表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クッキングシンフォニー  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/12

4話

和菓子屋を出た帰り道。

美咲は湊に振り返り、少し照れたように言った。

「今日はありがとう。御礼に、ファミレスのイタリアン行かない?」


湊は意外そうに目を瞬かせる。

「ファミレス?」

美咲は笑って肩をすくめた。

「すごいイタリアンもいいけど、みんなが楽しめる料理も大事だと思うんだ」


---


店に入ると、トマトソースの甘酸っぱい香りと焼き立てピザの香ばしい匂いが漂っていた。

炭酸の泡が弾ける「パチパチ」という音、ピザを切るナイフの「サクッ」という音、フォークが皿に当たる軽快な響きが店内を満たす。

照明は明るく、少しざわついた空気が逆に心地よい。


湊は湯気を立てるペペロンチーノを注文し、美咲はチーズがとろけるマルゲリータを選んだ。

テーブルに運ばれてきた瞬間、黄金色のオリーブオイルが艶やかに光り、唐辛子の赤が鮮烈に映える。

ピザの表面ではモッツァレラが糸を引き、バジルの緑が鮮やかに彩りを添えていた。


---


そこへ偶然、料理部の女子先輩たちが入ってきた。

「え、湊と美咲?デート?」

「ファミレスでイタリアンって、青春だね〜」


二人は顔を赤らめ、美咲は「ち、違います!ただの御礼!」と慌てて否定し、湊は苦笑いを浮かべた。

しかし先輩たちは楽しそうに席を隣に取り、自然に混ざってきた。

「じゃあ私たちも一緒に楽しもうよ!」

「ピザはシェアするのが正解!」


---


やがてテーブルの上は、次々と運ばれてくる料理で賑わった。

カルボナーラの濃厚なソースが麺に絡み、黒胡椒の刺激が鼻をくすぐる。

ラザニアにナイフを入れると層がほろりと崩れ、ミートソースの旨味とチーズの香ばしさが一気に溢れ出す。

シーフードパスタからはアサリやエビの潮の香りが漂い、オリーブオイルの艶が照明に反射していた。

サラダのレタスはシャキシャキと音を立て、トマトの瑞々しい酸味が口の中を爽やかに洗う。

ガーリックトーストをかじれば、表面はカリッと香ばしく、中はふんわり。ガーリックの香りが一気に広がり、バターのコクが後を追った。


「カルボナーラ、濃厚すぎて幸せ!」と先輩の一人が笑い、

「ピザはやっぱりみんなで食べるのが一番!」と別の先輩が仕切る。

「青春だね〜」と茶化す声に、美咲は顔を赤らめながらも笑い、湊は「確かに」と頷いた。


---


食後、テーブルにはピザの欠片や空になったグラスが残り、それが「みんなで楽しんだ証」となっていた。

美咲は「こういう時間も料理部の一部なんだ」と心に刻み、湊は「次は部室でみんなで作って食べよう」と未来への約束を置いた。


夜のファミレスの灯りの下、料理部の仲間たちが笑顔で料理を囲む。

豪華さではなく、気楽さと共有が温かさを生む。

その光景は、二人の関係をさらに自然に近づけるように見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ