12.復活と加速するRMT
「休止中ですか?いろいろやってたと思うんですが、パチンコ・パチスロくらいしか思い出せませんね。
でもパチンコパチスロよりドラクエ10でRMTしていたほうがいい遊びだと気が付きました。だって使うお金が段違いですから。」
ドラクエ10にハマっていた時、日曜日の朝6時にはピラミッドに乗り込みフレンドたちにドヤっていた小山さんだったが、
休止中の日曜朝は9時にパチ屋へ乗り込み、当たりを引いてドヤるために頑張っていた。
私も6年ほど前に1~2年だけパチンコを打っていたのだが、その時期よりもはるかに勝ちにくくなったと小山さんは言う。
「年々釘や設定が悪くなっていますね。パチスロなんかは特にボロボロで、細かい規制が入ってきてて勝てる要素なんて全然ないです。
当たりが来なければ1時間に2万円負けるギャンブルだと思ってくれていいですよ。」
なぜ負けることがわかってて行くのか?
という当り前の質問が飛んでくるかもしれないが、これがパチンコの持つ魔力なのだ。
「でも調子がいい時もあって、休止して最初の1か月は40万勝てました。
ずっとドラクエやっててパチンコは久々だったから、ビギナーズラックみたいなものだったんでしょうね。
その時は仕事辞めてパチプロになろうかと思ったくらいです。」
しかし調子が良かったのはその1カ月だけで、この黒字を吐き出した後、さらに80万の赤字になるまで小山さんはドラクエから遠ざかっていた。
「14年の7月あたりからパチンコやってて、パチンコやめたのが15年の正月ですね。
正月のひどい釘と設定に頭きてやめましたよ。」
半年足らずで40万の黒字から80万の赤字へ一気にマイナス120万。
そこまで負けてしまうとは……パチンコ・パチスロは本当に恐ろしい。
「いろいろ馬鹿らしくなってパチンコをやめた時、そういえばドラクエ10やってたなと思い出したんですよ。
アカウント停止を受けたとはいってもメインキャラは無傷なんだし、何の問題もなかったんですよね。それにパチンコは調子が悪いと月に数十万負けてしまいますけど、ドラクエでRMTやっても数万円で済みますから、お財布には優しい遊びですよね。」
風のうわさでドラクエ10はバージョン2.4を迎え、レンダーシアの物語が完結したことを知った小山さんは再びアストルティアへ戻ることにした。
「半年以上やってなかったネトゲを再開すると浦島太郎状態ですね。いろんなところが変わってしましたよ。
最初は戸惑いましたけど、その分これは楽しめそうだなと思いました。
だけど凄くショックだったことがあって、30人くらいのフレンドから切られていたことですね。
たぶんこいつしばらくログインしていないし、装備も買い替えてないから弱いと判断されたんでしょうね。
バカにされた気がして頭にきましたね。」
腹が立った小山さんが再開後どのような行動をとったのか予想できたが、
念のため心を入れ替えてRMTをやめたのか尋ねた。
「復帰を機にRMTは止めたんですかって?そんなわけないじゃないですか!
復帰と同時に新しい運び屋アカウントを買ってまたRMT(金策)始めましたよ。
それに半年以上プレイしていなかったということは、運営からの監視もなくなったでしょうし。」
冒険を再開してからの小山さんは相変わらずRMTに手を染めた。
新しく購入したアカウントである運び屋のサブBがRMTでゴールドを購入し、メインアカウントへ送る。
この流れでゴールドを購入していったのだ。
しかし処分にビビった小山さんは、冒険再開後は購入金額が少なかったらしい。
「私も一回処罰を食らったことでビビってしまい、(2015年)1~4月くらいは月平均で1.5万円くらいしか取り引きしませんでした。
しかし、取り引きに慣れてきて、1.5万円で買ったゴールドじゃ物足りなくなって……」
嫌な予感がした。
もちろん的中した。
「やっぱり強い武器買いたくなるじゃないですか。バージョン3.0になったし装備買いたいですよね。だから5~8月は月3万円くらい買いましたね。
このあたりからインフレがすごくなって、1回の取引額も1000万を超えるようになりましたよ。
復活してからの取引方法は受け渡しにしました。郵便は手間がなくていいですけど、業者とフレンド+郵便受け渡しが原因でアカウント停止を食らった気がしたので受け渡しに戻したんです。」
加速度的に増えていくRMTの取引額。数ヶ月であっさりと停止前の購入額の水準に戻ってしまった。
「9月は結構取引額が多かったです。6000万G。そう、1か月に6000万Gです。
1回2000万Gを3回つまみました。リアルマネーだと5万4千円くらいかな。」
小山さんは業者取り引きの回数と金額をスマホに入っていた業者との取り引きメールを確認しながら教えてくれた。
月に5万を超える金額を惜しげもなく趣味(?)に使える人間は少ない。
そういう意味で、今目の前でお酒を飲んでいる彼は選ばれた人間なのだろう。
しかし、この行為のツケを払う時がやってきた。
「でも10月は我慢したにもかかわらず、スクエニに処分されてしまったんですよ……」
落ち込むような口ぶりから察するに、ツケは高いものになってしまったようだ。
第二次アカウント停止事件の顛末を語ってもらった。