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死妃の娘  作者: はかはか
第一章 追跡
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【導入部】

『天の底に生を受け、地獄の頂に身を置きし、この矮小なる肉塊。

 己の生き様は己の才覚で描き見せども、己の死に時、死に場所は選べども、この肉塊、ひとつだけままならぬものは、生を受ける時、命出づる場所。

 我を生み、その大いなる情けを与えし母に、その絶望なる恨み怒り抱く者少なく無し。この世に無意味なる慈愛は、我の目、我の耳、我の心には届かざれども、この世に生まれし無情、不幸、不快の怨念を忘れる時は無し。

 ただ、それでも人なる身なら、まだ同じ不遇なる欲深共を臨み見て、溜飲を下げる事は出来ように、人ならぬ身ではいかに出来ようか。

 竜の血を貰い受けし、生と死の狭間に堕ちた人ならぬ者達。

 このまなこに浮かぶ影形かげかたちは我と変わり無きと言えども、そのまなこ見る景色、皮膚に辿り着く感覚、鼻腔びこうくすぐる臭いは、全く同じと言えようか。

 悪意により生まれ、悪罵あくばに囲まれ、悪しきつるぎとして心燃やし、身を打ち震わせ、悪鬼のそしりを受けながら死にし者達。

 いかに己の生き方を望もうと、《ナパ=ルタ》の大意に逆らえず。

 その存在は、永遠とわに混じらぬラトアスとアメアスの流れのように、我々とは全く異なるものとおぼゆる』(『白杖記』作者不詳)

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