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部屋割り

勇輝達が玉座の間に入ると奥から5歳くらいの男の子が走り寄ってくる。


「ねぇー様。おからだは大丈夫なのですか?」

「大丈夫だよ、レイナーレ。それより、今はお客様の前だからちゃんと挨拶しないと。」

「あ、そうでした。僕はねぇー様の弟のレイナーレです。はじめまして。それとお久しぶりです、アリスねぇー様。」

「久しぶり、レイ。元気にしてましたか?」

「うん。元気だよ。それよりもアリスねぇー様はどうしてここに?」

「ちょっと用事があってね。」

「あの、アリスさん? レイナーレ…様? とお知り合いなんですか?」

「えと、お妃様の腹違いの妹が私の母なので一応いとこの関係ですね。」

「それってつまりアリスさん……いや、アリス様も王族ってこと!?」

「一応末席ではありますが。でも、継承権はありませんので、今まで通りアリスとお呼びください。なんでしたら呼び捨てでも結構ですよ。お前やハニーでも可。ユウキさんは私だけではなくカトレイア家の恩人ですから。」

「ちょっ! それって奥さんや恋人に言う言葉だよね!?」

「ふふっ。ユウキさんならきっと父も認めてくれるでしょうし、あ、なんでしたらいっその事リリアのお婿さんになって、アオイさんと私が第二、第三夫人というのもいいかもしれませんね。」

「ダメーーーーーー!!!」


アリスが勇輝に求婚の話をしていると突然レイナーレが待ったをかける。


「ゆーちゃんならまだしもなんでレイナーレ様? が!?」

「うるさーい。アリスねぇー様とは僕が結婚するんだ。」

「それはアリスさんが勝手に言ってるだけでしょ。」

「うるさいうるさい。お前なんか大嫌いだー!」


そう叫ぶとレイナーレは引き返して奥の方へと走り去っていった。


「さすがに冗談が過ぎますよ。」

「ふふっ。ごめんなさい。レイが可愛くてつい。それに今はまだ分からないでしょうが私とレイは絶対に結ばれないので早めに引導を渡しておこうかと思って。」

「絶対にってどういう事?」

「レイはまだ5歳です。対して私は既に15。彼が成人する頃の私は行き遅れもいいところです。それに彼には既に婚約者がいますから。」

「そうなんですか!?」

「彼は王族ですからね。」

「じゃあ、アリスさんは?」

「私には居ませんね。父がどこぞのボンボンなんかに俺の娘の婿が務まるかと拒んでいまして、その点ユウキさんなら適任かと。」

「それはゆーちゃんに聞いてみないと。というか既に爆発寸前のような……」

「そのようですね。ではこの話はまた今度。」


と、ここでリリアーナが勇輝達が話している間に呼んでいたメイドが登場する。

リリアーナは彼女達に勇輝達を客室へと案内するように指示を出した後、勇輝達に向き合って「私は政務があるので失礼します。ユウキ様達の話も聞きたいので夕食は一緒に食べましょう。」と告げて玉座の間と直通の通路がある執務室へと向かうが、そこで待ったが掛けられる。


「待って、リリアーナ様。その前にリリアーナ様が行くところに使い魔がいないか確認させて。……白音、憑依可能時間って後どのくらい?」

『後17分なの。』

「ありがとうございます、ユウキ様。では、お願いしますね。それと、私の事は気軽にリリアとお呼びください。王位を継いでから私の事を名前で呼んでくれる人が減ってしまいまして。なのでユウキ様には親しみを込めてリリアと呼んでください。」

「分かりました、リリアさん。」

「それと、敬語もですよ。公的の場で無ければ、是非友人として接してください。恋人としてでも良いですけど。」

「それなら私も呼び捨てで良いよね、リ・リ・ア。私も勇者なんだし。」

「え、ええ。もちろんです。」

「えっと、それじゃあ、リリアさんも敬語は無しでね。」

「分かりました。でも、これが自然体なのでこのままで良いですか?」

『勇輝様。時間。』

「あっ! そうだった。えっと、それじゃリリアさん今すぐ視るから案内して。それと時間が足りればで良いから客室とかも。」

「そうね。急ぎましょう。」


それから残り少ない時間を活用する為に勇輝達は人目も憚らず王城内を走り回る。

その光景を見たメイドや大臣なんかは目を丸くしていたが勇輝達は気にする時間もなかった。

そしてリリアの執務室を皮切りにリリアの私室、食堂、勇輝の部屋、雪羅の部屋、アリスの部屋を視て、後は葵の部屋となった所で時間切れになり憑依が解けてしまった。


「あー、解けちゃったか。後ちょっとだったのに。」

「そうね。……それじゃあ、アリスは私の部屋で一緒に寝ればいいわね。子供の頃は良くしていたし。」

「えっ、私はゆー君と一緒でも良いんだけど。」

「駄目です。勇者が召喚初日に異性と同衾なんて以ての外です。」

「あの、勇輝様と同室になるのは私だと思うのですが。式神ですし。」

「「「それは駄目!」」」

「ふふっ。随分と仲良くなりましたね。それに流石は勇輝様です。早くも皆を虜にするなんて。」

「だって婚約者だもん。」

「まだ言ってるの!?」

「わ、私は別にそんなんじゃ…ただ単に国を救ってくれる対価には国しかないけど、それは無理だから王である私を差し出すしかないだけで……」

「えっ、それってユウキさんの事好きじゃないって事?」

「べ、別に嫌いだなんて言ってないでしょ。むしろユウキ様の顔は可愛くて好みだし、でも、王族が恋愛なんて出来るわけないし……」

「……えーと。」

「はっ! な、何言わせるんですか!」


この時、勇輝と葵、そして雪羅は思った。

あ、姫様意外とツンデレだ。…と。


「まあ、その心配は必要ないですよ。三時間後には白音を召喚できますから。」

「「「「あ。」」」」


使い魔騒動でその事をすっかり失念していた四人。

その後は昼食を一緒に摂る事を約束して、リリアは執務室に、アリスと勇輝は自室に、そして葵と雪羅は勇輝の部屋へと向かうのだった。

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