1−13 不可視の壁
この作品中、『娘』って感じがよく出てきますが、これは『こ』って呼んでください。
だいたいそう読むように書いてます。
例外があったら、ごめんなさい。
13話です!
「男..........なのかにゃ...........?」
ゴクリッ........
そんな音が聞こえた気がする........。
「ふっふっふ〜、そうです。
僕こそが、『漢』の獣人こと、アキラであります!
さあ、さあ〜。
今なら、モフらせてくれるだけで、なんと!
僕が、『できること』をなんでも、してあげますよぉ〜!」
「にゃ、にゃぁ〜...........。
女と思ってたから、なんとも思ってにゃかったけど.........
こうしてみると、イケメンにゃ............中身は、あれだけど」
「そこ!聞こえていますよ!ルイ!
僕は、正直なだけです!」
「ル、ルイ!?
それは名前かにゃ?............私のかにゃ?」
「はい、それに、他のメンバーのも考えてあります。
桜の隣にいる娘は、シルマ。黒マント被ってた娘が、アイ。
そして、そこにまとまってる娘達は、大きい順から、
ニーテェ、ニニン、ニィハです。
わからないかもしれませんが、全て腕輪の番号の文字を使ってつけています。
腕輪に関係しているのが正直僕は、気に入りませんが、でも、その記号のようなものよりはマシだと思ってます。
もしよかったら、この名前、もらってくれませんか?」
「「「「「「...........」」」」」」
黒マントの一味は、みな沈黙していた。
黒マントの一味と言ったが、名前がある。
『11ちゃんズ』である。
この名前は、ボス(ちっちゃい娘。にゃを語尾につけてる娘)の名前が、CR11であることから由来する。
この団名を決める際、団員が血で血を洗う、壮絶な死闘の末、決まったことであるということは、団員たちのみが知る話である。
団員の名前と、特徴についても、まとめておく。一部、アキラが後に知った情報も含まれる。
CR11 (ルイと命名予定) 毛色:薄黄色
団長。にゃを語尾につける癖がある。これは、周りの獣人たちが、にゃをつけて話すと笑顔?になったことが原因である。あえてつけているうちに、とれなくなった。普通の猫種は、つけていない。
いろいろ(背とか、胸とか)小さいが、年長。バカっぽく見えるが、実は勤勉で、真面目でくじけない性格をしている。
CR103 (シルマと命名予定) 毛色:グレー
桜と意気投合している獣人。かなり無口で、騒がしいのが苦手。対外的には、兎人族の戦士。そのため、適当に『ラビ』、と語尾?につけている。
CR15 (アイと命名予定) 毛色:こげ茶
シルンを攫うために、服屋まで侵入してきた獣人。運動神経が団員一高く、スキルの加速が使え、戦闘能力も、団員一高い。だが、頭がちょっと......あれな娘。人の話を聞かず、なんでもすぐに突っ走る。アキラたちと戦闘行為をしたのも、この性格のせいである。
CR211、CR223、CR248 (それぞれ、ニーテェ、ニニン、ニィハと命名予定)
毛色:右から順に、薄いピンク、赤っぽいピンク、薄いピンク
三人は姉妹。左に行くほど年が上である。でも、一番のお姉さんでも、年はおよそ19ぐらいである(正確な年齢はわからない)。姉妹では、2歳ずつ歳差がある。団員の中では、三人とも、雑務担当。
211は、いかにもおっとりお姉さんって感じ。あと、胸がでかい。
223は、強気で活発な女の子って感じ。ぺったんこ。
248は、大人しい感じ。シルンにちょっと似てるかも。胸は......言うまい。
これが、11ちゃんズの団員全員である。
話を戻そう。
しばらくの間、静寂な時が過ぎた。
そして..................
「「「「「「........キュン」」」」」」
「............はい?」
この時、アキラは完全には獣人の『男』の意味を正確には理解していなかった。
最後に獣人の男が確認されたのが、100年とちょっと前である。その間、獣人は、他種族との交尾により、生存していた(数は、増え続けている)。
100年もの間、獣人は、同種の男と会っていない。
つまり、ほとんどの者が、『互いに愛し合う』とういうことをしていないのだ。
獣人でも、女の子は、みな恋愛に憧れるものである。従って、獣人の男に対し、あらぬ噂が多々流れて、広まっていた。
その影響を受けないものは、獣人にはおらず、平たく言うと、『獣人の男』=『王子様』なイメージが形成されていった。
さらに加えて、獣人のほとんどは、異性から優しくされることを経験していない。
つまり、皆ちょろインなのである。
ここまで言えばわかるだろう。
今、ここでアキラの行動の意味することは、
『王子様から、優しくされた』
ということだ。
そして、彼女たちがとった行動は............
「「「「「「エンゲージ!!」」」」」」
瞬間、僕との間に、白い光線が行き来し、鎖の形に収束し、消滅した。
「わぁあッ!!待ってください!な、なんでですか!?
いきなりどうしたっていうんですか!?」
僕は即決でエンゲージされるとは考えていなかった。
ちょ〜とだけもふもふさせてくれれば良いなぁ、みたいな軽いノリだったのだ。
エ、エンゲージってそんなにホイホイしちゃって良いんですかねぇ?
僕がそんなことを考えている間も11ちゃんズの視線は、『理想の王子様』に釘付けだった。
「全員抜け駆けは許さにゃいにゃ。
『じっくり』、『みんなで』楽しむにゃ」
「問答無用!!
加速!!」
「おい!15!抜け駆けは許さんぞ!!」
「私たちも行きますわよ〜!!」
「待て〜15!!」
「待ってぇ〜!」
6人全員が、突っ込んできた。特に、15(もう勝手に、アイと呼ぶこととする)は速かった。もう目の前まで来ている。
そして、到着まで、一秒もないって時に、声が響いた。
「...........不可視の壁...」
ドォォォォゥウウン!
そんな音とともに、アイが、ガラスにほっぺたをくっつけたみたいな顔で、急停止した。
「ふにゃッ!!」
そう言って、アイは、地面にへたり込んだ。
「........ますたーは、.........今夜、........私を.......可愛がる約束..した........。
.....邪魔は、........許さない........」
とんでもなく冷徹な表情で、シルンは、地面にへたり込むアイを見下していた。
「はいぃ〜........」
そう言って、アイは涙目になりながら、ふるえていた。
「.......他のみんなも........いい?..........」
.......コクリ
全員が頷いた。
今夜、シルンをしっかり可愛がらないと、僕........殺されちゃうかもしれない..........。
この時、アキラは、そんな不安を抱いていたのである..........。
あと、不自然な語尾(ワンとか、ラビとか)は、あくまで身分(猫種)を隠すためにやっていたことらしいです。
本人たちから聞いてきました!