1−25 獣人月歩 3
25話です!
「ルートベルトさん!僕ですよ、僕!!」
「すまない、ボクボク詐欺に引っかかるつもりはないんだ」
現在、アキラは必死に『あの』アキラだとわかってもらうために、必死でルートベルトに説明をしている最中である。
「ルートベルトさんも冗談って言うんですね♪
本当はわかっているんですよね?
僕が、前に一度会ったことのある、『あの』アキラだってことに」
僕がそういうと、ルートベルトはにっこり微笑んだ。
そして、
「初めまして、アキラ君。
さぁ!決闘を始めよう!」
そう言って、ルートベルトは剣を構えた。
武器は、ソードブレイカーってやつだ。
トゲトゲした剣で、触ったら痛そう。
「ちょ!ちょっと待ってくださいよ!
マジですか!?大マジですか!?
ま、待ってください!!
この財布に見覚えはありますよね?ね?」
そう言って、ルートベルトからもらった財布を見せた。
「...........」
ルートベルトの動きが止まった。
そして、うつむいていた。
「これでわかってもらえたですよね?
では改めて、お久しぶりです!」
「.......貴様.....『アキラ』に何をしたっ!!」
突如、ルートベルトが大声を出した。
..........どうやら、まだ僕を『あの』アキラだと認めてくれないらしい。
「確かにそれは僕の財布だ。
だが、それは『アキラ』に渡したものだ!!
つまり、『アキラ』でない君が持っているのはおかしい!!
『アキラ』は、まさに女神のような容姿の持ち主だ!!
決して君のようなミートボールではない!!」
ひどいよぉ〜......ぐすん.......。
そこまで言わなくても.......シクシク......。
あ、いやでも褒められてもいるのか。
女神なんて照れるなぁ〜。えへへぇ〜。
.....ん?
僕.........漢なんですが.........。
「そこまで言うなら.......おい!!
『エーテル・ポーション』を持ってこい!!」
ルートベルトが、部下の一人に命令した。
部下が走って行った。
なんかとんでもない名前が出てきた。
エーテル・ポーションってなんだよ!
万能薬?飲めば不老不死になれるの?
それともすごぉいポーションなの?
部下が戻ってきた。
とんでもなく早いな!
まだ取りに行って30秒も立ってないぞ!
「これは、飲めばどんな傷でも治ると言われている薬だ。
これを飲んで、あの『アキラ』に戻らなかったら、
僕は君にハンデとして、右腕の使用不可を命令する。
どうする?」
すごぉいポーションだったらしい。
僕は、『あの』クールビューティで、ナイスガイなアキラだ。
だからもちろん、僕の答えは決まっている。
「上等です!!
もし、その『アキラ』に戻ったら、決闘の要求に、白金貨10枚の提供を追加します」
「欲がないな.....。
まあでも、受け入れた」
そして、ルートベルトが、部下から『エーテル・ポーション』とやらを受け取り、僕に渡した。
使い方がわからなかったが、ひとまず顔にかけてみた。
すると、ゴキゴキという音がして、顔が小さくなっていった。
マジ痛いっす......。
そして変化がおさまった。
ひとまず、顔の大きさは普通になっていた。
手で確認した。
ルートベルトは、
「ア......アキラちゃん......なのか?」
と聞いてきた。
ので、
「さっきからそう言っているじゃないですか」
と答えた。
そうやら、顔の形は戻ったらしい。
エーテル・ポーションとやらは、何個か予備として取っておく必要がありそうだね。
おそらくまた、桜に顔の形をゆがめられるからね.......たぶん。
「いや.......その、すまなかった」
「気にしては........いますが、
あの顔では仕方ありません」
「本当にすまなかった。
.........ところで、なぜこんなことをしたんだ?
獣人の解放運動なんて、損しか生まないぞ?」
「僕にとっては、必要なことなんですよ」
僕はそう言って、人化を解いた。
「なっ!?」
ルートベルトは驚いているようだった。
まあ、それも仕方ないか。
耳とかを隠せる獣人は僕以外いないようだしね。
「こういうわけです。
僕は、獣人の『王』で、ある『計画』のために行動しているんです」
「『計画』?」
「はい!『もふもふ計画』です!
『全て』の獣人を僕が『手に入れ』る、崇高なる計画です!」
僕は誇らしげに説明した。
「......そうか...........。
君が人類なら、ここで獣人奴隷を君に渡してもいいのだが、
獣王となれば話は別だ.........。
.......アキラには、ここで僕の奴隷になってもらう!!
大丈夫だ!僕は君を必ず幸せにするッ!!」
なんかいきなりプロポーズみたいなことを言われた!!
どうして急にそうなったの!?
だが、ならば.........
その妄想をぶち殺す!!
「僕は、漢です」
「.........」
ルートベルトは、なんとも言えぬ顔で沈黙している。
「僕は、漢なんです」
ツイゲキッ!!
「........そうか........。
なおのこと都合がいいッ!!」
えっ!?もしかして『アッチ』系ですか.....。
まずい.....。
それはあかんって!!
「ぼ、僕は、あなたとは趣味が合いそうにありません!
ごめんなさい」
ひとまず振ってみた。
「君を幸せにできるのは、僕ダケダァァッ!!」
「ヒィィッ!!」
今日初めて、別れようとしても彼氏から強引に迫られる怖さを知った気がする。
ルートベルトは、ソードブレイカーを振り上げた。
そして、
「疾風!!」
そう叫びながら突っ込んできた。
ギリギリでルートベルトの剣を受け止めたが、
バキィッ!
そんな音ともに、僕の刀が折れた。
「.....くぅッ!!」
とてつもない衝撃が手にきた。
「遅いッ!!」
ルートベルトが叫んだ。
そして、次の瞬間、蹴りが僕の腹に当たっていた。
「グァッ!!」
僕は吹き飛んで、壁にぶつかった。
壁はほとんど無傷だ。僕は重症だ。硬いですぅ.....。
ものすごくお腹痛い。
お昼に食べたものが戻ってきそうだ。
ルートベルト強すぎだろぉ.....。
速すぎて、攻撃に反応できない。
そして、武器も折れちゃったし.....。
ルートベルトが歩きながら、話しかけてきた。
「もう諦めて、僕の奴隷になれ、アキラ!
そうすれば、一生僕が守ってあげられる!
好きなものを好きなだけ食べさせてあげるし、
酷い扱いなんて絶対にしないし、させない!
『契約』だって、同意のもとで行う!
ダメか?僕はアキラが欲しい!頼む!」
グハゥアッ!!
やめてぇ〜!!めちゃくちゃいい生活できそうじゃん!!
そんな誘惑されたら.....心が....折れちゃうぅ.....。
ハッ!!そうだ!!
僕の求める生活はもふもふと共にあるッ!!
もふもふ無き生活に価値は無しッ!!
「獣人の奴隷が欲しいなら、百でも、千でも好きなだけ用意する!
質も種類も好きなものを選ばせてあげるよ!
まだ不満があるなら、いくらでも『契約』するよ!」
獣人が......千人.......グファッ!!
なんて素晴らしき世界!!
しかも、追加オプション自由!!
な、なんて誘惑だ.........強い!!
だんだんルートベルトの後ろから神々しい光が見えてきたよ!!
そこで、観客席の人混みの中に........
シルンが見えた。
こっちを見て、信頼の目を向けてきた。
そうだよなぁ〜。
シルンがその中にいるとは限らないし、
ル、ルートベルト『様』.......はっ!いけないッ!
ルートベルトの『お相手』もしなきゃいけない!
そんなの、僕が求めるもふもふ生活じゃない!!
それに........
「ルートベルトさん.......。
世界中の『全て』の獣人を僕にくれますか?」
「世界中の『全て』!?
いやいや、それは無理だろう。
だが、相当な数を用意s.......」
「シャラァァップ!!」
僕はルートベルトの声を遮った。
そうか.......『全て』じゃないのか.......。
じゃあ、話は簡単。
「交渉決裂です。
『全て』じゃないんなら、意味はないです」
「どうしてだい!?
仮に、『全て』の獣人を手に入れても、全員を可愛がれるわけではないじゃないか!!
どうしてそこまで、『全て』にこだわるんだい?」
「それは、僕が獣人を..........
愛しているからです!!」
僕はキメ顔でそう言い放った。
ああ、今の俺ってかっきょいぃ〜。
観客席で、シルンが微笑んでいるのが見えた。
う〜ん、癒されるぅ〜!!
「んん?
愛していると、どうして『全て』の獣人を手に入れることになるんだ?」
「愛している人を独占したいって思うのは当然ですよね?
僕は、獣人の『全員』を愛します。
だから、『全員』を独占したいのです!いや、しなければなりません!!」
「...........」
ルートベルトは、沈黙し、何かを考えているようだ。
そして、
「なるほど.......わからん!」
ですよねー。僕もよくわからん。
でも、嘘は言ってない気がする。
「故に僕は、ここであなたを倒し、計画を進めさせてもらいます!!」
僕は、一気に起き上がり、
「我が勝利をここにもたらしたまえ!!
『正義の光』!!」
切り札を一つ使い、ルートベルトの不意をついた。
ちなみに、ルートベルト様のお歳は、20代前半ですよ!
前書き........手を抜いたわけではありませんよ!
作品の雰囲気を壊さないように、とか調子に乗ったことを考えて、少なめにしただけです!
これからも、いろいろしゃべるのは、後書きだけにしてみます!
前書きでも何か言って欲しい、という要望があったら、変更を考えます!
「もふもふしゃんの声をもっと聞きたい」とか、
「前書き最高!」とかって言われたら、再開しますよ!
自分で言ってて、ないわぁ〜って思いますけどね。
次回、vsルートベルト、その2!!
白熱したバトル回!?お楽しみに!!