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魔法訓練とは


取り敢えず食堂で朝食を摂った俺は、食堂から出た地点でうろうろと彷徨っていた。


飯は食ったけど、これから何をすればいいんだろう。


そこで挙動不審にしていると、またしても謎の男が現れて、言った。


「朝食は食べましたね? では行きましょう。次は魔法訓練です」


「魔法、ですか」


「魔法をご存じですか?」


「知っているというか、俺のいた世界では魔法は空想上のものでしたから、いまいちピンと来なくて……」


 そう言うと謎の男は、そうですか、取り敢えず着いてくれば解ります、と言って俺に背中を向けてどこかに向かう。俺は慌てて謎の男を追った。



俺が謎の男に連れられて来た場所は、外にある訓練場のようなところだった。いや、恐らく訓練場だろう。兵士が剣を交えているのを見れば即座に分かる。


俺も、召喚される前は剣道をやっていた。そこそこ強い方で、県大会で優勝したことも何回かある。


それでも、俺は目の前で闘う兵士に勝てるとは思えなかった。


剣道の戦い方は、実戦向きではない。剣道を習い始めた頃、そう思った。


恐らく、相手が実戦向きの剣を習っていて、それが例え自分より格下でも、俺は確実に負けると言い切れる。


剣道とは、そういう武術だ。


「勇者殿?」


と、いけない。いつの間にか足を止めてしまっていたようだ。謎の男がこちらを怪訝そうな顔で見ている。


「いえ、すいません」


謝罪して、また後を追う。どうやら、魔法訓練とやらはここでは行わないらしい。


それからまた少し歩いて、着いたのは屋内だった。体育館を彷彿とさせるような場所である。


広さは一般的な高校の体育館の5倍はある。


そこで、ローブのような物を着た人達が火の玉やら氷の塊やらを飛ばし合っていた。


縦長の形状の体育館、その壁に沿うように並んだローブの人達が向かい合って『魔法』を撃っている。


「あなたも、今日からここに混じって魔法の訓練をしてもらいます」


 隣に立っていた謎の男が言って、魔法を撃ち合っている人達に指示を出していたローブ(恐らく隊長かなにか)に向かって歩き出した。


そのまま謎の男は隊長の目の前まで行って、隊長と何事かを交わす。


隊長は、謎の男と話し終えるとこちらに向かって手招きした。来い、ということか。


隊長とかなんか強そうだから逆らわない。俺はよほどの事が無い限り、大きな力には逆らわないのだ。


隊長の前までくると、何かじっと見つめられた。キモい。オッサンに見つめられても抱く感想はそれくらいだ。


「魔力は多いみたいだな」


隊長は俺に言う。


謎の男?また知らん内にどっかに行ってしまったよ。


「そ、そうですか……」


愛想笑いを浮かべて応える。つーか魔力て、よくゲームで見かけるMPとかそんな感じの物か?


面倒だから訊かないけどね。


「君はこれから、私と訓練をしてもらう。魔法を上手く使えるようにする訓練だ」


「はあ……」


そんなことは想定済みである。どうでもいいから早く俺TUEEEEEやらせろよ。


「まず、魔法とは───」


勝手に魔法の講義を始めたオッサン。もうヤダ。




30分後、やっと隊長の魔法講義が終わる。それでは実践だ、と隊長が言い、俺は頷く。


ここで


『まさかこれ程とは……流石は勇者様だ』


的な展開になるのだろう。非常に楽しみである。


隊長は俺から十数m程距離をとり、魔法を撃ってこい、と言った。


どうやるんだ、と訊くと、手から『血液』を放出するイメージで、と言われた。出来るかボケ。


取り敢えず掌を隊長に向け、目を瞑り掌に意識を集中する。格好は、周りで魔法を撃ち合っている奴らの模倣だ。


おおおお、なんか、掌から出てる気がする。薄らと目を開けると───



───黒いナニかが、にゅっと俺の掌から出てきていた。







お気に入り登録してくれた方、本当にありがとうございます。執筆の際、かなり励みになっております。


感想、誤字脱字指摘など、戴けると嬉しいです。

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