決定
なんか、すみません。
調子こいて、モンハンの二次とか書き始めました。ですがあくまでそちらは息抜きで、こちらが本命です。
「あぁ、そうだ。お前、腹減ってるんだっけか」
リヴァヴィウスに確認をとる。
『……ソレガドウシタ。マサカ貴様自ラ我ノ糧ニナロウトイウノカ』
目を細めて再び笑うリヴァヴィウス。ムカつくな。もう殺されると分かってやっているのだろう。
腕を軽く振るう。闇魔法を操作して拘束を更にキツくしたのだ。
『グウゥ……』
「おい、俺はお前に勝ったとは言ったが、殺すとは言っていないぞ。だが努々(ゆめゆめ)忘れるな。お前の命くらい腕の一振りでかき消せるという事を。……で、今お前は餌が欲しいんだろう? くれてやるよ」
餌、という言葉にリヴァヴィウスは不愉快げに顔を顰めるが、特に何も言わず、次の行動を待った。
俺は、呆然としている冒険者共を触手で掴むと、無造作に未だ拘束の解けないリヴァヴィウスの眼前に転がした。
「ひいぃぃ」
リヴァヴィウスの威圧感に、触手の外れた冒険者共の口から悲鳴が挙がる。
「ほら、こんだけいりゃ満足だろう。味は保証しないがな」
そうリヴァヴィウスに言い、拘束を外す。勿論、一応警戒はしている。
動き出したリヴァヴィウスを見て、男達の悲鳴はより大きくなった。自分達が食われると理解したらしい。
『……解ランナ。何故我ヲ生カス。ソノ上、糧マデ与エルトハ』
「……ッハ、別にお前を生かす為にやってる訳じゃねーよ。こいつらを、一番惨い殺し方で始末したいだけだ」
そう言うと、一応得心がいったらしく頷いた。
こいつらの所為で、風呂に入り損ねかけた(・・・)。視界に入るだけでも吐き気を催すのに、その上ストーキングだと? ふざけるのも大概にしろ。
リヴァヴィウスは眼前に転がされた男を1人掴むと、無言で食べ始めた。勿論、頭から。
俺は、他の奴らが逃げないよう、闇魔法で拘束した。
それにしても、良い食いっぷりだ。血はビタビタ零してるが、骨までしっかり食っている。
やがて、リヴァヴィウスが全ての男を食い終えた。
『何モ礼ナドセヌゾ』
「礼なんていらねえよ。それより、お前は最近の魔王の動向を知っているか」
何気なく、訊く。
『ホォ……。ソノ闇魔法トイイ、ヤハリ貴様ハ……。フン、特別に教エテヤル。魔王ハ、勇者ヲ捜シテイル。勇者ノ属性マデ掴ンダラシイナ。勇者ヲ捜シ出シテドウスルノカハ解ランガ、勇者ガ、モシ闇魔法ノ使イ手ナラバ、迂闊ニ攻撃ハシテコナイダロウナ』
もうそこまで掴んだのか。いや、現魔王は光属性だから、自分より格上の闇魔法に攻撃するはずが無いよな。ならば、何故俺を捜す。
魔王はまだ俺が王国を裏切った事は知らない筈。それどころか王国側ですら知らないだろう。魔王は、俺を捜し出してどうするつもりだ? 刺客でも送り込むのだろうか。
刺客の線は薄いか。何をどうしても闇魔法に勝てるのは、同じ闇魔法を持つ者だ。魔王側も、いたずらに戦力を削るのは防ぎたい筈。
ならば、何だ。もしかして、俺に休戦協定(?)でも持ちかけるつもりか。
だったら───
「おい、リヴァヴィウス。魔王の根城は何処だ」
『フン、我ガ教エテヤル義理ナド無イワ』
おい、飯をおごってやったのは何処のどいつだ。俺だろう。ええ?
「くだらねえ事言ってねえで、さっさと吐けや。でないと、今食ったモン吐かせるぞ」
勿論、口からでは無いが。
『……西ニアル、魔王ノ国ダ。勇者トシテ召喚サレタノニ、ソンナ事モ知ラナイノカ』
…………あー、なんか、旅に出る直前、謎の男に教えられた気がする。金の単位と一緒に。
「ま、いいや。別にお前を殺す必要もないし、達者に生きろや」
リヴァヴィウスにそう声を掛け、森の出口の方向に向き返る。リヴァヴィウスも、森の奥に足を向けた。
『フン、精々慢心シテ殺サレナイヨウニナ……』
次の目的地は決まった。魔王の統治する国は、果たしてどのような場所なのだろうか。