4章-4 逢魔時音の告白
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「…………なぁるほどねぇ。事情はぁ、大体呑み込めたかなぁ」
灰と黒に埋め尽くされた、殺風景なリビング。
鉄やらなんやらの金属は声をよく跳ね返すのか、美々夜の間延びした声は、矢鱈のんびりと部屋全体に響き渡った。
――遡ること、およそ15分前。
目を真っ赤に泣き腫らしながらも、食欲という生存本能に屈した時音は、口の周りを米粒だらけにしながら、他の3人を呼ぶよう俺に指示してきた。
当然の措置だろう。生活費の一切がなくなったとなれば、事は時音と俺だけの問題に留まってはくれない。逢魔ヶ城に住まう、全ての少女たちにとって切実な問題なのだ。それをたった1人で抱え込もうなんて、本当、無茶もいいところだったんだ。
まぁ、『誰にも頼らず、自分だけで解決する』というこいつの頑なさを解せただけでも、大成功なのかね。
「要ぉするに、お前の父ちゃんがいよいよもってキレちまったってことだろぉ? 時音ちゃん」
「…………うん」
時音にしては珍しく、心底申し訳なさそうな表情をして、神妙に頷いてみせる。
――そもそも時音たちの生活費及び研究費は、時音の実家である逢魔家から出ていたらしい。
俺は露ほども知らなかったのだが、逢魔家といえばそれなりに名の知れた資産家・事業家であり、いくつかの事業ではパイオニア的な立ち位置を確立しているらしい。その総資産から鑑みれば、こんな巫山戯た城の設置やら娘の研究やらの費用など、雀の涙にも劣る端金だそうだ。
だが、雀とて涙を流せば水分を失う――――僅かばかりと雖も、まるで湯水のように金を使う娘に対し、とうとう我慢の限界が来てしまったのだという。
5000万もの金額を出しておいて、訪れたのが財布の限界ではなかったのが、まず驚きなのだが。
「…………まぁ、仕方のないことではあるんじゃねーのぉ?」幾許かの諦めを含んだ声で、美々夜はゆっくりと言った。「元はと言えば、これは時音ちゃんが勝手に始めたことだしなぁ。親御さんの立場に立って見ちゃあ、やぁっぱあたしらみたいな得体の知れない奴らと連んで、バカみたいに金ぇ使われんのは、気分のいい筈がねーよなぁ」
「むー…………時音、悪いことしてないのにー」
「得てしてそんなものだよぉ、人間っつーのはなぁ。善い悪いじゃないのさ、心持ちの問題っていうのも、多分に影響してきやがるもんでさぁ」
「そっそそそそそれで時音さん。その、あのえっと……時刻様は……」
「あんなゴミ親父に様付けなんかしなくていいよっ! 寧ろ真城に様つけなさいよねあのバカはっ!」
事情を余さず把握しているらしい4人は、各々の意見を挙げ合っている。
だが、俺の関心は別のところにある。時音の父親が、時音からあらゆる金銭的財産を奪った理由については納得できたし、反論の余地もない。もしも俺が時音の父親だったとしても、きっと同じことをしただろう。逆に、今までよく我慢していたと、顔も知らない父親相手に感心してしまったくらいだ。
逢魔時音の父親――――逢魔時刻。
やり方はスマートとは言えないが、彼は彼なりに、きっと間違ってないことをしたのだろう。
ならば、時音はどうなんだ?
家族だと思っている。仲間だと思っている。助けたいと、力になりたいと心から思っている。
しかし、そんな時音の思いを、俺はまだ知らないのだ。
親の金を使って、意味不明な家をおっ建て、奇妙な能力を持つ奴らと共同生活――――傍から見たら、決して褒められるようなことじゃない。世間体を考えれば、寧ろみっともないことと捉えられても仕方ないくらいだ。
それなのに、どうして時音は、懲りも折れも挫けもしないで、俺らと一緒にいるんだろう。
俺らのことを、助けようとしてくれるんだろう。
「…………ぎ、礼儀。おーい、生きてっかぁ? 礼儀少年」
「へ? あ、お、え?」
美々夜に呼びかけられて、俺はようやく我に返った。
慌てて周囲を見渡すと、正面に座る4人の目線が、突き刺すように俺のことを見ている。ぽんやりとした氷芽香でさえ、眠そうな調子などまるで悟らせず、俺の目を覗き込んでいた。
「あ、あぁ、悪い…………ちょっと、考え事をしてて……」
「考え事ねぇ……。ふぅ~ん、あたしにゃ時音ちゃんを、穴ぁ開くくらいに見つめているようにしか見えなかったけどねぇ」
「な!? あ、アホ言え美々夜! 別にそんな、み、見つめてなんかいねーから!」
「ふぁー。けーっきょく礼儀は、1番メインっぽい時音に靡くんだよなー。私らさぶひろいんはつらいやねー。ねー、美々夜」
「…………それにはちょぉいと、答えかねるかもねぇ」
「だぁーっ! 美々夜も氷芽香も、話を脱線させんのも大概にしやがれよこらぁっ!」
事をちゃんと深刻に捉えてんのかこいつらっ!?
っていうか、ちょっと前まで部外者だった俺が、なんで1番真面目に心配してんだよっ! なんかバカみたいじゃんっ!
「……まぁまぁ確かに、礼儀さんの言も尤もだと思うのですが」
見るに見かねたのか、それとも見るに耐えなくなったのか、真城が助け舟を出してくれた。
俺を目視すると、取り敢えず挨拶代わりに猥談を繰り広げてくる、あの昏睡ヶ原真城がである。助け舟なんて、そんな良心的なものを。まともな道徳心など欠片もないのではと疑いたくなる、歩く発禁指定図書擬人化バージョンのこいつがだ。
どんな異常事態だよ。これから地球が割れるのか?
「あの、礼儀さん、目を見ればなんとなく分かるんですけど…………えー、礼儀さんがわたしについて、どのような感想を抱いているかは置いときまして――――礼儀さん、時音さんの方をじぃっと、バカみたいに見ていたのは事実ですよね?」
「え? ……俺、そんなことしてた?」
いつもだったら無視を決め込むであろう真城の台詞だったが(下手にツッコミを入れると、気持ちよくさせてしまうからな)、天然記念物級の動物が渋谷辺りを闊歩している光景くらい珍しい真面目モードの真城が言うのだから…………多分、本当なんだろうなぁ。
ヤベぇ、全然意識してなかった。
我ながら超恥ずかしい。
「……完全に無自覚かつ無意識ですか…………。もう。時音さんなんてさっきから、顔が茹だっちゃってしょうがないっていうのに……」
「んなっ!? ちょ、な、なにを抜かしてんのよ真城このバカっ! だだだだ誰が顔真っ赤にしてるっていうのよっ! 細胞に葉緑素仕込んで全身緑色にしてやろうかっ!?」
慌てて反論する時音の顔を見てみると、成程、確かに茹で蛸みたいに真っ赤な顔をしてやがる。
…………うん、なんか、ごめんな。
「かっかっかっ、いやぁ礼儀少年も罪作りな男の子だねぇ。……時と場合を選べ、とも言いたい」
「訳の分からないことをいきなりぶっ込むな。…………あー、その、すまん。ちょっと、気になることがあってさ、つい……」
「成程。礼儀さんは時音さんのつるぺたボディが気になって、つい視姦してしまったと」
「お前は俺をなんだと思ってんのかなぁ真城さぁん!?」
「んー、まー、じょーだんはともかくー」
いい加減やり取りが冗長だと、釘でも刺すような口調で氷芽香が言ってくる。
基本、逢魔ヶ城の奴らは空気ブレイカーのスキルの1級保持者だからな。油断するまでもなく、話がどっか行くのはいつものことだ。今回の氷芽香は、いい意味で空気を壊してくれたから、まだいいのだけれども。
「私が触っても気づかないくらい、礼儀ってば熱視線の照射に没頭してたんだよー? まーさーかー、本当にフラグおっ立てようなんて思ってないよねー? 場合くらいはさー、ちゃーんと選べるよねー?」
「……お前らの中で、俺ってどういう認識なんだよ……」
まぁ、客観的に見れば俺って、女の子だらけの花園に入り込んだ、ただ1人の男だもんな。
家政夫みたいな実態に目を瞑れば、ハーレムと言って言えないことはない。
…………まぁ、それはともかく。
「いや…………ほら、俺はつい最近まで部外者だったし、どっちかっていうと、時音の親父さんに感情移入しちまってさ」
「……………………」
時音の表情が見る見る内に曇っていく。
あまり気持ちのいい話ではあるまい。謂わば自分の敵である人間の肩を、味方である筈の俺が持とうというのだ。今は不機嫌な顔程度しか表出しちゃいないが、内心は穏やかどころか大時化だろう。
だが、訊かなくちゃいけないことっていうのが、俺にはある。
「言い方は悪いけどさ、ここでの共同生活っつーのは、面子も内情もかなり胡散臭い。妙な能力を、魔法を使える俺らっつーのはさ、時音の親父さんみたいな普通の人から見たら、ただ不気味なだけなんだよ。少なくとも、好意的な見方はできない」
「………………けど」
「そんな奴らと、娘が一緒に暮らしているっていうのは、父親からすれば許し難いことだと思うぜ? 時音、お前の主義主張を横に置いて言えば、お前の行動っていうのは、正直褒められたものじゃないんだ。俺だったら、首輪つけてでも連れ帰る」
「……………………」
「……ま、そこで考えるべきなのが、横に置いちまってた、お前の主義主張な訳だがな」
ようやく、話をここまで持ってこれた。
俺って奴は、どうしてこうも口下手なのかね。だらだらと長たらしい口上を吐かないと、質問の一つもできやしない。
『鬱陶しいくらいに思慮深い』というのは、そういえば、姉さんから俺への評価だったっけか。
「時音、お前はどうして、俺らみたいな異形を助けようとしてるんだ? 俺らみたいな異常を研究して、それで、お前は――」
「っ、うるさいうるさいうるさいっ! へ、変な勘違いしないでよっ! バカ礼儀っ!」
質問を発した瞬間、時音は突然、烈火の如く怒鳴り声を上げた。
いきなりヒステリックにキレるのは、この娘には珍しいことじゃない。だが、俺だって心臓がバクバク言うくらいに緊張しながらの問いだったものだから、咄嗟の対応なんかできやしない。言葉を紡ごうとした口はぱくぱくと空を噛み、時音の激昂は行き場をなくして、荒い吐息となって現れていた。
「……あー、なーるほど。そーゆー訳かー」
呆れたような声を出したのは、なにやら訳知り顔をしている氷芽香だった。
見ると、真城も美々夜も、皆一様に同じような表情をしている。まるで世話の焼ける弟妹でも見るような目を、3人は一斉に、ある方向めがけて向けていたのだ。
この面子の中で1番小さく、今1番追い詰められた状態になってしまっている、逢魔時音へ。
「時音さん、まだ話してなかったんですか? 本当のこと。ある意味、今日1番のびっくりですよ」
「まぁったく、時音ちゃんは照れ屋さんでいけないねぇ。あたしなんか、あれを聴いたら3日は涙が止まんなかったっていうのに」
「本当にねー。私なんかさー、今でも夢に出てくるよー。しかも結構な頻度でさー」
「ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ――――あぁもう3人ともっ! わたしで遊ばないでよっ!」
「大丈夫です時音さん! 肉体はまだ弄びません!」
「肉体!? まだっ!?」
あぁ、はいはい。そういう方面のやり取りはカットでいこうな。
真面目な話なんだし。
「まぁ、冗談はこれくらいにしまして――」
よいしょっ。
椅子から立ち上がると、真城はすぐ近くの壁へと凭れかかった。
ありとあらゆる回路が内蔵された、機械製の壁にである。
身体に大量の電力を有し、家1軒分くらいならば賄えてしまう能力を持つ真城には、たったそれだけで、あまりにも充分だった。
「ちょ、真城っ! なにをす――」
「時音さんが、わたしたちを助けようとしてくれるのは――――この為なんですよ。礼儀さん」
ガコンッ!
重々しい音がしたかと思うと、コン、と頭になにかがぶつかってきた。
反射的に上を向いて見ると――――俺は、この機械造りの城の意味を、ようやくもって理解した。
「こ……こんなの、あり、か……?」
動いていた。
移動していた。
城の天井がゴゴゴと動いて、外の景色を視界の中に押し込んできたのだ。
「元々、この城はわたし専用に造られましたからね」大して苦もなさそうに、壁から電力を送り続ける真城。「電気機器を動かすのと同じ感覚で、城本体だって動かせます。わたしの名前は、こんな城だって動かせるようにと、時音さんに付けてもらったものですしね」
なにか、なにか重要なことを言っていた気がする。
だが、その声は残らず俺の耳を素通りしていった。残滓も名残も残さない、流浪人のようでさえあったかも知れない。
なにせ、天井が動いているのだ。割れていくのだ。開いていくのだ。
豪勢なライブかなんかじゃない限り、こんな光景はお目にかかれまい。それに目を奪われて、他の一切が情報として扱われていなかった。
「ぐ…………ぎ……!」
ただ1つ。
その呻き声を除いて。
「っ、時音っ!?」
突然テーブルに突っ伏し、苦しみ始めた時音。
俺は慌てて立ち上がり、すぐ傍まで駆け寄っていく。顔を伏せて俯いて、時音は、獣のように歯を食い縛っていた。身体は極度の寒さに晒されたように震え、その癖全身が焼けるように熱い。
なんなんだ? この症状は。
一体なにが起きている?
一緒に外にいた時は、なんともなかったじゃないか――
「ほれ、見てみなよ礼儀少年。夕陽が綺麗だぜ」
「…………てめぇっ!」
この期に及んで、未だに脳天気な物言いを崩さない美々夜に、俺は反射的に怒鳴っていた。
目の前で、文字通りに目の前で苦しんでいる奴がいるのに。
夕陽が綺麗?
巫山戯るなよ殴り倒されたいのか!?
「落ち着くよろしよー。礼儀も、それに時音も」
冷えた言葉。
冷めた声。
平静を極めたかのような氷芽香のそれは、場を一瞬固まらせるには充分だった。
そこまで全て計算尽くだったのか、沈黙の間隙を縫うようにして、氷芽香は声で追撃してくる。
「時音。礼儀も私も美々夜も真城も、あんたには能力を見せたんだよ? なのに、あんただけが秘密だなんて、なんかズルくないかな?」
「……………………?」
氷芽香の言葉が、すぐには理解できなかった。
能力って…………魔法、のことか?
『あんただけが見せない』と言っているけど、見せないもなにも、時音自身は魔法を……いや。
まさか、使えるのか?
時音も、自分が研究している魔法を、その身に宿しているのか?
「…………こんなの、別に知る必要、ない…………!」
「必要不必要でいったら、私らみたいなニート共には、食事と呼吸と排泄と睡眠以外は全部不必要でしょ。要る要らないの問題じゃないことくらい、頭のいいあんたなら分かるでしょ」
「……………………」
すらすらと流暢に話す氷芽香に圧されたのだろうか、時音はゆっくりと、伏せていた顔を上げた。
怖がるように、怯えたように、固く目を瞑っている。だが、気配で俺の居場所は分かるらしく、深く荒い息を吐きながら、時音はこちらへ向き直った。
「……時音」
「喋んないで。…………わたし、自分のこと話すの、大嫌いなんだから」
そう言って、時音は瞼を持ち上げた。
まるで縫い閉じられているかのように、その動きはやけに重々しい。なおもなにかに怯えている様子の時音は、開きかけた視界に俺を捉えた途端、またその瞼を閉じてしまう。長い長い、永遠かと思えたであろう葛藤の後、ようやく、時音の瞳は俺の視界の中心に現れた。
「礼儀たちの魔法には、わたしが付けた名前があるわ。形式的なものだけどね――――真城は《生体電池》、美々夜は《闇黒》、氷芽香は《眠れる氷の美女》、礼儀は《境界線》――」
あたかも、その艶を、形を、輝きを、俺にまざまざと見せつけるように開かれた双眸は。
瞬き1つすることなく、俺を見据えていた。
左目が赤で、右目が金色。
初めて遭った時と同じ、黒々とした瞳の様相を失った、宝石のようなオッドアイが。
「――それに倣って言うなら、わたしの魔法は《夕焼け小焼け》。夕陽を浴びている間だけ、魔法を有する人間を識別できる魔法よ」
「………………!」
この上なく分かりやすい、絶句だった。
時音の異能、異形、魔法。
魔法を識別できる魔法。
容易に信じられることではなかった。なにしろ俺は今の今まで、時音が魔法なんてファンタジー要素自体とは、まるで縁のない人間だと思っていたのだ。だからこそ、時音の研究を、純粋な興味と、真っ直ぐな優しさからくる行動なんだと、そう納得できていた。
けれど、時音自身にも魔法が備わっているならば、話はまったく違ってくるんじゃないか?
ただ研究したいなら、自分のそれを調べればいい。
加えて、さっきまでの尋常ならざる苦しみよう。とても演技には思えないし、そもそんなことをする理由もない。あれが魔法の発現が齎したものならば――――
「……時音、お前」
「あ~、もぅっ! 頭がキレる奴っていうのは、たったか思考進めるからなぁ。…………どうせ、もう察しはついてるんでしょ?」
拗ねたように言うと、時音は勢いのままに台詞を続けた。
俺の思考を、過程を、結論を、そっくりそのままなぞるかのように。
「わたしの魔法は、魔法を使える人間を見つけると、瞳の変色と、それと強烈な頭痛で知らせてくるの。…………正直、夕暮れ時になると毎日こうっていうのは、とてもじゃないけど我慢できないの」
「……………………」
「だから、思ったのよ。わたしの頭を痛めつける元凶を研究して――――わたし自身の魔法のメカニズムも解明しちゃえってね。原因と対処法が分かれば、2度とこんな思いはしなくて済むからね。…………はい、解説終了。理解した?」
こんな研究、ただのわたしの私利私欲だよ。
吐き捨てるようにそう言って、時音は再び目を閉じた。
眉間に皺を寄せ、耐え忍ぶようにしている顔を見る限り、今も時音の頭は、猛烈に痛み続けているのだろう。俺たちが傍にいる所為で、ずっと痛みに苛まれてきたのだろう。
その克服の為に、時音は、俺たちを利用してきたってことか。
成程、確かに私利私欲だな。
「…………ざっけんなよ」
「……本当、まったくもってその通りよ」自虐気味に薄く笑い、時音が言葉を紡ぐ。「礼儀が家族みたいに思ってくれていたここは、要は結局、わたし1人の為の場所だったんだもんね。は、ははは……幻滅、したよね? した、でしょ?」
「……あぁ、まるっきり幻滅したよ。まったく、バカバカしいにもほどがある――」
「――お前の、その下らねぇ嘘っぱちには、ほとほと幻滅だよ。バーカ」