プロローグ
はじめに…………。
この物語は、世に存在する数々のメカもの宇宙SF作品の中でも、『ヤマト』や『スタートレック』や『SW』や『ギャラクティカ』や『ギャラクシー・クエスト』や『スターシップ・オペレーターズ』等々、諸々の宇宙戦艦が主役メカな作品へのリスペクトを込めて書き上げた作品です。
近年のラノベ作品ではあまり見かけないジャンルではありますが、今でもこれらの宇宙戦艦SF作品は、映画やアニメ等で続々と作り続けられており、ラノベ界隈でも書き上げて世に出してみてみれば、結構需要があるのではないかと思い書き始めてみたのです……。
『なろう』内では異端な作品ですが、このようなジャンルに興味がある方もない方も、是非最後まで読んでいただけると幸いです。
――そこは静寂に満ちた世界――
目を閉じ耳をすませば、聞こえてくるのは規則的に繰り返される己が鼓動と、吸っては吐き出される微かな吐息の音だけのはずであった。
だが今は、さらに不規則な笛の音のような風鳴りと、はるか前方の彼方から響く低く重い爆発音、そしてエンジンのもたらす振動音が、彼女の鼓膜を振るわせていた。
風鳴りと爆発音は、艦の速度と戦況を、クルーに迅速かつ感覚的に伝える為に、艦のコンピュータが生み出した合成効果音だ。
低い、だが腹の底に響くような重い爆発音は、刻々とその音量と数を増していた。
瞼を上げると、目の前には様々な計器類がもたらす明りと、それに照らされたクルー達の姿があった。
その向こう、ブリッジ正面の進行方向を映すビュワーには、無数の星々の中に紛れ、明滅する光の粒が映しだされていた。それこそが彼女達が向かう戦場、宇宙の戦場だ。
「減速態勢から戦闘態勢への艦首回頭完了。現在本艦は慣性航行中。戦闘宙域到達予定時刻まで後二分四五秒」
『全無人艦異常無し、指定間隔で先行中、一番艦、間も無く戦闘宙域に到達なのです』
「全武装、安全装置解除、UVエネルギー充填開始。全発射管に対艦ミサイル装填完了」
「全ヒューボット、ダメコン態勢で配置完了」
「第一迎撃分艦隊は敵艦隊の減速に成功していますが、攻撃はシードピラーには届いていない模様。シードピラーの位置及び敵艦隊の配置データを送りますデス」
『こちら艦尾有人艦載機カタパルト、クィンティルラ、昇電TMC、発艦準備よろし』
『同じくフォムフォム、無人艦載機セーピアー全十二機、全て発艦準備良し』
「第一迎撃分艦隊への警告通信開始します」
クルー達の報告の数々、彼女は座席の肱掛けを握りしめながらそれらに耳を澄ました。
彼女は経験と努力、そしてそれらが生み出した勘に従い、その瞬間を感じ取ると叫んだ。
「【ANESYS】機動準備! スラストリバーサー展開、全力噴射開始、減速一杯! アネシス・エンゲージ!!」