【あとがき】
どうも、作者の凛です。
というわけで、『若葉かげ』これにて完結です。
連載スパンが短いのは何故かと申しますと……実はこのお話、前に投稿していたものを改稿して、すべて投稿し直したからです。改稿前のものを読んでくださった方はお気づきの通り、二話ほど増えています。
事の発端は、たまたま某所で知った『樋口一葉の秘めたる恋』。
時代は明治、しかもそのお相手は小説書きの師匠ときた。……なんと、私の好きな要素てんこ盛りじゃないですか!(←近代辺りの時代と師弟関係が好物な人)
それまで樋口一葉というと『五千円札の人』くらいしか印象がなかったのですが、そこで興味を持った私は、本腰入れて彼女を調べてみることにしました。ネットで引っ掛けてみたり、図書館へ行ってみたり、某密林サイトで日記を取り寄せたり……。
ある程度情報を集めて、じゃあちょっと書いてみようってなって。
……という感じでこの連載が、ほぼ突発的に始まりました。
時代の流れがほぼ史実通りだったり、ちょくちょく史実の出来事が挟んであったりしますが、基本的には私が勝手に作ったところが多いです。話の展開上、実際の時代と出来事が錯誤しているところもあります。
ちなみに一番書きたかったのは『雪の日・其の壱』の『嗚呼、此れ程迄に心が通じ合うことの奇妙さと云ったら!』という地の文です。樋口一葉日記の一文を現代語訳したものなのですが、何となく好きなんですよね。この言い回しが。
あと、奈津が最後に桃水の本名を呼ぶっていうシチュエーションも、書きたかったところの一つですね(いや、ホントはそんなこと言ってないんでしょうが。私の創作です)。
ちなみに史実を御存じの方にはもはや説明も不要かもしれませんが、奈津を襲った病こと『労咳』というのは、今でいう結核のことです。
結核といえば当時は不治の病だったそうですが、医学の発達した現在は別に大したことないんでしょ? と思われるかもしれません。でも、油断は禁物。ほとんど聞かなくなった病名とはいえ、今でも結構流行ってるみたいなので、注意が必要ですよ。
なお、漢字変換が多いのは、明治時代の雰囲気を少しでも再現できればと思った結果の産物です。
多少読みにくかったと思いますが……改稿前を御存じの方も、今回初めてお読みくださった方も、最後までこのエセ近代ロマン的物語にお付き合いいただきまして、心より感謝申し上げます。
今度は別の連載、または短篇小説にてお会いできれば幸いでございます。
<参考文献>
樋口一葉 日記・書簡集/ちくま文庫
恋する女~一葉・晶子・らいてうの時代と文学/高良留美子
樋口一葉日記の世界/白崎昭一郎
樋口一葉 人と文学/戸松泉