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1−11 騒音注意

今回は、シリアス少なめです。


11話です!



ー桜視点ー


「ん、.......うぅ.............。

 ここ....どこ?」


 そう言って、あたりを見回すと、

 岩肌がむき出しの、洞窟の中にいた。ランタンのようなもの(おそらく魔法)で、明かりはあったが、それでも暗い。

 少し先の曲がり角からは、ここよりも明るい光が漏れていた。きっと、自分たちをさらった黒マント『たち』であろう。

『たち』と言ったのは、人攫いには、普通仲間が何人もいるからだ。

 そうじゃないと、失敗に伴うリスクが大きい。

 それに、私たち3人の中で、一番価値の低いのは、私だろう。

 まず、シルンに用があったっぽいし、シルンが即どうこうされるとは考えにくい。

 それに、アキラは変わった見た目をしているから、いろいろ利用する価値はあるだろう。

 同じ理由で、アキラたちが、亡き者にされている可能性は低いだろう。

 私がここにいるってことは、私を運ぶ余裕があったということになり、黒マントに仲間がいると推測できる。



「もふもふサ〜セ〜テ〜ク〜ダ〜サ〜イ〜!!!」


 唐突に、曲がり角の奥から、

 小学生みたいな台詞+敬語で、自らの願望を爆発させている『やつ』の声が聞こえた。

 アキラだ。アキラしかいない。アキラ以外ありえないだろう。

 

「えぇ〜い!!うるさいにゃ!........ワン。

 静かにする........ワン!」


 意味のない犬言葉を使う、哀れな被害者がいるらしい。おそらくあの黒マントの仲間であろう(犬言葉の使い方的に)。黒マントよりも声が子供っぽい。


 私は自分の身なりを確認し、自分の足が拘束されていないことを確認した。

 手にはアキラとシルンにつけられた手錠があったが.....。

 ........後でアキラをぶん殴る!!そう決意した。

 走ることはできるだろうが、この洞窟の出口もわからないし、見張りもいるだろう。逃げることはできそうもない。

 と、そんなことを考えているところに、


「起きたのか............ラビ」


 白に近いグレーの毛色の、猫の獣人が来た。

 それより、


「........ラビ?」


「いかにも。私は、兎人族の戦士、.........という設定だ..........ラビ」


「..............」


 設定って自分で言っちゃったよ!ていうか、ラビって語呂悪くない?語尾につけるとものすごく喋りにくいよね?この人は、語尾につけているわけではないけどね!


「それより、さっさと来い...........ラビ。

 あの変な獣人がうるさくてしょうがない..........ラビ」

 

「ご、ごめんなさい」


 ついつい同情しちゃった。

 アキラがうるさくて、意味不明で、変な奴であることには大いに同意する余地があったからかも......。


「ーー!

 いや........その........お互い苦労してるんだな........ラビ。

 敵じゃなければ、いい友人になれそうなのにな......... ラビ」


 なんか気が合いそう。


「私は、そもそも敵になったつもりはないわ。

 私の名前は、桜。あなたは?」


「.............CR103シー・アール・イチ・マル・サンだ」


 そうだった。獣人は名前を持っていなかったんだ。ついつい普通の流れで、名前聞いちゃったわ。

 ていうか、


「ラビ.........忘れてるわよ」


「これは失礼........ラビ」


 ........クスクスクス


 私は笑った。CR103.....さん?も少し、ほおを緩めていた。

 その時、さっきからアキラと話(?)をしている獣人が曲がり角から出てきた。

 猫の獣人で、黄色っぽ毛色をしている。

 ちょっと.......子供っぽい。背とか.........いろいろと.......。


「103!早く来るにゃ!.........ワン。

 オォ.....そっちも起きたか.........ワン。

 早く連れてくるんだ.........ワン!」


「もふもふちゃんどこいっちゃったんですか〜?

 早く戻ってきてくださ〜い!

 もふもふちゃ〜ん!!」


「ウルセェ〜にゃ!!静かにするにゃ!!

 それと、うちは、もふもふちゃんじゃねぇにゃ!!

 何度言ったらわかるにゃ!!

 今、行くから待ってるにゃ!!」


 もう、完全にワン(いらない口癖(?))を忘れている。


「........ついて来い.........ラビ」


「...........わかったわ...........らび」


 なんとなく、アキラの味方はしたくない気分になった。

 そして、少し先の角を曲がると、ちょっとした広間になっていた。

 そこには、シルン、猫の獣人が4人(黒マント一味は合計6人)、そして...........


 手足、羽を拘束されたアキラがいた。頭以外動かせないようにされていた。


「あぁ!桜さん!無事だったんですね!

 それより、見てください!ここは天国らしいですよ!!」


 私は、見回した。

 二人の獣人が、気絶して倒れており、一人が広間の端で耳を必死に抑えながら、ふるふる震えていた。

 黒マントは、机に突っ伏し、口から泡を出していた。

 

「どこがよ!!私は、むしろ逆に見えるわよ!!」


 そう、地獄だった。


「助けてにゃ!お願いにゃ!

 あの化け物を静かにしてにゃ!!

 あいつ、起きてからずっと、もふもふ、もふもふ、もふもふ、もふもふうるさいにゃ!!

 うちらにできることなら何でもするにゃ!!頼むにゃ!!」


 その少し子供っぽい獣人は涙目で行ってきた。

 話を聞くと、アキラは、ずぅぅっと騒ぎ続けていて、睡眠薬に抗体ができてるらしく、効かず、何に利用するかわからないため暴力はふるえず、口をふさごうとすると縄を噛み切ってしまい効果がなく、お手上げらしい。

 

 すごいよ、アキラ.......。人攫いのアジトに連れて行かれながらも、人攫いを精神的苦痛で壊滅させるとか.......。

 とは言っても、やりすぎだ。特に黒マントは、乙女の尊厳が危うい。


「桜さん!この拘束を解いてくださいよ!

 そしたら、みんなでもふもふし合いましょう!!」


「はぁ〜.........」


 私は、静かにアキラの方に近づいていった。

 手錠は子供っぽい獣人の子がとってくれた。


「腕だけでいいですよ!あとは自分でやります!」


 そして、腕を高く上げ............


「さ、桜さん?......何を............?」


 にっこり微笑んだ。


天☆誅(てんちゅう)


「ひいっ!!」


 アキラの血の気が引いていくのがよくわかった。


 そして、挙げた手を一気にアキラの頭に振り下ろした。


「グギャkhjyfrcxmbk!!!」


 アキラは、声にならない悲鳴をあげた。

 新たな発声方の練習をしていたのだろう。

 一瞬、アキラの顔の縦と横の比が逆になった気がするが、まあ、気のせいだろう。

 アキラは、意識を冥界探索に送り出していた。すぐに冥界にたどり着けるだろう。



 すっ、と後ろを振り向くと、

 アキラと同じように、血の気が引いている獣人二人がいた。


「「ば、バケモノにゃ...........」」


 二人は仲良く声をハモらせていた.........。








 一方その頃..........


 シルンは、スヤスヤ眠っていた...........。


「スヤスヤァ〜〜...........ますた〜.......

 ....それは............ダメぇ〜.........ぇ.........

 ......スヤァ〜.........」






今回は桜視点でお送りしました。

桜さんがエアヒロインだの、ステルスヒロインだのって言われたくなかったんです。


だから、今回は、シルンさんに寝ててもらいました!


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