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選択

「では、勇輝君。君の選択を聞かせてもらえないだろうか?」

(頼むから断ってくれ〜。)


勇輝は少女達と遊んだ翌日、恒例となりつつある五人での朝食を終えるとドレアスが読んでいるとの言伝を聞いて今、対面している。

そして勇者として戦うかどうかという問いであるために場はかなり緊迫している。

……一人を除いて。

彼はドレアスの幼馴染であり、国内でも珍しい転移魔法の使い手であった。

しかし、転移するには大量の魔力を消費しなければならず、また、魔力を全て消費してしまえば意識を失ってしまう。

そして彼の魔力ではおそらく二人を連れて転移すれば魔力を全て使い気を失ってしまうだろう。

彼はそれを避けたいが為に断ってくれるのを切に願っているのだ。


「王城に僕を連れて行ってください。」

「おお!行ってくれるのか!準備もあるだろうから今から一時間後にアリスとレディックと共に向かってくれ。私も兵達が帰ってきて暫しの休息が済んだら即座に向かうので、それまで頑張ってくれ。」

「分かりました。……でも、ここを空けてしまっていいんですか?」

「問題ない。私の息子のアルベルトがおる。奴ならば私が不在の間、きっちりと治めてくれる筈だ。」

「そうですか。では、準備もあるので僕はこれで。」

「うむ。姫様を頼んだぞ。」

「はい。」


そう言うと勇輝は部屋をあとにする。


「では、お父様。私も出発の準備をしてきます。」

「そうだな。ではアリスも頼むぞ。彼一人なら怪しまれてしまうかもしれんが私の娘であるお前が一緒ならば問題ないだろう。本当ならば私が行くべきなんだろうが、生憎と私は兵を率いなくてはならなくてな。」

「分かっていますよ。私の事は気にしないで下さい。」

「本当にすまない。」


アリスはその独白を後ろに聞きながら自身の準備の為に自室へと向かう。



準備をするといっても基本的なものは既に宝物庫の中に入っている勇輝。

そんな彼がするのは洗われている勇輝の服の回収である。

その為に屋敷の中を彷徨う。

言い間違いでも何でもなく、彷徨っている……というか迷子っている。


「此処どこだろう?」


一旦自分にあてがわれている部屋に戻ればリルカも居ただろうが、大丈夫だろうとたかをくくった結果がこれだ。

そんなわけで屋敷内を彷徨っていると、騒がしい部屋の前を通りかかる。

勇輝はなんだろうと思い、中を覗いてみるとシルフィ達がお喋りをしていた。


「あ、お兄ちゃん。どうしたの?」

「ちょっと道に迷っちゃって…。」


勇輝が覗いているとシルフィが気付き、勇輝のところまでやってくる。

そしてそのまま話していく。


「どこに行こうとしてたの?」

「僕の洗濯物は何処かなって思って探してたんだよ。」

「メイドさんが持ってきてくれるんじゃないの?」

「そうなんだけどね。今日これから暫くの間出かけることになっちゃってね、だから受け取りがてら挨拶とお礼を言おうと思ってね。」

「えっ!? 出かけるって何処に!?」

「王都の方に用事があってね。幸いここの人が転移魔法を使えるとかで送ってもらえるし、どのくらいかかるか分からないけどまた戻ってくるつもりだから。」

「絶対だよ!」

「うん。絶対に。」

「絶対に絶対だよ!」

「分かってる。他の子達にも伝えといてくれるかな?」

「うん…。」

「それじゃ。」


そう言って勇輝は再び屋敷の中を彷徨う。

結局勇輝は彷徨った挙句自分の部屋に戻ることになる。

ちなみに服なんかは全部リルカさんが用意していた。


〜side シルフィ〜

「シルフィちゃん、どうしたの?」


勇輝が行ってからも一向に戻ってこないシルフィを心配したリリが呼びにきた。

しかし、その声にも反応せずリリをさらに心配させるが突然シルフィは声を出す。


「お兄さんに恩返しがしたい!」

「うわっ!びっくりした。本当にどうしたの?」

「あ、リリちゃん。さっきお兄ちゃんが来てね、暫く出かけるって。だからお兄ちゃんが戻ってきたときに助けてくれたお礼がしたいなって思って。」

「えっ!?出掛けちゃうの!?」

「うん……でも、絶対戻ってくるって言ってくれたから。」

「いつ出かけるか聞いた?」

「忘れてた。でもどうして?」

「だって出かけるんでしょ? だったら見送りしたいじゃない。」

「そう…だね。……よし。みんなを呼んで来て。絶対お兄ちゃんを見送りしなきゃ。」

「でも、時間が分からないよ。」

「メイドさんに聞けばいいんじゃないかな? それよりも何時なのかは分からないんだから急がないと。ひょっとしたらもう行っちゃうかもしれないんだし。」

「そうだね。うん。分かった。」


そう言ってリリは部屋の中でお喋りをしていた他の子達を呼びに行く。


シルフィは盗賊に捕まってどうなるか不安になっている所を助けてくれた勇輝に対して自分が何が出来るかと一生懸命考えていた。


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