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本契約

魔法世界トライザードのとある草原。

そこには異様な光景が広がっていた。

見上げれば澄み渡った蒼い空に煌く太陽。見渡してみれば生い茂る草木が駆け抜ける風によって揺れる。

そんな長閑な風景の中にポツンと置いてある、パイプベッド。

そしてそのパイプベッドに向かってひたすらに頭を下げる異形の者達。

見方によっては人ならざる者達が独自の神を祀っているように見えなくもないかもしれないが、やはり異様としか言いようがないだろう。

そんな光景の中でパイプベッドの上で寝ていた御神勇輝は目を覚ます。


「んぅ。ふぁぁ〜。もう朝か…って何処ここ!?え!?何!?ドッキリ?」


病院の個室で寝ていた筈がいつの間にか見たことのない草原の中にいるのだからその驚愕の言葉が出るのも仕方がないだろう。

しかし驚きは続く。


「本当に何処だよ、ここ。何か目印とかは…ってうわぁぁぁあ!!!ば、化け物!こんなの現実にあるか、いや、無い。そうだよ。これはきっと夢だ。夢に違いない。ソウトワカレバ、モウイチドネルトシヨウ。(片言&棒読み)」

「お、お待ちください、勇輝様。これは夢では無いですから、現実を見てください。」


現実逃避をしていた勇輝に声を掛けたのは彼が先ほど化け物と呼んだ集団の先頭にいた、青銀の髪を女性だ。


「え?君達は誰?なんで僕の名前を。」

「知っていますとも。我らは勇輝様と共に異世界へと渡ったのですから。」

「は?どういう事?」



それから数十分。

勇輝は彼女等の正体と何故自分が何処ともしれない草原にベッドで寝ていたのかを語られた。


「えっと、要するに僕が今までベッドの上で生活してきたのは君達妖怪が勝手に行った主従の仮契約に蝕まれてその糧として魔力だけでは足りずに体力その他諸々を持ってかれたせいだってこと?そんで今草原に居るのは理由は不明だけど、別次元もしくは異世界に渡ったから、ということか?」

「そ、その通りです。」

「ふ、ふふふ。今まで辛い思いをしてきたのは全部君等のせいか。」

「で、ですが、我らは皆勇輝様に忠誠を誓って…」

「じゃあ、一つ聞くけど。なんで勝手に僕と仮契約(?)をしたの。見えも触れもしなかった僕なんかと。」

「血の匂いに釣られてこう、フラフラ〜っと。」

「吸血鬼かよ。」

「いえ、私は雪女ですよ。ヴァンパイア…吸血鬼ならこちらに。」

「はじめまして〜、勇輝様。こうして挨拶出来る時をずっと待ってました〜。本当にもう、他の人達を殺せば負荷もなくなり私の事を見えるようになるのではと何度思った事やら。」

「怖っ!やっぱり吸血鬼怖いよ!」

「冗談ですよ〜。勇輝様は可愛いですね〜。」

「そ、それで、一体いつ仮契約なんてしたんだ?」

「それについては私が。」

「君は?」

「はっ!私は妖刀の付喪神。名を霞月と申します。それで仮契約についてですが、方法としてはお互いの血を相手に飲ませることで成立します。そして私達の血は幼少の頃の勇輝様の哺乳瓶の中に忍ばせ、勇輝様の血は眠っている隙にこっそりと血を拝借しました。後は勇輝様が自身を主と、我らは従者と宣言し、それに我等が答えることで本契約を行うことが出来ます。」

「よし、分かった。それじゃ…ってなんないからね!なんで病院で生活しなければならなかった原因と一緒にいないといけないわけ!」

「ですが、ここは異世界です。少しでも戦力はあった方がいい筈です。」

「ぐっ!それは…確かにその通りだけど。」

「「「「じっーーー。」」」」

「わ、わかったよ。やるよ。やればいいんでしょ。やれば。」

「ほ、本当ですか!ありがとうございます!」

「「「ありがとうございます!」」」

「じゃあ、いくよ。『我、汝等を従者として、友として共にある事を願う。汝等にその是非を問おう。』」

『『『『我等、勇輝様と共に。』』』』


勇輝と異形の者達がそう宣言すると、辺りを暖かな光が満たす。

そしてそれは数秒程で収まり、そこにいた筈の異形の者達の姿は無かった。

その代わりに勇輝の頭の中に謎の声が響く。


《スキル 式神使いを確認しました。》

《これより式符へと返還します。》

《契約した式神を確認します。》

雪女:雪羅

付喪神:霞月

吸血鬼:レティア

女郎蜘蛛:葛

アラクネ:ジュリア

鬼:豪鬼

餓者髑髏:輪墓

猫又:白音

ぬりかべ:堅俉

河童:裕之

《スキルLVが足りません。使役条件を満たして下さい。》

?????

?????

?????

………etc


「河童の名前、おかしくね?」


咄嗟に出た勇輝の呟きは風と共に自然の中へと溶けていく。

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