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遅れて申し訳ございません。

では、再開です。


「洗濯、終わったよ」


 そう声を掛けられ、後ろの空間を闇魔法で埋め、後ろ手に服を受け取る。じっとりと濡れたそれは、まるで俺の心情を表すかの様に重かった。


「……」


 受け取った服を眼前に回し見ると、成る程確かに汚れも落ちて臭いも無くなっている。


「服、どうやって乾かすの?」


「闇魔法を上手く使えば……」


 服をギュッと絞り、水をぼたぼたと地面に落とす。暫く強く絞り続け粗方水分が落ちたら、闇魔法を固形化させて物干し竿を作って、服を干した。夜なので魔力は全く減らない。むしろ回復していく。


「それで、着替えはどうするんだい?」


「お前が持ってんじゃねーのかよ!」


 言うと魔王は、はははと笑い、


「何を言っているんだい。何でボクが男物の衣服を持っているのさ。大丈夫。君の息子くらい、見たってどうって事な…………!!」



「やめろ見るんじゃねぇぇぇええッ!!」


 見たよコイツ。


 信じられねぇ。

 痴女だわ。魔王じゃなくて痴女だわ。


「……そんな生娘の様な反応をするとはね……すまなかったよ」


 心が籠もって無いな。


「ハァ……。もういいや。わざわざ服を洗濯させたんだから、寝袋くらいはあるんだろ?」


 目に付く限りは見当たらないが、シスと同じような魔法が使えて、その中に寝袋やら何やらがあるのだと当たりを付ける。


「ああ、あるよ。───1つだけね」


「は……?」


 ごめん聞こえなかった。


「いやだから、寝袋は1つだけ……」


「もういい。寝る」


 闇魔法で地面に擬似的なマットを敷けばいいんじゃないか。俺頭いい。


「そ、それでいいのかい? 何だか済まない気がするけど」


「いいよもう」


 濃いめの闇魔法を地面に這わせ、その上に寝転ぶ。案外フカフカである。だが、


「───寒い」


 裸一貫。

 寒いのは当たり前だ。さっさと寝てしまおう。

 お休み、という魔王の声を無視し、瞼を閉じてゆっくりと浅い眠りに堕ちていった。



────────────


「よぅ」


「!?」


 突然掛けられた声に反応し、身構える。闇魔法の索敵は……!?


「そう気を張るなって。安心しろ、ここはお前の思考空間で俺はお前の敵じゃない」


 一瞬魔王かと思ったが、どうやら違う。

 周りを見回すと、成る程。本当に現実ではないらしい。

 見ている、という訳ではなく、俺はただ周りを認識しているだけだ。周囲の光景は恐らく胎内。その映像を俺は視界を介さず認識している。丁度、夢をみているような……


「気付いた様だな。そう、ここはお前の夢の中だ」


 映像が切り替わる。どうやら過去の記憶を夢として見ているらしい。夢の中の俺は積み木に噛み付いていた。とんだやんちゃ坊主だ。


「ふぅん。で、お前は? 敵じゃないなら、誰? 俺自身とか止めてくれよ。随分と俺に声が似ているが」


 映像が変わる。

 次は保育園の入園式だった。ずっと母親に縋り付き、周りの子に馴染めていない。


「端的に言えば、俺は『闇』だ。そう、お前が持っている闇魔法そのもの。声はまあ、我慢してくれ」


 また映像が変わる。今度は、保育園で他の園児と喧嘩をしている。ブランコの取り合いをしている様だ。他の園児が順番待ちしてやっと乗れたブランコを横から奪い取ろうとする若かりし頃の俺。中々ブランコを渡さない園児に痺れを切らし、傍にいた園児が一生懸命作っていた泥団子をひったくってブランコに乗る園児に投げつけた。哀れ、ブランコに乗っていた園児は落下し、その場で泣きはじめる。幼い俺はそれを足蹴にし、悠々とブランコに乗り始めた。おい、お前の血は何色だ。


「闇魔法そのものか。それで、何の用だ」


 正直、こっちの鬼畜ロードショーの方が面白そうなんだが。


「真面目に聴け。そんなモンよりこっちの話の方がよっぽど有益だぞ」


 小学校のガキ大将を、幼い俺が無人の教室にてぼこぼこにしているのを見ながら、聞き返す。


「有益?」


「ああ、そうだ」


 ガキ大将をぼこぼこにし終えた幼い俺はガキ大将の机から自由帳やらノートやらを取り出し、その場でビリビリに破り捨てる。

 そして、おもむろに自分の机に向かい、同じ様に一冊のノートを取り出してビリビリに破り捨てた。

 顔を真っ赤にして泣き喚くガキ大将の隣に向かって無表情で歩を進め、何をするかと思いきやその場に腰を降ろし、幼い俺はわんわん泣き真似をし始めた。

 結果、ガキ大将と俺は教師に叱られたが、それ以来ガキ大将は学校に来なくなった。ちなみに俺が破り捨てた俺自身のノートには一切の鉛筆の染みもなかった。つまり新品。


「お前は闇魔法を何だと思う? 他の火や水なんかと同列に考えてないか?」


「……どういう意味だ?」


「そのままの意味だ。つまり、闇魔法はお前が思っているより複雑なんだよ」


 中学校になると、俺は大人しくなった。喧嘩をする事もなく、友人(と呼べるかどうか不明)とだらだら喋り、惰性で中学校に通う。


「ふぅん。それで、何が有益なんだよ」


「黙って聴け。強くしてやるってんだよ。てめえの闇魔法をよ」

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