1−19 あの人
勤・労・感・謝です!!
感謝の19話です!
「ヌオォ〜!!
我が眼前の悪を打ち滅ぼしたまえ!!
正義の光!!」
ギュウウウゥゥゥン!!
そんな音ともに閃光が走り、また洞窟の天井を破壊した。
もうすでに、5か所以上に穴を開け、それらが一つになり、洞窟には大穴が開いていた。
「マスター素敵です♪
さあ!いますぐ私を『吸って』ください♪」
この♪+敬語の喋り方でなんかエロそうなことを言っているのは、イユだ。
あの冒険者事件の時に僕のメンバーになった、もふもふちゃんだ。
僕が敬語ばっかり喋っていたら、
「マスターが敬語なら、私も敬語を使います!」
と言い始めて、この喋り方に至る。♪はなんでつけているのかわからん。
実際にオンプって言ってるわけではない。ただ単なる喋り方のアクセントだ。
あと、僕の敬語が、『退化』した。
僕のセリフを思い返してほしい。
ね?一番最後、敬語ないでしょ!
こんな感じのことは前からあったんだけど、どうやら熱く何かを叫ぶ時は敬語が入らないらしい。
おかげで、かっこいい名前を叫んでいるのに、敬語とかっていう残念なシチュエーションにはならないわけだ。
ただし、『僕』だけはやめられない。
今となっては、気に入っちゃってるんだけどね。
.........あとで女神様(仮)ブッコロs...ゴホン!失礼。
ところで、私を『吸って』ってなんかずるくない?
間違いじゃあないんだけどね。
でもね、『吸う』のは魔力なんだよぉ......。
まず、僕の能力について大雑把に説明する。
『ジャッジメント・レイ』
僕の唯一の攻撃技。おそらく固有魔法。
光線が打てる。魔力の調整が難しくて、1、2発で打てなくなる。
ただ、シルンに言わせれば、破壊力が異常らしい。
つまり、僕は一撃必殺の技しかもっていないという、極端な状態なのだ。
ちなみにさっき僕が、イカした詠唱をつけたのは、その方が成功率が高いからだ。
詠唱ありだと、100%成功する。すごい。
無しだと、70%ぐらい?だと思う。
詠唱は、僕がかっこいいと思えば何でもいいらしい。
『天界の壁』
僕が名付けた。これもおそらく固有魔法。
みんなに名前を発表したら、ジャッジメント・レイと同じような反応された.......。
イカしてるよね?
能力は簡単。意識することで、羽に触れた魔力を吸収する。
ただし、羽に触れていない空気中に漂っている魔力も、引き寄せて吸収できる。
めちゃくちゃ強い。
魔法戦でおそらく無敵の能力。
限界がどの程度なのかはわからないが、かなりいけそうな気がする。
現在、『エンジェリック・ヲォール』で魔力を『吸って』、『ジャッジメント・レイ』を撃つということをしている。
つまり、自分の能力研究をしているのだ。
今は、11ちゃんズ、桜、シルンをアブソーブしたところなのである。みなさん気だるそうにしてらっしゃる。
で、次がイユだ。
順番は朝起きてきた順だ。
イユが一番遅かったのは、おそらく疲れていたためであろう。
魔力を限界まで使ったのだ。むしろ今日は休んでいた方がいいくらいらしい(シルン情報)。
本人がやる気十分だから、アブソーブさせてもらうけどね。
イユは魔法使いだ。だから、どれくらい吸収できるかが楽しみなのだ。
今までのメンバーで一番多かったのは、以外にも桜だった。
ただ怪力だけが自慢ではないらしい。こう思ったことは本人には内緒だ。
二番目がシルン、次にアイ......となっている。
「じゃあ、やりますよ」
「はい、『ヤ』りましょう♪」
こいつ......なんか喋り方がオカシイ。
まあ、そんなこと言ってても仕方ないし、『ヤ』ろう!......アブソーブのことだからね。
『ヤ』り方は簡単。
まずは........相手に抱きつく!!
次に、羽を出来るだけ相手にくっつける!
そして、魔力を吸い取るイメージを持つ!
ゴオォォォ!!
そんな音がする。
音が小さくなったら、終了。
「マスター.......私から....なんか、『デ』るぅっ!!」
魔力だからね.....。
相手を自分に密着させるのは、体の近くの方が魔力の流れのコントロールが操作しやすいからだ。
別に、さりげな〜く女の子の体を触って楽しもうとは考えていない。
いないったら、いない!
イユの体を解放した。
「マスター....今から....『ダ』すの?」
魔力を、ね!
いい加減しつこい!
そう思った僕は、少し強めにイユの頭を小突いた。
「イタ〜い♪
いきなりなにするんですか、マスター♪」
最後に♪ついてる。
つまり、原因がわかっていて、とぼけているってことだな。
よ〜し、第二射よ〜い.......
「ま、待ってくださいマスター!
わかりました!もうおふざけは無しにします!
だから、その手を下ろして下さい!」
「........わかりました。
それにしても、元気そうですね。
魔力、もうそんなに残ってないですよね?」
「はい、慣れてるんで♪
『あっち』では、魔力が空になるまで働かされていたんで♪」
『あっち』とは、おそらく奴隷になっていた時のことだろう。
.........♪をつけているが、表情はそんなに明るくない。
「まあ、さすがに魔力が暴走することはなかったんですけどね♪」
魔力の暴走とは、以前のイユが陥っていた、大気からの魔力の過剰供給現象のことだ。
僕のこのエンジェリック・ヲォールによる吸収でも、その気になればおそらく相手の魔力の暴走の状態にすることもできると思う。
だから、みんなに使うときは注意して使っている。だいたい3割の魔力が残るぐらいのアブソーブにしている。
みんなも、僕がそこまではしないことを信じて、安心してアブソーブされてくれている。
その信頼はすごく嬉しいし、僕も、それに応えたいと思っている。
「だから、マスターは私のことは気にせず、バンバン『吸っ』ちゃってくださいね♪」
「......気にしますよ」
「いやいや、大丈夫ですって♪」
「.........僕は、イユやみんなのことを僕に忠実な『道具』だとは考えていませんよ。
僕たちは、あくまで『対等』です。
とは言っても、僕が王である以上、ある程度上下関係が生まれてしまうかもしれませんが、できるだけ対等でありたいと思っています。
だから、僕には絶対遠慮なんかしないでください。
嫌なことは嫌、はっきりそう言ってください。
.........僕は、もっとみんなを近くで感じていたいんです」
「マスター.......」
イユが熱い眼差しを向けてきた。
「それに..........」
「......なんですか?」
それに........
「ストレスで、毛並みに影響が出たらどうするんですか!?」
「えぇ〜.......」
さっきまでいい感じのことを言っていたのに、急にケモミミとか尻尾の話を持ち出してきた。
イユは幻滅していた。
「尻尾の毛が........枝毛になったりなんかしたら........
この先、僕はどうやって生きていったらいいんですか!?」
「そこまで!?」
♪も敬語も忘れていた。
「当たり前じゃないですか!!
僕にとって、もふもふちゃんの毛並み様の健康は死活問題なんですよ!!」
「わ、わかったよ!
ちゃんと体の健康にも気を使うから、もうこの話やめようよぉ〜」
イユがなんかめんどくさそうな顔をしている。
だが、
「いいや、だめです!!
まだまだイユは、ケモミミたちの素晴らしさがわかっていません!!
徹底的に教えてあげますから、覚悟してください!!」
「ひえぇ〜!!」
そのあと、およそ一時間ほどイユは、ケモミミと尻尾の素晴らしさについてアキラに語り続けられた。
その間に、他のメンバーは魔力を回復した。
みんなは、悲しいものを見る表情で『アキラ』を見ていた。
そして、イユへの熱い演説が終わった後、アキラの能力の研究が続けられたが、特にこれといって新しくわかったことはなかった。
「みんなに発表があるにゃ!よく聞くにゃ!
この拠点を放棄して、別の場所に移動するにゃ!」
ルイが話を切り出した。
だが、みんなは驚いていなかった。
忘れているだろうが、僕たちは冒険者のチンピラを捕まえ損ねている。
つまり、この場所は既に『あの人』とやらにバレているのだ。
だから、今すぐにでも、この場を離れたほうがいい。今まで追っ手が来なかったほうが不思議なのだ。
「.......そういえばみんな、『あの人』に心当たりがあるみたい感じでしたよね?」
「にゃ?にゃ〜、マスターにはまだ教えてなかったにゃ。
マスターは、うちらの腕輪の二文字目を覚えているかにゃ?」
「......Rですよね?」
「ここらで奴隷にRがついていたら、それはほとんど同じ人を示しているにゃ。
............『白金の』ルートベルトにゃ」
「.........えっ!?」
アキラは驚いた。
なぜならその名前は、アキラたちがお世話になったことのある、
金髪碧眼のイケメンのものと一緒だったからだ。
今日中にもう1話厳しいかも......です。
でもまあ、勤労感謝しながら頑張ります!
次回、ルートベルトとは一体!?
衝撃の事実が明かされる!?お楽しみに!!