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【覚え書き】
『それ』が足元を蠢いているとは誰も思わなかった。
人々は、自分の生活に手一杯で他所を振り向く余裕さえ無かった。
自分を守り、家族を守る事で他を考える事が出来無かった。
自分の生活さえ良ければ他人の事は後回しで良い。
本当は、自分も他人に優しいと思っている。
しかし、まずは自分の生活を優先したい。
だが、ならば、どうなったら他人に目を振り向く事が出来るのか?
どのくらい富を蓄えれば満足するのか。
その間も、危険は身に迫っているというのに。
本当に自分や自分の家族を守りたいのなら、今、一度立ち止まって周囲を見回す事が必要なのに。
この間に、最悪の事が進んでいるのに。
後悔は、永遠に塗り替える事が出来無いというのに。