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風呂


目が覚めた。身体を起こすと、それまで寝ていた所が地面ではなくベッドだということを確認し、シスと別れてしまったことも思い出す。


また胸部に鋭い痛みが走るが、無視してベッドから降りる。


外を見ると、恐らく日の出はしているのだろうが明るくないことが分かる。


魔物から守るよう建てられた巨大な壁が街を囲っているため、壁が日の光を遮ってなかなか街に明かりが入らないのだ。


───異臭がする。そういえば、メノウ王国から旅に出て、一度も身体を洗っていない。異臭の元が自分身体だということに気付き、かなり落ち込み、風呂に入りたいという欲求が沸き上がった。


思い立ったが吉日。ということで風呂に入ろう。いや、あるかどうかも知らんけども。


部屋から出て、鍵を掛ける。盗まれるような物は置いてないけど、自分の住みかに他人が入ってきたら不快だからね。


1階に降りて、宿の受付をしている人に声を掛けた。


「あの……すいません」


「なんでしょうか」


受付の人は、ちょっと脳天が残念な感じのオジサン。それと、中年のオジサンにエプロンは似合わない。


「身体がちょっと臭いんで、どこか湯浴みか何か出来る所があります?」


「浴場でしたらあちらの方にあります。ご利用は黄硬貨1枚になります。」


普通にあるらしい。


正直期待してなかったのだが。なんといっても街並が中世だし。ん? 中世にも風呂はあったのか。わからん。昔の生活様式なんて興味ないし。


そんな思考はさておき、金は宿代に上乗せしておいてくれ、と伝え受付の人に指し示された浴場に向かう。




脱衣場でスッポンポンになり、木のドアを開けて浴場の中に入った。


「……浴場か。これは、とんだ悪徳商法だな」


3畳程の浴場(失笑)にかめ、たらい。以上。


それが利用料金100円浴場の正体であった。


それに、甕のなかにも色々な物(具体的に言うと垢のような物。というか垢)が浮いていて、身体を洗うことなんて諦めざるを得ない状態だった。


恐らく、この浴場の使い方は、甕からたらいで水を掬い、自分にかけて洗うのだろう。


なら何故、甕の中に垢が浮いているのか──それは、ちょっと頭のネジが緩い人が浴槽と勘違いして浸かってしまったのだろう。明らかにこの甕は浴槽には適した形をしていないのだから、きっと視力も相当低いに違いない。


ダメだ。これは受付の人に文句を言わないと気がすまん。こんな腐った水のような状態を無視している宿側にも非はあるはずだ。


浴場から出て、また服を着る。ああ服が臭い。これも洗濯せねば。


急いで受付に戻り、受付の人に訴える。


「おい、あの浴場は何だ。あんな甕の水を用意しておいて金を取るとは、あんたには良心がないのか」


少なくとも、人の死体から金を取り歓喜の感情しか抱かない奴が言う言葉では無いと思ったが。


「俺は設備の環境改善を要求する」


叩きつける様に言い放つ。


断られたら宿を引き払ってやる。


「すいません。何しろ、酔ったまま浴場に入って行く冒険者パーティーがいまして、あの甕をどうやら浴槽だと思っているらしいんですよ。いくら貼り紙をして注意しても相手はBランクパーティーで、逆に脅されて終わりです。……おっと、今のは話す事でもなかったかな。忘れてください」


そうか。Bランクパーティーが……。


これは───お灸を据えてやらねばな。


「取り敢えず水を変えてくれ。それと、適当に外を出歩ける服を貸してくれないか」


俺が言うと、受付のオジサンは分かりました、と答え浴場に向かった。


オジサンが新しく呼んだ受付をちらと見て俺は、オジサンが水を変え終えて戻って来るのをその場で待った。



────────────



「終わりました」


「そうか」


待ち始めて5分程で、オジサンは戻ってきた。


適当に労いの言葉を掛ける。


「ああ、替えの服は脱衣場に置いておきますね。あと服は浴場で洗濯しても構いませんよ」


そんなありがたい言葉を背に浴場へ向かった。







ヤバいです。


更新が不定期になりそうですφ(.. ;)

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