リストカットやめられないんです。
リストカットやめられないんです。
生徒の悩み相談を請け負うボランティア活動で、
私はある中学校を訪れた。
そこで、一人の女子生徒が呟いた。
リストカットやめられないんです。
剃刀で自らの手首を傷つける。
ブアアッッッーーーー、血が噴き出す。
おびただしい鮮血を見て、自らの命を確認するのだという。
リストカットやめられないんです。
学校でいじめられ、家では叱られる。
信頼できる大人、相談できる友達、そんな人はいない。
成績もふるわない。評価されない。
生きている価値、あるのかな、、、、
学校もだめ、家にも居場所がない。
切るしかない。切るしかない。切るしかない、、、
リストカットやめられないんです。
これは、鶏のつつきあいと同じ。
強いオスが、鬱憤をはらすため、弱いオスやメスをいじめる。
弱いオスやメスは、いじめる相手がいないから、自らの羽を抜いたり、
自傷行為にはしる。
リストカットやめられないんです。
人間社会だってそうかもしれない。
会社で上司に怒られた父親が帰宅する。
怒られた父親は、仕方がないから奥さんにやつあたりする。
奥さんは仕方がないから娘にあたる。
他の人をいじめることなんてできない。
心優しい娘さんは、自らを傷つける。
リストカットやめられないんです。
周囲は口をそろえる。
どうしてリストカットなんかするの?
そんなバカなことはやめなさい。
何だよその傷?気持ち悪いな、あっちにいけ。
誰が望んでリストカットなんてするだろう?
リストカットでしか不満やストレスをはらすことができない。
追い詰められているから、、、、
リストカットやめられないんです。
あなたは優しい。
優しいから、自分を傷つけちゃうんだ。
あなたは痛みを知っているから。
他人を傷つけることをしない。
リストカットやめられないんです。
リストカットやめられないんです。
リストカットやめられないんです。
現在の教育現場。
※この作品は、あくまでフィクションです。