1−21 アックスorマッスル
まずは一言、祝わせてもらおう..........
ユニーク総合500突破!!ありがとうございます!
これからも頑張りますんで、何卒、よろしくお願いします。
デートが気になる人もいますと思うんで、前書きはこの辺で。
21話です!
「では、シルンさん!行きましょうか!」
「...........みんな、.......行ってくる..........『デート』に.......」
なぜかデートの部分を強調していた気がする。
そう言って、僕とシルンは歩き始めた。
「次はうちも連れていくにゃ、マスター!!」
ルイが、僕たちの背中に向かって叫んでいた。
「...........」
桜はなんかおとなしくなっていた。
きっとかまってほしいちゃんだ。後で、からかってやろう。
今回のデートが行われる理由について説明しよう。
あれは........今から..........一時間前の話だ。
僕たちは、宿の手配を終わらせて、来るべき明後日の、ルートベルトの大会襲撃作戦に向けて準備をすることにした。
僕は、速攻でコロシアムを襲撃したかったのだが、最も多くの獣人が集まる日が、開催日なので、そこで騒ぎを起こして一人でも多くの獣人を助けようという方向に決まった。
正直言って、成功する確率はとてつもなく低い。
Aランク冒険者二人にあれだけ苦戦していたのに、大会の警備、参加者には、Sランクの冒険者もいるらしい。
騎士団がいないだけマシ(騎士団は、いわゆる人類種のハイソルジャー集団で、まさに鬼の強さらしい)だが、僕らみたいな少人数で襲撃するような場所じゃない。
だが、やるからには知恵でもなんでも使ってやるしかない。
今日は、そのための買い物をすることになったのだ。
買い物をするにあたって、班決めが行われた。
そして、僕とシルンが一緒になった。
そういえば、シルン今日寝るときも隣にいるなぁ〜。
きっと運命の赤い糸でも繋がっているんでしょう。
.......まさかと思うけど、インビジブル・ヲォールかなんかでズルはしていないよね?
時間を戻す。
過去の時間から帰ってくると、シルンが難しい顔をしていた。
「...........」
何やら物思いにふけっているようだ。
なんだろう?
僕がちゃんとプランを立てたかどうかを心配しているのかい?
大丈夫、だいじょうb.......ジャナーイ!!
そりゃそうでしょ!
だって、デートが決まったの今日だよ!
空想デートぐらいしとけって?僕はそんなに想像力豊かじゃないですよ!
き、きっと大丈夫ですよ!
ノープラン・ノープロブレム♪ですよ........たぶん。
ほ、本人に聞いてみよう.......。
「シ、シルンさん!
一体何をお気になされているんですか?」
「.......それ......」
そう言って僕の顔を指さした。
「えっ!?」
つまり、あれか?
オメェの顔が気にいらねぇんだよ!クソがッ!!ペッ!!
ってヤツですか?
...........わかりました。整形します。
「......『さん』をつけるの......やめて..........」
「.........よかったぁ〜、です」
「......ん?.......了承って.......こと?......」
いいや、整形のことです、とは言えない。
そういえば、敬語の『呪い』のせいで、言葉遣いを丁寧に、丁寧にってしてたら、『さん』をいつの間にかつけていた。
『さん』は別に必要じゃないんだよねぇ〜。
実際、11ちゃんズのメンバーのみんなのことは、呼び捨てで呼んでいる。
この『呪い』は、語尾さえ気をつければ、あまり強制力が働かないらしい。
語尾についても、一部敬語にならない部分があるし。
結構ゆるい。
「.........あ、はい。
シルン......。これでいいですか?」
「........ん.......アキラ.......」
お互いの名前を呼び合うって、なんか恥ずかしい!
とか考えていると、シルンと目があった。顔が赤い。
そして、お互いの事を見つめあい、
どちらかともなく手をつなごうと手を伸ばし、
あとちょっとで指が触れるところで、
「ラブラブだなぁ〜、お二人さん!!」
邪魔者が割り込んできた。
そいつは、身長2メートル以上あり、筋肉ムキムキの斧を持った、スキンヘッドのおっさんだった。
「あぁ〜〜ん!?
やんのか、ゴラァ!!..........DEATH!!」
僕はとっさにそう言っていた。
「おぅっと、姉ちゃんなかなかいい肝っ玉してんじゃねぇか!!
ガッハッハッハ!!」
「僕は、漢DEATH!!」
「バカいうな。
あんたさんみたいなベッピンさんが男な訳がねぇ〜!!
冗談きついぜ!!
もし、あんたさんが男だったら、俺は死んでやってもいいぜ!!」
魔力供給、すべてオールグリーン。
大気中の温度21度(推定)。湿度51%(推定)。
温度、湿度ともに異常なし。
攻撃対象の名称を『オジャマムシ』と呼称する。
自分の感情オールレッド。
『オジャマムシ』に対して、『ジャッジメント・レイ』発射準備、完了。
そうかそうか..........
そんなに死にたいかぁ..........。
なら、死にさらせ!!
「ジャッジメンt.........」
シルンが僕のコートを、クイクイと引っ張っていた。
「........」
シルンが、慈愛の目で僕を見ていた。
.........私は、......わかってる........。
「シ、シルゥ〜ン!!」
ガバッと僕はシルンに抱きついた。
「いやぁ〜、お姉さんはやっぱり、『ソッチ』だったかぁ〜。
これは残念!!」
「僕は『ソッチ』じゃありませんDEATH!!
漢なんDEATH!!」
「はいはいわかったよ。そういうことにしといておくよ」
こいつ絶対にわかってない!!
路地裏に連れ込んでボッコボッコにしてやるぜぇ〜、グッヘッヘッヘ!!
そう考えていたら、僕はあることに気づいた。
そして、視線がそいつの胸に釘付けになった。
筋肉ムキムキの胸板にほれたとかそういうことじゃないよ。
僕は『アッち』の趣向は持ち合わせていないよ......。
「えっ!?どうしてあなたが『その紋章』をつけているんですか!?」
この筋肉ムキムキのオジャマムシは、スカッゼ家の紋章の入ったバッチをつけていたのだ。
「ん?これか?
これは、参加証だ!」
「参加証?」
「そういえば名乗ってなかったな!!
聞いて驚くがいい!!俺こそが、明後日開催されるルートベルト・バトルコロシアム参加者のSランク冒険者、コデオ!!またの名を、『アックス・コデオ』だ!!
そしてこのバッチこそがコロシアム参加者の証なのだァ!!」
なんか大げさな感じで自己紹介兼、参加証説明をしてきた。
僕は、一度安心してから、再び不安になった。
一度安心したのは、ルートベルトの手先ではないということがわかったからだ。
不安になった理由は、アキラたちがコロシアムを襲撃するということは、このコデオとかいう冒険者も相手にしなくてはいけないからだ。
しかも、Sランク冒険者。あのでかいのや、チンピラよりも強いやつだ。
正直、会いたくはなかった。
顔見知りとなれば、攻撃することにためらいが生じる可能性があるからだ。
だが、それよりも気になることがあった。
「どうした、どうした!!
さっきまでの威勢がないぞ!!
まあ、それも仕方のないことだ!!
何せ俺はSランク冒険者だからな!!」
「あのぉ〜........『アックス』ってなんですか?
名前では........ないですよね?」
名前だったら悲しすぎる。
コデオが苗字で、アックスが名前になるのだ。
........いや、意外とアックスって名前かっこよくない?
「ああ〜、これか?
Sランク冒険者はみんな異名を持っているんだが、
俺に合いそうなのは『アックス』か『筋肉』しかないって言われたから、『アックス』にしたってわけだ!!
どうだ!かっこいいだろう!!」
この人本気で言ってるのかなぁ〜?
ただ単に、適当にあしらわれただけだって気づいているのかな?
しかも、代わりの案が『マッスル』って酷すぎでしょ!!
もう少し考えてあげようよ〜、みんなぁ!!
「か、かっこいいですね........」
「何だぁ〜?嫉妬かぁ〜?」
ウゼェ〜!!
ツンツン.......
シルンがかまって欲しそうにこっちを見ている。
「おいおい、『彼女』を無視するなんて、ひどい『彼女』だな!!
ガッハッハッハ!!
まあ、俺はもう行くとするさ!!
さらばだ、ベッピンさん!!」
そう言って、コデオは去っていった。
「「..........」」
僕とシルンはしばらく沈黙した。
嵐のようなやつとは、あいつのことだろう。
「どっか........見て回りません?」
「.........ん....賛成.......」
そう言って僕とシルンは、歩みを再開した。
いや、開始した。
デートはまだ続く.......。
あと一話(予定)です。
そのあとは、戦略、バトル、シリアス濃いめな感じになるんで(予定)、楽しみにしてください!
次回、シルンとどこまでしちゃうの、アキラ!?
邪魔者のいないデートとは!?お楽しみに!!