!!
これでどうだい?悪くないだろう?
さあ、いますぐ僕の奴隷になるんだ、アキラ!!」
ゴクリ.....
ま、まだ確定ではないが、言動や行動が、僕のルートベルト女説を支持してきている。
だんだん僕の中では、ルーちゃんがルー『ちゃん』になってきていた。
そして、外見を見ると........めっちゃ美人ねん!ほんまにぃ!!
金髪ショートの年上お姉様って感じにしか見えないぃ!!
その人が『ご奉仕』...........ぜ、ぜひぃ.......
「......ますたー......男どうしは.......ダメ......」
シルンに止められた。
そうだな!ルーちゃんはルー『ちゃん』ではない!
そう断定しよう!
はい!議論おしまい!!
だからさ......桜さんや〜......その顔やめてぇや!!
桜がGでも見るような目で僕を見ていた。
僕がMだったら、喜んでいただろう。
僕は喜んでいない。むしろやめてほしいと思っている。
.......本当だよ......。
「僕のものになった方が絶対幸せになれるのに........。
どうやら、言ってもわからないようだから.......
その体に教えてあげるよッ!!」
「キャッ!!」
僕はそう言いながら、そう言いながら体を隠すポーズをした。
どうしてこんなことしたんだろう.......。
ゴホンッ!!
と、ともかく、これで三対一だ。
数こそ全て!!
そのことを教えてやんよぉ!!
「シルン、桜さん!!
やりますよ!!」
「.......ん.....」
「わかったわ」
そう言って、僕はソードブレイカー、
桜は拳銃とナックル、シルンはロケットランチャー(再装填済み)を持って、構えた。
「用意は良いかい?
僕は、アキラ以外には手加減する気はないッ!!」
ちょっと待てぇい!!
あれで手加減ありなの?
だ、大丈夫かなぁ......勝てるかな?
でも、やるしかないか!!
僕が先行して突っ込んだ。
桜が右からついてきている。
シルンは後ろで得物を構えた。
僕が上段から切りかかった。
ルートベルトが剣を横にして受け止めた。
そこに桜が拳銃を撃った。
ドン!......ドン!.....
ルートベルトが、剣をから左手を離し、桜に向けた。
そして、
「炎柱!!」
突如、地面が爆発し、銃弾ごと桜を吹き飛ばした。
「桜さんッ!!」
僕が叫んだ。
「よそ見はいけないなッ!!」
ルートベルトが剣に力を込めると、
バキンッ!
.......またしても僕の剣が折れた。
そして、左手で拳を作り、僕の腹に打ち込んだ。
「グフゥッ!!.........」
僕は痛みのあまり、その場でうずくまってしまった。
僕のお腹のライフはもうゼロよ......。
ドヒュゥゥン!!
シルンがロケットランチャーを発射した。
そして、
「....不可視の壁!!」
魔法により、ルートベルトの周りに歪みのようなものが発生した。
おそらく回避できないように壁を作ったのだろう。
ドゴォォォォン!!
ルートベルトに着弾して爆発した。
だが、
「固有魔法か......でも、練度が低すぎるな」
平然と煙の中から出てきた。
手には、何やらひし形の光る鉱石を持っていた。
「これは、魔晶石の一種で、魔法を一瞬で発射できるんだ。
炎柱が込められている。
爆炎筒はこれで防がせてもらったよ。
桜....さん?にもこれで魔法を放った」
解説お疲れ様です!
でもそれ....強すぎない?
あんな強力な爆発を瞬時に出せるなんて......そんなのがあったら、いつでも僕らのいる場所を爆破できるってことでしょ?
「疾風!!」
突如、ルートベルトが視界から消えた。
「.......んぐっ!!...」
シルンの方を振り向くと、シルンが腹を剣で刺されていた。
「シルンッ!!」
バタッ.......
シルンが倒れた。
マジかよ......。
どうしよう......どうすれば.......どうしたらいい......。
どうすればこの状況を打開できる?
即相手を爆殺できる攻撃、
瞬間移動並みの移動能力、
相手の武器を一瞬で壊す技能、
体術を組み合わせた近距離戦闘能力........。
........無理だ.....。
勝てない.......。
「アキラ......今ならこの二人は治療を行えば、五体満足の状態にもどれる。
アキラが今すぐ僕の奴隷になったら、『エーテル・ポーション』を使って今すぐ治療する。
けど、もしアキラが僕の奴隷にならなかったら、僕はさらにひどいことをするよ......。
どうする?」
どうするかだって?
そんなの...............
どうしようもないだろ!!
勝てる見込みがないのに意地を張って桜とシルンを見殺しにする?
できるわけがない!!
.........それに、ルートベルトはかなりの好条件でこちらを扱ってくれるらしい。
それこそゲストみたいに。
ここでみんなでルートベルトに尽くすのも悪い話じゃないんじゃないか?
「選択は早いほうがいいよ、アキラ。
それに迷う必要はないと思うよ。
奴隷とは名だけで、僕の別荘の一つを丸ごと全部提供しよう!
そこでアキラたち獣人だけの生活を送るんだ!
そうすれば差別の目も向けられない。
『契約』だって今行おう!
だから何も心配せずに、僕のものになってよ、アキラ」
そう言って、ルートベルトが僕の頭を撫でてきた。
桜やシルン、ルイにアイ、イユ、シルマ、ニーテェ、ニニン、ニィハ.......。
みんなの顔が思い浮かんだ。
みんな楽しそうに笑ってる。
南国風の家で海の近くで遊ぶ風景が見えた。
.........そうだよな.......何を迷う必要があるんだ?
こんなに良くしてもらうことに何の抵抗が必要なんだ?
「わかりまし........ん?」
僕は言葉を途中で止めた。
シルンが苦しそうな表情だけど、笑ってこちらに腕を伸ばし.........
親指をしっかりと立てていた...........。
ああ、そうだった。
忘れていたよ.......。
どうして今、僕は負けたと『錯覚』していたんだ?
今、ここには誰がいる?
僕と桜とシルンだ。
11ちゃんズは?おサボりさんですか?
違う。
とある『切り札』のために作戦行動中だ。
つまり、『まだ』負けていない!!
そして.........
僕は、勝つビジョンが見えた。
僕は、シルンに腕を伸ばし、同じように親指を立てた。
「どうしたんだい、アキラ!?
早く僕と『契約』しよう!」
ルートベルトは、少し驚いたような表情を浮かべている。
そして、僕はこう言い放った。
「すみません、ルートベルトさん。
僕は、魔法少年に興味はないんです。
あと、もう一つ言いたいことがあります。
今からあなたに勝ちますので、楽しみにしていてくださいね!!」
ルートベルトがはっきりと驚いた表情をしていた。
............。
(もふもふしゃんサイレントモード中)
次回、vsルートベルトその3!!
お楽しみに!!