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Fランク


脱いだ服を脱衣場に置き、木製のドアを開ける。


「はあ……」


いくら甕の水が綺麗になったところで、ショボ過ぎる設備にため息が出てしまうのは仕方がないだろう。しかも使えるのは冷水のみ。


またため息を吐きたらいを手に取る。結構冷たい水を浴びるのって抵抗がある。


たらいで甕の水を掬い、頭からかぶる。ちなみに身体を洗う垢擦りも用意されていた。


ボディソープ? シャンプー? そんなものあるワケがないじゃないですか。つまり、肌や髪のケアなんてどうでもいい、と。


まあ俺は男だし、あんまりそういうの気にしないタイプだからいいんだけどね。


しかし、長年馴れ親しんだシャンプーの泡が無いのはちょっと気持ち悪い。暫く風呂に入っていなかったため髪がベトベトで尚更。


俺は生まれて初めて、キューティクルの悲鳴を聞いた気がした。


垢擦りで身体を擦ると、なんだか皮膚を削られているような錯覚を覚えた。それほど垢擦りの繊維が硬い。タワシみたいだ。


一通り垢擦りで身体を擦ると、一気に冷水を浴びる。


……ふぅ。取り敢えず、身体は綺麗になったし後は服か。


手で股間を隠し浴場から出て、脱衣場に置いてあるさっき脱いだ服を取る。あと1着、見慣れない服があったが恐らく宿で用意してくれた服だろう。


たらいに水をなみなみと入れ、今まで着ていた服を突っ込む。


手でごしごしと擦るように服を洗う。ああ面倒だ。洗濯機と乾燥機があれば良いのに。


たらいから服を出して見てみた。うん、なんだか汚れが落ちている気が……しない。


それから必死こいて1時間程洗い続けた。何とか汚れは落ちたが、気持ち悪い臭いが残った。出来れば二度と着たくない。


次は、新しい服を買いに行こう。



────────────



受付の人に貸して貰った服を着て、街に出た。ようやく日の光が街に入り始めた頃だった。


もう街には人が溢れかえっていた。平日のディズニーランドくらいか。


人の波をかき分けながら進む。クソ、邪魔だ有象無象うぞうむぞう共。


服を売っている所は、あらかじめ宿の受付の人に聞いておいた。あとは迷わずに辿り着けるか……。


5分程歩き、迷わず辿り着いた場所は大きめの露店だった。宿の人も露店だと言っていたから、ここで合っているだろう。


適当に3着、灰色の無難な服を選び、店の奥でパイプをふかしている店主らしき人から、白硬貨1枚で買った。少し高いと思ったが、3着とも上下セットで、しかもそこそこ上質な素材で出来ているらしく通気性も保温性も高いので買った。


早速宿に帰り、着替える。やはり凄いわ。何というか、このフィット感。流石2万円。


よし、良い気分になった所で今日も今日とて金稼ぎだ。Fランクの依頼は、少しは報酬いいのがあるだろうか。


そんな期待を胸に冒険者ギルドに向かう。


冒険者ギルドでは、やはり昼間から酒を飲みバカ騒ぎを起こしている奴が見受けられた。仕事しろよ。


俺はそいつらを視界に納めたくすらなかったが、どうしても見えてしまうのだ。


無理矢理視線を逸らし、ギルドのカウンターに向かう。ギルド嬢のお決まりの台詞を聞き流しつつ、Fランクの討伐依頼にどのような物があるか訊ねる。


「Fランクの討伐依頼を受けたいのですが、どのような物がありますか」


受付嬢は冊子を取り出し、ペラペラと捲り出す。


「Fランクの討伐依頼ですと、こちらになります」


そうして提示されているのは、


『ブラッドマッシュルーム2体の討伐

 報酬……白硬貨3枚


 オークシャーマン20体の討伐

 報酬……白硬貨8枚


 ビッグアント5体の討伐

 報酬……白硬貨6枚


 スケルトンファイター5体の討伐

 報酬……白硬貨3枚


 ボア7体の討伐

 報酬……白硬貨4枚』


とか色々。


「ランクをEに上げるには、いくつ依頼をこなせば良いのですか」


「基本的に、3つ依頼を成功すると次のランクに上がれます」


ほう。意外と楽じゃね?


1月も経たない内にXランクとか。


取り敢えず、


「ブラッドマッシュルームの依頼を受けます」


楽そうな奴を3つこなそう。どうやら、白硬貨3枚以下の報酬の依頼はFランクにはないようだし。


それに、なるべく近場を選ぶようにしないとな。


モンスターの出現場所が遠過ぎて野宿というのは避けたい。


プレートを受付嬢に渡す。


プレートは機械に入れられて、それを弄る受付嬢。


文化水準が高いのか低いのかよくわからん。


再び受付嬢からプレートを受け取り、ギルドを出た。


───横目で、冒険者の一団が俺を追うように席を立ったのを確認しながら。





友人がモンスターの名前を提供してくれました。

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