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クッキングシンフォニー  作者: 双鶴


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8/12

7話

学年成績1位という結果が発表され、美咲の「大雑把だけど明るい子」という印象に、新たに「才女」という肩書きが加わった。

その姿を湊は誇らしげに、そしてどこか落ち着かない気持ちで見ていた。いや、誇らしいというより――気になって仕方がない。目は無意識に美咲を追い、視線が絡むと慌てて逸らす。頭の中は彼女でいっぱいになり、少年の心は重大事に揺れていた。


料理部顧問から新しい指示が出る。

「次回は1年生が課題を考えてきて」

その言葉に仲間たちはざわめき、「美咲ならすぐ思いつきそう」と囁く声が聞こえる。湊は誇らしく感じながらも、胸の奥が熱くなる。


---


放課後、図書館。

夕陽が窓から差し込み、紙の匂いと椅子の軋む音が静けさを強調する。二人きりで並んで座ると、心臓の鼓動がやけに大きく響き、互いの息遣いまで近くに感じられた。


「……えっと、課題、どうしようか」

美咲が声を出すものの、湊の視線を敏感に感じて胸が落ち着かない。髪の乱れ、制服のシルエット、指先の動き――すべてが気になってしまう。


湊もまた、美咲の横顔に見惚れてしまい、言葉がぎこちなくなる。机の下で膝がかすかに触れた瞬間、二人は同時に小さく息を呑んだ。心臓が跳ね上がり、耳まで熱くなる。

「ご、ごめん」

「う、ううん……」

互いに照れ笑いを浮かべるだけで、案は浮かばず、沈黙が甘く重く漂った。まるで目に見えない香りのように、二人の間にドキドキが満ちていた。


---


翌日、昼休みの教室。

窓から差し込む冬の光が弁当を照らし、友人たちの笑い声が遠くに響く。机を並べ、お弁当を広げながら再び相談を始める。

「昨日は全然進まなかったね」

美咲が苦笑すると、湊も肩をすくめる。


その時、美咲がふと思い出したように言った。

「そういえば、湊って香道もやっているんだよね」


何気ない一言だった。けれど、その瞬間、湊の頭にひらめきが走る。

「……香りか。食欲を刺激する香りを持つ料理、っていうのはどうかな」


美咲の目がぱっと輝く。

「それ、いい!香りをテーマにすれば、料理部らしいし、面白い課題になるよ」


二人は顔を見合わせ、自然に笑みがこぼれた。視線を逸らすのが精一杯なのに、心臓の鼓動は甘く心地よい。昨日の図書館の沈黙も、今では悪くなかったと思える。


---


こうして、次回の料理部の課題は「食欲を刺激する香りを持つ料理」に決まった。

香道から生まれた発想は、二人の距離をまた少し近づけていた。互いを意識する気持ちは、目に見えないけれど確かに漂う香りのように、青春の空気を満たしていた。


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