1−12 実は僕は
12話です!
「............ここは?.......僕は一体............誰ですか........?
...............はっ!」
そんなことをぼやきながら、アキラの意識は覚醒した。
「イッテェェ〜!!
桜さん、もう少し手加減してくださいよ!
これ以上、バカになったら、どうするんですか!?
..........あれ?頭の形........おかしくないですか?
............気のせい........ですよね?」
そうやって大声で、文句を言っていると、桜さん『たち』がやってきた。
『たち』と言ったのは、黒マントとその仲間も一緒に来たということだ。
様子を見るに、和解でもしているのだろう。
ひとまず、いがみ合っているって感じじゃないから、安心した。
「起きたみたいね。
シルンも、もう起きなさい」
「.........んあぁ〜..............おはよう..........ますたー.........」
そう後ろから声がした。背中合わせで寝ていたらしい。
寝起きの顔、すっごくカワイイよ!
「おはようございます、シルンさん」
「...........ますたー...........男前に......なったね..........」
「それ.........どういう意味ですか?」
「そんなことより、本当かにゃ?
こいつが『王』っていう話は?」
「ちょっと待ってください。僕の顔が、男前ってどういう意味..........」
「ええ、本当よ。
さっきも言った通り、シルンはすでに毒牙にかかっているわ」
「毒牙って何ですか?あと、僕の顔g...........」
「じゃあ、うちらの敵ってことではないのかにゃ?」
「そうよ」
「無視しないでくださいヨォ〜!!
桜さ〜ん!もふもふちゃ〜ん!..........うえぇ〜〜ん!!」
「なら、反省しなさい。
この娘達、あなたのせいで、トラウマが増えたそうよ」
『少し』だけやりすぎちゃったかも......。
「申し訳ぇ、ありませんでしたぁ!」
「...........わかったにゃ。
みんなももう許すにゃ。あと、拘束を解いてやるにゃ」
そう言って、黒マント(中身)がふるえながら近づいてきて、拘束を解いてくれた。
「先ほどはすみませんでした」
「...........こっちも、いきなり襲ったりしたから、お互い様。
気にしてない」
「ありがとうございます」
そう言うと、にっこりと微笑んでくれた。
こげ茶の短い髪のすらっとした美人だった。
キレイだなぁ〜。
どことなく、容姿は、身分が高そうに感じる。しっかり腕輪はあるけど。
「ふぁ〜!
自由ってすばらしいです!」
拘束プレイもなかなか良いが、体が固まってしまう。
「何を言っているかにゃ.........。
そんなことより2039........いや、シルンがメンバーになったってことは、
こいつは、『帝』ってことかにゃ?」
「...........イェス........ますたーは、..........私の.........ますたー..........」
そして、シルンは、アキラの膝の上に座ってきた。
か......かわいい.....。
頭の耳らへんを撫でてみた。
「..........んぅぅ〜........」
悩ましげな声が聞こえてきた。
もう、たまらん!
「........わかったにゃ。
だから、ストップにゃ!続きは、二人だけになったときにやるにゃ!」
「.........後で、......いっぱい....可愛がってね........ますたー........」
「もちろんです!!」
とっさに返事をしてしまった。
で、でもぉ〜、こんなかわいいし、仕方ないよね?う......鼻血出そう。
「それより、『帝』ってなんですか?」
「『王』を従える、『王』にゃ」
「それって.........シルンさんも『王』ってことですか!?」
「そうにゃ。でも、メンバーのいない王にゃ。
だから、うちらは、シルンに王になってもらって、人間に反旗をひるがえそうとしたにゃ」
「.........人間には........まだ勝てない.........だから、
.........私は、........王になることを、..........拒んだ..........」
「王になってから、命令で辞めさせればよかったのでは?」
僕は尋ねた。
「.........そういうのは、.........嫌い....... 」
「っていうにゃ。
シルンは、頑固にゃ。何度言っても聞いてくれなかったにゃ」
「............頑固は、.......お互い様..........」
「そんな中、あんたたちが現れたにゃ。
そして、『頑固者の』シルンをメンバーにしたにゃ。
.........いったい、何をしたにゃ?」
なんかやたらと『頑固』の部分を強調している。
過去になんかあったのかな?
それと、
「僕は、『あんた』じゃないです。アキラです。あと、もふもふさせてください」
「わかったにゃ。.........ん?
にゃ!?わ、わかってにゃいにゃ!にゃに言っているにゃ!?
反省したんじゃなかったのかにゃ?」
『にゃに言ってるにゃ』って早口で言うの.....難しくない?
「先ほどのことは、反省しました。
だけど、僕は..........自分に嘘は........つきたくないんです........」
「にゃにカッコつけてるにゃ!それって反省してないってことにゃ!」
獣人の子の一部がビクっと反応して、ふるふると震え始めた。
........本当にトラウマになっているらしい。
「ア〜キ〜ラァ〜!!
もっと顔の形変えられたいよねぇ!?」
桜鬼が起動した。
今なんか聞き捨てられない言葉を聞いた気がする。
「もっと?
.........てことは今顔の、形が変わっているってことですよね!?
治んなかったら、どうしてくれんですか!?」
「そんなことは、どうでもいいわ」
「どうでもいい!?ひどいです!!
桜さんの鬼!悪魔!邪神!バカ!アホ!マヌケぇ〜!」
自分の語彙力が.........鶏並みだった。
プチンッ
な......なんかが切れた気がするぅ。
「死にたいようねぇ〜!!」
桜が、本当に鬼の形相で迫ってきた。
「ヒィィッ〜!!
斯くなる上は、喰らえ!!
インフィニット・シルン・シールド!!!」
そう言って、シルンを持ち上げて盾にした。
「........!.......
.......ますたーは、........私が.....守る.........キリッ........」
なんて健気でいい娘なんだ、シルンは!
後でいっぱい愛でてやろう。グヘヘェ〜......ジュルッ......おっといけねぇ。
「この外道!!か弱女の子を盾にするとか!
あんた、それでも『男』なの?」
桜がうろたえている。そう、これが狙いだ。もちろん、桜が攻撃してきたら、翼なりなんなり使って、シルンを守る。
シルンに傷がつくなんて、僕が絶対許せない!
つまり、本当に盾にしようとなんて考えていないからね!.............本当だよ。
「え.........『男』?
.........獣人のかにゃ?」
桜の言葉に、その場が凍りついた。
「えっ?桜さん、言ってなかったんですか?
僕がイケメンなナイスガイだってことを?」
「そんなこと、一生言わないわよ!!」
なんであれ、シルンの時のことを考えると..............
胸が踊るアキラであった。
今日は、もう一話あげられるかどうかわかりません。
申し訳ない。
でも、どうにかあげられるよう努力しますんで、
温かい目で見守ってやってください。