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冒険者ギルドにて

街へとくり出した勇輝と、引っ張られてきた雪羅とリルカは先ずは冒険者ギルドへと向かう。

冒険者ギルドは石造りで立派な景観をした建物であり、またギルド専用の修練場がある程の広大な土地を持っておりカトレイア邸程ではないが街の中でもトップクラスの敷地面積を誇る。

そしてそれだけの規模という事は必然的に冒険者の数も多く、様々な者がいる。


「どこの坊ちゃんか知らねえが、そんなヒョロイなりじゃこの世界やってけねぇぞ。痛い目見る前にお家に帰ってママに甘えてた方が良いんじゃねぇか?」


様々な者がいるのだ。

勇輝は病院暮らしであった為にその身体はお世辞にも引き締まっているとは言えないものである。

それでも魔法があるこの世界で見た目のみで判断するのは愚かであるとしか言えない。

だが、この手の輩は捨てきれないほどいる為に最初に言った者に同調する者が複数現れた。


「ちげぇねぇ。ガハハハハ。」

「お、よく見てみれば結構いい女を連れてんじゃねぇか。どうだ、そんなのより俺と一緒に遊ばねぇか。」

「いやいや、こんな脳筋よか俺の方がいいだろ。」

「そういうお前はヒゲだるまじゃねぇか。こんな馬鹿どもよりも俺の方がいいよな。」


「勇輝様を侮辱するなど……身の程を知りなさい。」

「「「「「は?」」」」」


雪羅は勇輝を侮辱された事に怒り、冷ややかな言葉を投げかける。

それを聞いた冒険者(Eランク)は鳩が豆鉄砲(実弾銃)を食らったような顔をしている。

その一方でテンプレイベントに感動している勇輝がいた。


「まあまあ。それよりもテンプレを堪能したし、早く登録しに行こう。」

「それもそうですね。では行きましょうか。」


絡まれた事自体喜んでいた様子の勇輝を見た雪羅は呆然としている冒険者の事を一瞥するとそのまま勇輝の後をリルカと共に追い受付カウンターと思われるところへと向かう。


「すみません。冒険者に登録したいんですけど。あ、これ紹介状です。」

「冒険者ギルドカトレイア支部へようこそ。冒険者登録ですね。それでは紹介状を確認させていただきます。」


そう言って受付嬢は紹介状を受け取り中を確認した。

そして一通り確認を終えるとカウンターの引き出しから二枚のカードを取り出した。


「話はわかりました。それでは説明させていただきますね。先ず冒険者というのは各地のダンジョンに潜ったり、様々な人や国から斡旋された仕事をこなす職業です。仕事も討伐、収集、護衛、雑用と様々な物があります。」

「仕事と冒険者にランクがあるんだよね。」

「その通りです。どちらもGからA、そしてその上がS、SS、SSSとなっております。受けれる仕事も上は一つ、下は二つのランク差までとなっております。昇格するには同ランクの依頼を連続して十回、もしくは一つ上の依頼を五回連続で達成する事で昇格審査を受ける事ができるので上を目指して頑張ってください。それでは登録をさせていただきますので、こちらのカードに血を三滴垂らしてください。」

「三滴ですか? 一滴じゃなくて。」

「はい。三滴です。あ、針はこちらをお使いください。」


針とカードを受け取った勇輝は躊躇いながら指に針を刺し、カードに血を垂らす。

丁度三滴垂れたところでカードが光り、その光が収まるとそのカードには勇輝の名前が書き込まれていた。


「問題ないようですね。それではそちらの方もお願いします。」


受付嬢は雪羅を促し、雪羅も勇輝と同じようにして、カードが光り光が収まるとそこには同じように雪羅の文字が。


「そちらも問題ないようですね。では次にカードの説明させていただきます。先ずカードですが、このカードはこれまでに受けた依頼、現在受けている依頼、精算されていないモンスター、そして持ち主のステータスを任意で表示する事ができます。」

「ハイテク過ぎ!」

「はい…てく?」

「高性能って事です。」

「確かにそうですね。ですがそれは置いといて。というか製法や仕組みを知らないので説明できませんし……。それであちらのクエストボードから依頼プレートとギルドカードをお持ち頂いて依頼を受理させていただきます。それから…」


その後もギルドの説明を続ける受付嬢。

次に罰則についてを説明する。

要約すると犯罪を犯せば最悪除籍処分、依頼失敗すれば罰金、三回失敗すれば降格との事だ。

最後に説明したのはギルドの設備についてで、自由に使える修練場をはじめに、解体場、買取カウンター、売店、食堂、メンバー募集用のパーティボードなどを説明していった。

一通り説明を聴き終えた勇輝は説明ありがとう…と笑顔を浮かべながら感謝を述べて受付から離れる。


次は服を買いに行こうとする勇輝達に先程絡んできた冒険者が立ちはだかる。


「さっきは舐めた真似してくれるじゃねぇか。お前、俺と決闘しろ。」

「やだ。」


たった一言で拒否するとその冒険者を無視して通り過ぎる勇輝とその後をついていく雪羅とリルカ。

しかし、拒絶される事を想定していたのか即座に仲間と共に勇輝達に飛び掛る。

彼らはランクこそEだが、十年を超える経験と培ってきたコンビネーション。

その二つを武器に戦った際の戦闘力はCランクに匹敵する程の実力者だ。

普段の素行が悪いために昇格できていないが業界内ではそれなりに知られたベテラン冒険者である。



雪羅によって凍らされ床に張り付いている冒険者を無視して勇輝達はそのまま古着屋を訪ねて商品の中から上質な物を選び購入していく。

その代金は盗賊のアジトから持ってきたものである。

そして上下十セット購入した服の内の一セットに着替え残りを宝物庫へと仕舞うと防具屋に赴きレザーアーマーと防塵用の外套を購入する。


一通り購入した勇輝はアリスの父親と対面する事に緊張しながらカトレイア邸へと帰るのだった。

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